逆ハーENDは封じられました

mios

文字の大きさ
上 下
9 / 26
本編

ドレスのサイズ

しおりを挟む
王子攻略のカギとなるのは、ズバリ悪役令嬢だ。彼女をまず攻略したのち、王子に紹介して貰わなければならない。暗殺エンドは物騒だが、信じていた友人に婚約者を奪われるのだから、気持ちはわかる。彼女は公爵令嬢で通常お茶会には伯爵以上でないと参加できないのだが。無理を言って、入れてもらう為に、彼女の目に留まり、役に立つアピールをしなくてはならない。

しくじると暗殺が待っている。こわすぎる。

「お茶会は難しいが、夜会で俺がエスコートしたら、いいんじゃないか?」

「夜会っていつの?」

「来月あるだろ、あれだよ。」

来月、建国記念の宴があり、多くの貴族が参加する。いつもなら、兄にエスコートされ参加するが、今回はアーヴィンがしてくれるという。

アーヴィンは侯爵令息だ。なるほど、それなら、不自然にならず、名前を売り込むことができ、アーヴィンを狙う女性に牽制することができる。

ロビンには会えなくとも、サイラスにもまた会うことができるし、もしかして、新しいフラグが立つかもしれない。

「本当に、一緒に行ってくれるの?」

前のめりに、アーヴィンの手を握りしめると、少し照れた顔をして、頷いた。

「俺でよければ、いつでもエスコートするよ。」

「ありがとう。」

ギュッとアーヴィンに抱きついて、感謝すると、アーヴィンが、固まる。

「ご令嬢がはしたない。」

怒ったような表情だが、多分これは照れているだけだ。

「ごめんなさい。あまりにも嬉しくて。」

体を離そうとするが、アーヴィンの力が強くて、離してもらえない。

「アーヴィン、あの、離してくださる?」

さすがにこの状態を誰かに見られると、立場が不味くなる。アーヴィンとは仲の良い友人でしかないのだから。


「あ、ああ、すまない。」
そう言いながら、離してくれない。

「あの……?」
離してもらえないから、無理矢理離れようとするがまあ、無理だよね。私如きの力ではビクともしない。

私は諦めて、アーヴィンが動き始めるのを待つ。

少しの間、抱きしめられるままになっているとようやく、アーヴィンが離してくれた。

一体何だったの?

アーヴィンは上機嫌で、ニコニコしている。

「俺に任せて。」

「うん。ありがとう。」

アーヴィンから、夜会のドレスが届いた時、驚いたことと言えば、ドレスのデザインが、私の好みであったことよりも、サイズが測ってもいないのに、ぴったりだったことだ。

まさか抱きしめて、サイズ測ったわけではないよね。

それなら、めちゃくちゃ怖いのだけど。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。

柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。 詰んでる。 そう悟った主人公10歳。 主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど… 何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど… なろうにも掲載しております。

誰でもよいのであれば、私でなくてもよろしいですよね?

miyumeri
恋愛
「まぁ、婚約者なんてそれなりの家格と財産があればだれでもよかったんだよ。」 2か月前に婚約した彼は、そう友人たちと談笑していた。 そうですか、誰でもいいんですね。だったら、私でなくてもよいですよね? 最初、この馬鹿子息を主人公に書いていたのですが なんだか、先にこのお嬢様のお話を書いたほうが 彼の心象を表現しやすいような気がして、急遽こちらを先に 投稿いたしました。来週お馬鹿君のストーリーを投稿させていただきます。 お読みいただければ幸いです。

気だるげの公爵令息が変わった理由。

三月べに
恋愛
 乙女ゲーの悪役令嬢に転生したリーンティア。王子の婚約者にはまだなっていない。避けたいけれど、貴族の義務だから縁談は避けきれないと、一応見合いのお茶会に参加し続けた。乙女ゲーのシナリオでは、その見合いお茶会の中で、王子に恋をしたから父に強くお願いして、王家も承諾して成立した婚約だったはず。  王子以外に婚約者を選ぶかどうかはさておき、他の見合い相手を見極めておこう。相性次第でしょ。  そう思っていた私の本日の見合い相手は、気だるげの公爵令息。面倒くさがり屋の無気力なキャラクターは、子どもの頃からもう気だるげだったのか。 「生きる楽しみを教えてくれ」  ドンと言い放つ少年に、何があったかと尋ねたくなった。別に暗い過去なかったよね、このキャラ。 「あなたのことは知らないので、私が楽しいと思った日々のことを挙げてみますね」  つらつらと楽しみを挙げたら、ぐったりした様子の公爵令息は、目を輝かせた。  そんな彼と、婚約が確定。彼も、変わった。私の隣に立てば、生き生きした笑みを浮かべる。  学園に入って、乙女ゲーのヒロインが立ちはだかった。 「アンタも転生者でしょ! ゲームシナリオを崩壊させてサイテー!! アンタが王子の婚約者じゃないから、フラグも立たないじゃない!!」  知っちゃこっちゃない。スルーしたが、腕を掴まれた。 「無視してんじゃないわよ!」 「頭をおかしくしたように喚く知らない人を見て見ぬふりしたいのは当然では」 「なんですって!? 推しだか何だか知らないけど! なんで無気力公爵令息があんなに変わっちゃったのよ!! どうでもいいから婚約破棄して、王子の婚約者になりなさい!! 軌道修正して!!」  そんなことで今更軌道修正するわけがなかろう……頭おかしい人だな、怖い。 「婚約破棄? ふざけるな。王子の婚約者になれって言うのも不敬罪だ」  ふわっと抱き上げてくれたのは、婚約者の公爵令息イサークだった。 (なろうにも、掲載)

悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。

香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。 皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。 さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。 しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。 それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?

乙女ゲームの正しい進め方

みおな
恋愛
 乙女ゲームの世界に転生しました。 目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。  私はこの乙女ゲームが大好きでした。 心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。  だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。  彼らには幸せになってもらいたいですから。

婚約破棄の、その後は

冬野月子
恋愛
ここが前世で遊んだ乙女ゲームの世界だと思い出したのは、婚約破棄された時だった。 身体も心も傷ついたルーチェは国を出て行くが… 全九話。 「小説家になろう」にも掲載しています。

【完結】悪役令嬢の反撃の日々

くも
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。 「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。 お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。 「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。

変な転入生が現れましたので色々ご指摘さしあげたら、悪役令嬢呼ばわりされましたわ

奏音 美都
恋愛
上流階級の貴族子息や令嬢が通うロイヤル学院に、庶民階級からの特待生が転入してきましたの。  スチュワートやロナルド、アリアにジョセフィーンといった名前が並ぶ中……ハルコだなんて、おかしな

処理中です...