逆ハーENDは封じられました

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本編

まだ一人目

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それからというもの、アリシアはサイラスに会うには会うのだが、スチルの状況に全くならないでいる。

原因は、アーヴィンだ。

何故か、必ず近くにいるのだ。

サイラスは、アリシアの困惑を目にすると嬉しそうな顔をする。その笑顔は決してスチルにある笑顔ではない。サイラスのスチルの笑顔は、もう少し蕩けたような笑顔なのだ。あんな可哀想な物を見るような笑顔ではない。

当たり前といえば当たり前だ。だってちっとも二人きりにならなければ、いい雰囲気にもならないのだもの。

自分でも、ストーカーみたいで痛い行為だとは思うのだが、サイラスを尾行した時ですら、アーヴィンは現れた。

アーヴィンはそもそも、そんなに行動力はない男だった。ゲームでは、騎士団の練習場もしくは裏庭ぐらいにしかいないキャラなのに。

ここ最近は図書館に入り浸り、私の勉強を率先して見てくれる。正直アーヴィンとの仲はもう上がりきっていると思うのだが、これ以上あるのだろうか。

そういえば、アーヴィンにはお色気スチルがなかった。続編ではドロドロのアーヴィンがあると言うからお色気もたくさんあるのかもしれない。

どうして前世の私はそこまで生きていなかったのだろう。人の寿命など神の領域だから、言っても仕方ないのだけれど。

勉強で遅くなった時はアーヴィンが馬車まで送ってくれる。これもゲームとは異なる。ゲームでは世話焼きキャラではあったが、口だけだった。

「気をつけて帰れよ。」と言って、先に帰る、みたいな。

けれど今は、手を繋いで、馬車乗り場まで送ってくれて、おでこにキスまでしてくれる。

「遅くなったけど、気をつけて。」
至近距離で囁くの、やめて!理性が溶ける。

恥ずかしくて、アワアワしている私を見るアーヴィンの顔が凄く綺麗で見惚れてしまう。

スチルにはなかったけれど、この顔も好きだなと、目に焼き付ける。

男爵家に帰ってから考えてみると、まだアーヴィンしか攻略できていない事実に気づく。

薄々わかってはいた。
全然逆ハーにならない。なりそうにない。

ゲームではサイラスが攻略しやすいと考えていたけれど、もしかしたらそれが間違いなのかな。

サイラスはとりあえず後にして、次の攻略対象者に行くべきでは?

次は平民ながら、大きな商会の跡取り息子である、ロビン。彼は栗色の髪で、毛量が多い感じ。老後はハゲる心配は無さそう。コミュニケーション能力が高く、抜け目がない性格で、ヒロインの貴族らしくない庶民な感覚に新鮮味を感じて好きになる。

彼とはお忍びで市井に出ていた時に偶々会うのだけど、彼からは髪飾りを貰うのだ。

アーヴィンからは、ブレスレットで、サイラスからは何だっけ?ロビンからは髪飾り。あとの攻略対象者からも何か貰えた筈で、それを貰えるかどうかで、エンディングは変わる。

アリシアは、ロビンに会うために市井に遊びに行きたいと、両親を説得しなくてはいけない。一番のクライマックスはここかもしれない。気がふれたと思われたが最後また領地に逆戻りになるのだから。


そうして、交渉の結果、何故かアーヴィンを護衛にしてならOKと言う約束を取り付けてしまったのだった。
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