逆ハーENDは封じられました

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本編

会場の殺気と色気

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暫し宇宙人気分を味わう中、会場に入ると、殺気のこもった視線を嫌と言うほど浴びせられる。耐性のない御令嬢なら死んでしまうかもしれない。

ワレワレハ、とかやって、空気を和ませたい。ふと思いついて、結局は諦める。

転生者がいたとしたら話は別だけど、
笑ってくれる人がいるとは思えない。

アーヴィンを見上げると、優しい顔で手をギュッと握りしめてくれて「大丈夫。」と言ってくれる。

「俺だけ見てれば良い。」
何それ、カッコ良すぎない?

頷くけど、ニヤニヤしてしまう。殺気はより濃くなった気がするけど、構うもんか。

アーヴィンのお兄様は、自分を信用したのかわからないが、入場の時には離れて行き、それからは関わってくることはなかった。

アーヴィンはずっと言葉通り側にいて、私を決して一人にしなかった。一人になったが最後、殺されるのではないかしら、クワバラクワバラ。

おかげで王子にも、悪役令嬢にも、私はアーヴィンが好きと言う姿勢を貫いてしまった。これ、大丈夫かなぁ。

「踊る?」
アーヴィンに誘われて、手を取る。
体格差がありすぎて怖いんだけど。宇宙人再び、にならないかしら。

アーヴィンのダンスは、お見事としか言えない。私の体に合わせてくれ、一方的に振り回すのではなく、優雅に、ずっと踊っていたいと思うものだった。

まあ、一回だけだったけど。バルコニーに出て少し話す。何人かの御令嬢はしつこくアーヴィンに纏わりついていたけれど、アーヴィンは全く相手にしないで、私に笑いかけてくれた。見せ付けるように、手の甲に口をつける。恥ずかしかったけど、耐えた。

アーヴィンに纏わりついていた女性が息を呑んだ。

アーヴィンは尚も、私のおでこやら耳やらに軽く唇で触れていく。大きな口に食べられてしまいそうで、クラクラする。

「アリシア、俺だけを見て。」
「見てるわ。アーヴィンしか見えないわ。」
そう。やはりと言うべきか、アーヴィンが近くにいると、王子やら何やらが全然素敵に見えない。アーヴィンの方が良いわ、って思ってしまう。シナリオが良いからって、王子を狙ってアーヴィンが離れてしまったら?

考えただけで、胸が痛い。アーヴィンはきっと私のために離れなかっだのだろう。けれど、アーヴィンを一人にしてそこで誰か真実の愛なんて見つけられて、捨てられたら?

私はゲームの強制力に頼るだけになってしまう。

「アーヴィン、好き。愛してるわ。」
びっくりするぐらい、切実な声を出してしまう。アーヴィンは、眩しそうに目を細めると、私の唇に、唇で軽く触れる。

「アリシア、可愛すぎる。反則だ。」
いいえ、貴方の方こそ、反則よ。その色気どうにかして。
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