逆ハーENDは封じられました

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本編

囚われの宇宙人

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礼服に身を包んだアーヴィンの綺麗なこと!

迎えに来てくれた時に私は迂闊にも気を失いそうになって、だからなのかはわからないけれど、アーヴィンの逞しい膝に乗せられて抱き抱えられている。

気を失ったままでいたかったわ。羞恥に顔は赤いし、動悸も治らない。

「アリシア、気分はどうだ?」

「ご迷惑をかけて、ごめんなさい。もう大丈夫。」

アーヴィンの膝から降りようともがいてはみるが、やっぱり、無理そう。

私の頬に触れ、心配そうに覗きこむ。
アーヴィンの顔が好き。

「良かった。でも会場に着くまでこのままでいてくれ。揺れると危ないし、絶対に落としたりしないから。」

切なそうに懇願され、私がどうして、拒否できましょう。

「ありがとう。アーヴィン。」

そう伝えるだけで精一杯。

「アリシアは、妖精みたいだな。可愛くて可愛くて仕方ない。俺だけのものになれば良いのに。」

「ふふ。嬉しい。」

本当なら抱きつきたいけれど、それこそはしたないって怒られるわよね。アーヴィンの淑女の基準に沿わなければ、ヒロインでなくて、ヒドインになってしまうもの。

それにしても、アーヴィンは本当に綺麗な男ね。婚約者もいないし、見事な優良物件だわ。そりゃ、こぞって残り物の貴族令嬢達が押し寄せるわ。

会場に着くと、アーヴィンに近づいてくる方がいる。アーヴィンとその方が並ぶと巨塔のよう。その方が微笑まれた時、アーヴィンと似た顔になって、ようやく彼が次期メルト侯爵であることを知る。

やはりイケメンの兄もイケメンなのね。ゲームの中にでてこないキャラクターは、よく知らないが、一応貴族の端くれとして当主と次期当主ぐらいの顔は頭に入っている。

「アーヴィンにこんな素敵な女の子がいたなんて。お嬢さん、もしアーヴィンに泣かされたりしたら、私に教えてね。灸を据えてやるから。」

アーヴィンと似た雰囲気で近づかれると、クラクラしてしまう。私の様子にアーヴィンは少し不満気で私の体をグイッと自分に近づける。

「兄上、余計なことは言わないでください。」

アーヴィンの兄は、嬉しそうに笑って、謝っていた。弟が可愛くて仕方がない感じ。なるほど、兄弟仲は良いらしい。

ふと、私の顔を見下ろす顔が、ただの微笑ましいだけでないような気がする。勘違いかしら。言外に、弟を泣かせるようなら…と言われた気がするのは。

アーヴィンとは似てるけれど、彼は脳筋では無さそうだ。アーヴィン側に回ってくれたら安心できるのに、アーヴィンの兄はあろうことかアーヴィンと繋いでいる反対側の手を取った。

アーヴィンは、あまり気にしていないけれど、ちょっと待って。両手にイケメンとかじゃなくて、これは囚われた宇宙人じゃない!



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