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優先順位(隼人)
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できることは限られる。
ましてや、まだ高校生であり、保護される立場の俺たちには。
暴力を受けている女性を、助けたい、のは本当。自分の母を、思い浮かべてしまうから。でも、俺自身が、守られている立場で生きていて、できることは、他の大人に助けて貰うことだ。
自分は力が強いから、理不尽な暴力に対して抵抗することはできる。でも、根本的な結末を望むなら、力を貸したとしても、大したことはできないと思う。
それに、守りたい物や人にも、限りはある。俺がもっと、大人で、上手く立ち回ることができ、考える頭があるなら、他の方法や、限りを増やすことは可能だろう。
でも、今の自分は力がない。守りたい人を守るだけで、精一杯だ。多分、本人はわかってはいないだろうけれど、俺が守る、と決めている人は、光だけだ。後の人はそれぞれの大切な人に任せることにする。
光が何か思い詰めていても、俺に何もいわない、と決めたとしても、光が俺から離れたいと思ったとしても、今守りたいのは光だけ。そう言えるから。
久しぶりのデートは楽しかった。帰ったら、今日は寝かせてあげられないかもしれない。光の笑顔はやっぱり可愛くて、泣きそうになる。この笑顔を守るために、俺は生きているのだ。
光を好きになってから、他の誰かにしてあげられることや、自分の力に限界があるってことに気づけた。光を好きになってなかったら、また母に似た人にいいように扱われ、自分の限界も知らず首を突っ込み、消耗するのは目に見えている。
俺は、ずるい人達に対抗する術を持たない。ただの子供だ。
デート中に、いつも以上に、光にひっついてみたけど、嫌がらなかった。今考えると独占欲丸出しで、格好悪いのだが、光は俺を買い被りすぎている。俺は、こう言っちゃ身も蓋もないが、光以外はどうでもいい。
光と俺は、お互いに同じ気持ちで、一緒にいると思っているのだろうが、一箇所だけ、違うことがある。光は、例えば俺に他に気になる人ができたら、笑って身を引くタイプだと思う。悲しいけど、愛する人のために、自分を犠牲にできるタイプ。でも、俺は多分できない。光が誰か好きになったとしても、俺は気がつかないフリをして、光を渡さない。そして、光が諦めてくれるのを待つだろう。
光に執着する人の気持ちがわかる。一度でも、光を手にしたら、あとは全てどうでも良い。光がいてくれるなら、世界に二人でも構わない。そこに、光の意思がなくても、光がいくら嫌がって、別れたいと泣いても、離してあげられないと思う。すまぬ。
ましてや、まだ高校生であり、保護される立場の俺たちには。
暴力を受けている女性を、助けたい、のは本当。自分の母を、思い浮かべてしまうから。でも、俺自身が、守られている立場で生きていて、できることは、他の大人に助けて貰うことだ。
自分は力が強いから、理不尽な暴力に対して抵抗することはできる。でも、根本的な結末を望むなら、力を貸したとしても、大したことはできないと思う。
それに、守りたい物や人にも、限りはある。俺がもっと、大人で、上手く立ち回ることができ、考える頭があるなら、他の方法や、限りを増やすことは可能だろう。
でも、今の自分は力がない。守りたい人を守るだけで、精一杯だ。多分、本人はわかってはいないだろうけれど、俺が守る、と決めている人は、光だけだ。後の人はそれぞれの大切な人に任せることにする。
光が何か思い詰めていても、俺に何もいわない、と決めたとしても、光が俺から離れたいと思ったとしても、今守りたいのは光だけ。そう言えるから。
久しぶりのデートは楽しかった。帰ったら、今日は寝かせてあげられないかもしれない。光の笑顔はやっぱり可愛くて、泣きそうになる。この笑顔を守るために、俺は生きているのだ。
光を好きになってから、他の誰かにしてあげられることや、自分の力に限界があるってことに気づけた。光を好きになってなかったら、また母に似た人にいいように扱われ、自分の限界も知らず首を突っ込み、消耗するのは目に見えている。
俺は、ずるい人達に対抗する術を持たない。ただの子供だ。
デート中に、いつも以上に、光にひっついてみたけど、嫌がらなかった。今考えると独占欲丸出しで、格好悪いのだが、光は俺を買い被りすぎている。俺は、こう言っちゃ身も蓋もないが、光以外はどうでもいい。
光と俺は、お互いに同じ気持ちで、一緒にいると思っているのだろうが、一箇所だけ、違うことがある。光は、例えば俺に他に気になる人ができたら、笑って身を引くタイプだと思う。悲しいけど、愛する人のために、自分を犠牲にできるタイプ。でも、俺は多分できない。光が誰か好きになったとしても、俺は気がつかないフリをして、光を渡さない。そして、光が諦めてくれるのを待つだろう。
光に執着する人の気持ちがわかる。一度でも、光を手にしたら、あとは全てどうでも良い。光がいてくれるなら、世界に二人でも構わない。そこに、光の意思がなくても、光がいくら嫌がって、別れたいと泣いても、離してあげられないと思う。すまぬ。
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