16 / 26
本編
呼び出し
しおりを挟む
アーヴィンとの甘い時間を過ごすのに忙しかった私に、近づいてきた人達は攻略対象者ばかりではない。
何と、アーヴィンルート以外のルートに出てくる悪役令嬢の群れにお茶会に誘われてしまった。本来なら、男爵令嬢の私は誘われる筈がないお茶会。
王子を落とす気満々だった時なら、喜んで参加しただろうが、今は困惑しかない。だって、もう逆ハーなんて、微塵も狙っていないのだもの。
断れるものなら断りたい。無理だけどね。意地悪とかされるのかな?殺されたりしないよね。ドキドキしながら、向かったお茶会は意外にも歓迎ムードだった。
「フォーゼ男爵家が二女アリシアと申します。本日はお招きありがとうございます。」
夜会の日とは違う優しい顔で微笑む王子ルートの悪役令嬢、カリーナ・クロー公爵令嬢。
誰ですか?
夜会の日、暗殺でもされそうな瞳で睨まれていたように思うのですが。
「アリシア様。突然のお誘いでしたのに、お越し頂いて嬉しいですわ。アーヴィン様とのご婚約おめでとう。色々聞かせてくださいな。」
アーヴィンとの馴れ初めをただ聞きたいだけ?それなら、いくらでも話せるけれど。初めてお目にかかる悪役令嬢達の目が怖いのは、ゲームに引きづられているせいかしら。
サイラスルートの悪役令嬢である、ヴァイオレット様もニコニコしながら、お菓子を勧めてくれる。
サイラスルートの時の鬼の業態を見ているだけに怖いのですが。まさか本性を知ってますと言うわけにもいかず。
ヴァイオレット様は、懐中時計の件も、ご存知で、贈ったけど、アーヴィンの嫉妬で返されてしまったことを、私の惚気の一つとして、披露した。嫉妬とかではなさそうなんだけど、まあ、そう言うことにしよう。
悪役令嬢達は、何というか発言一つ一つに有無を言わさない圧があって、否定など持ってのほか、命が大切なら黙っておくべき、と思わせる。
よくあるヒドインが悪役令嬢に冤罪をかける、とかあるけど、この世界でやれば、やる前に殺されそうだ。
私は命が惜しい。
ふと、気づくとアーヴィンが迎えにきていた。カリーナ様に挨拶をしている。
一緒にテーブルを囲んでいたご令嬢達の目が私に集まるとアーヴィンが、迎えに来たことについて、愛されてらっしゃるのね、とか羨ましいとか言われる。やっぱり圧が強い。
アーヴィンの元へ今すぐ駆け出したい。怖かったと頭を撫でて貰いたい。
すっと、ヴァイオレット様の目がアーヴィンを捉えると私にしか聞こえない声で、「また今度。次は彼に内緒で会いたいわ。」と囁かれる。
何だか目が据わっていて、今度のことを考えると恐ろしくなってしまった。
何と、アーヴィンルート以外のルートに出てくる悪役令嬢の群れにお茶会に誘われてしまった。本来なら、男爵令嬢の私は誘われる筈がないお茶会。
王子を落とす気満々だった時なら、喜んで参加しただろうが、今は困惑しかない。だって、もう逆ハーなんて、微塵も狙っていないのだもの。
断れるものなら断りたい。無理だけどね。意地悪とかされるのかな?殺されたりしないよね。ドキドキしながら、向かったお茶会は意外にも歓迎ムードだった。
「フォーゼ男爵家が二女アリシアと申します。本日はお招きありがとうございます。」
夜会の日とは違う優しい顔で微笑む王子ルートの悪役令嬢、カリーナ・クロー公爵令嬢。
誰ですか?
夜会の日、暗殺でもされそうな瞳で睨まれていたように思うのですが。
「アリシア様。突然のお誘いでしたのに、お越し頂いて嬉しいですわ。アーヴィン様とのご婚約おめでとう。色々聞かせてくださいな。」
アーヴィンとの馴れ初めをただ聞きたいだけ?それなら、いくらでも話せるけれど。初めてお目にかかる悪役令嬢達の目が怖いのは、ゲームに引きづられているせいかしら。
サイラスルートの悪役令嬢である、ヴァイオレット様もニコニコしながら、お菓子を勧めてくれる。
サイラスルートの時の鬼の業態を見ているだけに怖いのですが。まさか本性を知ってますと言うわけにもいかず。
ヴァイオレット様は、懐中時計の件も、ご存知で、贈ったけど、アーヴィンの嫉妬で返されてしまったことを、私の惚気の一つとして、披露した。嫉妬とかではなさそうなんだけど、まあ、そう言うことにしよう。
悪役令嬢達は、何というか発言一つ一つに有無を言わさない圧があって、否定など持ってのほか、命が大切なら黙っておくべき、と思わせる。
よくあるヒドインが悪役令嬢に冤罪をかける、とかあるけど、この世界でやれば、やる前に殺されそうだ。
私は命が惜しい。
ふと、気づくとアーヴィンが迎えにきていた。カリーナ様に挨拶をしている。
一緒にテーブルを囲んでいたご令嬢達の目が私に集まるとアーヴィンが、迎えに来たことについて、愛されてらっしゃるのね、とか羨ましいとか言われる。やっぱり圧が強い。
アーヴィンの元へ今すぐ駆け出したい。怖かったと頭を撫でて貰いたい。
すっと、ヴァイオレット様の目がアーヴィンを捉えると私にしか聞こえない声で、「また今度。次は彼に内緒で会いたいわ。」と囁かれる。
何だか目が据わっていて、今度のことを考えると恐ろしくなってしまった。
1
お気に入りに追加
188
あなたにおすすめの小説
乙女ゲームの正しい進め方
みおな
恋愛
乙女ゲームの世界に転生しました。
目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。
私はこの乙女ゲームが大好きでした。
心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。
だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。
彼らには幸せになってもらいたいですから。

気だるげの公爵令息が変わった理由。
三月べに
恋愛
乙女ゲーの悪役令嬢に転生したリーンティア。王子の婚約者にはまだなっていない。避けたいけれど、貴族の義務だから縁談は避けきれないと、一応見合いのお茶会に参加し続けた。乙女ゲーのシナリオでは、その見合いお茶会の中で、王子に恋をしたから父に強くお願いして、王家も承諾して成立した婚約だったはず。
王子以外に婚約者を選ぶかどうかはさておき、他の見合い相手を見極めておこう。相性次第でしょ。
そう思っていた私の本日の見合い相手は、気だるげの公爵令息。面倒くさがり屋の無気力なキャラクターは、子どもの頃からもう気だるげだったのか。
「生きる楽しみを教えてくれ」
ドンと言い放つ少年に、何があったかと尋ねたくなった。別に暗い過去なかったよね、このキャラ。
「あなたのことは知らないので、私が楽しいと思った日々のことを挙げてみますね」
つらつらと楽しみを挙げたら、ぐったりした様子の公爵令息は、目を輝かせた。
そんな彼と、婚約が確定。彼も、変わった。私の隣に立てば、生き生きした笑みを浮かべる。
学園に入って、乙女ゲーのヒロインが立ちはだかった。
「アンタも転生者でしょ! ゲームシナリオを崩壊させてサイテー!! アンタが王子の婚約者じゃないから、フラグも立たないじゃない!!」
知っちゃこっちゃない。スルーしたが、腕を掴まれた。
「無視してんじゃないわよ!」
「頭をおかしくしたように喚く知らない人を見て見ぬふりしたいのは当然では」
「なんですって!? 推しだか何だか知らないけど! なんで無気力公爵令息があんなに変わっちゃったのよ!! どうでもいいから婚約破棄して、王子の婚約者になりなさい!! 軌道修正して!!」
そんなことで今更軌道修正するわけがなかろう……頭おかしい人だな、怖い。
「婚約破棄? ふざけるな。王子の婚約者になれって言うのも不敬罪だ」
ふわっと抱き上げてくれたのは、婚約者の公爵令息イサークだった。
(なろうにも、掲載)

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。
香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。
皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。
さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。
しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。
それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?

誰でもよいのであれば、私でなくてもよろしいですよね?
miyumeri
恋愛
「まぁ、婚約者なんてそれなりの家格と財産があればだれでもよかったんだよ。」
2か月前に婚約した彼は、そう友人たちと談笑していた。
そうですか、誰でもいいんですね。だったら、私でなくてもよいですよね?
最初、この馬鹿子息を主人公に書いていたのですが
なんだか、先にこのお嬢様のお話を書いたほうが
彼の心象を表現しやすいような気がして、急遽こちらを先に
投稿いたしました。来週お馬鹿君のストーリーを投稿させていただきます。
お読みいただければ幸いです。

婚約破棄の、その後は
冬野月子
恋愛
ここが前世で遊んだ乙女ゲームの世界だと思い出したのは、婚約破棄された時だった。
身体も心も傷ついたルーチェは国を出て行くが…
全九話。
「小説家になろう」にも掲載しています。

侯爵令嬢の置き土産
ひろたひかる
恋愛
侯爵令嬢マリエは婚約者であるドナルドから婚約を解消すると告げられた。マリエは動揺しつつも了承し、「私は忘れません」と言い置いて去っていった。***婚約破棄ネタですが、悪役令嬢とか転生、乙女ゲーとかの要素は皆無です。***今のところ本編を一話、別視点で一話の二話の投稿を予定しています。さくっと終わります。
「小説家になろう」でも同一の内容で投稿しております。

【完結】生贄になった婚約者と間に合わなかった王子
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
フィーは第二王子レイフの婚約者である。
しかし、仲が良かったのも今は昔。
レイフはフィーとのお茶会をすっぽかすようになり、夜会にエスコートしてくれたのはデビューの時だけだった。
いつしか、レイフはフィーに嫌われていると噂がながれるようになった。
それでも、フィーは信じていた。
レイフは魔法の研究に熱心なだけだと。
しかし、ある夜会で研究室の同僚をエスコートしている姿を見てこころが折れてしまう。
そして、フィーは国守樹の乙女になることを決意する。
国守樹の乙女、それは樹に喰らわれる生贄だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる