逆ハーENDは封じられました

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本編

騎士団長の息子

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凄いのは騎士団長である父であって、自分ではない。ましてや、侯爵を継ぐ身でない自分には誇れるものなど、何もない。成人するまでは、侯爵子息としての身分を保てるが、成人してしまえば、自分の身の丈にあった人生を歩まなくてはいけない。

自分が、ある年齢を超えて成長できない身であるのに気がついたのは、何度か逆ハーENDに付き合った後だった。仲良くなった女の子が、他の男と仲良くなったのに、振られず、甘い言葉を鵜呑みにしては、捨てられた。最後には全て王子の婚約者であるカリーナ様によって、制裁があり、また一から始まる。

アリシアは、何が違ったのか、わからない。けれど、俺を見た時と、他の対象者を見た時の反応がかなり違って、可愛く見えたから、俺は少し期待した。

サイラスの時も偶然を装って近づいた。驚いてはいたけれど、嫌がってはいなかったし、ロビンの時は、一度手を振り払われた時は悲しかったけれど、ロビンとのイベントをクリアさせない、と言う目標は達成した。

アリシアは、確かに逆ハーを目指していたかもしれない。けれど、俺が婚約の申し出をしたら受けてくれた。それが全てだ。

王子や、公爵令嬢との夜会での挨拶も、ちゃんと俺の側にいてくれたし、一番気になっていた王子と顔を合わせた時も興味がなさそうだった。だから、俺はアリシアとならこの先の人生を楽しむことができるんじゃないか、と期待した。

王子や、サイラスが俺の邪魔をしてくるのは、あれか。お前だけ、ズルいぞ、って言う、嫉妬かな?でも、俺だけでもこの嫌な繰り返しがなくなるなら、他の人にも影響があって、皆抜け出せるんじゃないかな?

逆ハーを封じられた後の結末は今回で、わかるから。アリシアを信じて欲しいのに。

俺は俺を選んでくれたアリシアを守ってこの呪いから抜け出すんだ。アリシアと未来を生きるんだ。

裏切りは怖いし、嫌だけど、アリシアを逃したらもう自分は恋ができなくなる気がする。

王子なんて、ヒロインなんて気にせずにカリーナ様と結婚してしまえばいいのに。

真実の愛は人それぞれなんだから。相手を誰かに強制されるなんて、ごめんだ。

アリシアに害を為そうとする者がいるなら、それがどんな人物であれ、許さない。

こうしている間にも、アリシアの身に何かあるかもしれないと思うだけで、身がちぎれる想いだ。

アリシアの小さな体を抱きしめると、そのまま眠ってしまいたくなる。

抱きしめて、離したくない。アリシアの耳が毎回赤くなるのを見るのも楽しい。慣れないのが、可愛い。

アリシアの表情を見ると、本当に俺が好きなんだと、思える。熱に浮かされたようにふわふわとした恋心を持ったまま、諦めずに生きていられるのは、今までにない感情だ。

アリシアが好きだ。アリシアと一緒に生きていく。そのためなら何でもする。

邪魔なものをすべて蹴散らせてでも、アリシアを愛すると誓った。

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