31 / 38
不安(光)
しおりを挟む
薄幸美人の人はすぐにわかった。先輩方がご丁寧に教えてくださったのだ。光に似てるよって。
似てるってどう言う意味だろう、と思ったが、あ、なるほど。人に怯えて生きていた昔の自分と重なる。
おかしなことに、隼人さんには近づかないで欲しいと、強く思った。自分とよく似た女性と男性の自分なら、選ばれるのはやっぱり女性の方だと思うから。
隼人さんは浮気をするようには見えない。けれど優しい人だから、絆されることはあるかもしれない。そこにつけ込まれたら、と考えるだけで、怖い。隼人さんは素敵な人で、それはあのような人に怯えて生きている人には救いのように感じられるだろう。少なくとも、僕はそうだった。きっと隼人さんなら、年齢の差なんて、越えてくる。男同士の壁だって越えてくれたから。
彼女と同じ日を極力避けたら、ギャルと一緒にいる隼人さんを見なければならない。けれど、その方が安心できると言ったら、失礼だろうか。
ギャルは、強引だし、やっぱり思うことはあるものの、隼人さん自身を奪われることはなさそうだけど、あの人は違う。少し自分が我慢すれば良いだけだ。
我儘だとわかっている。お願いだから、もうあの人に会わないで。
僕がどれだけ願っても、隼人さんの運命は変えられないみたい。たまたま、バイト以外の場所で、さゆりさんに会ったようだ。偶然で、お互いに笑っていて、楽しそうに話す姿に、気分が沈んでいくのがわかる。
買い物の途中に会ったらしい。普段行かないホームセンターで、普段は見ない工具の棚で、お互い商品を吟味していてたまたまぶつかってしまったらしい。
隼人さんの図体にさゆりさんの細い体は、耐えきれず、倒れ込みそうになったのを、隼人さんが支えたらしく、さゆりさんは恥ずかしそうに顔を赤くしていた。
隼人さんは、朗らかに笑って謝っていたけれど、年齢差はあるにしろ、綺麗なお姉さんに懐く若い男って感じでまあまあお似合いだ。
帰りに、大人しい僕に楽しそうに話す隼人さん。隼人さんの話は、いつもならたくさん聞いていたいけれど、今日に限っては素直に聞くことは出来なかった。
「さゆりさん、綺麗な人だね。」
「あ、ああ、そうだな。」
「ああいう人、好き?」
「どうした?俺が好きなのは光だけだよ。」
隼人さんの言葉が、急に嘘臭く聞こえる。
僕は嫉妬してるのかな。悲しいのかな。
僕が黙っているのを、隼人さんは気にせず歩いている。
僕はいつまで、隼人さんと手を繋げていられるのかな。
似てるってどう言う意味だろう、と思ったが、あ、なるほど。人に怯えて生きていた昔の自分と重なる。
おかしなことに、隼人さんには近づかないで欲しいと、強く思った。自分とよく似た女性と男性の自分なら、選ばれるのはやっぱり女性の方だと思うから。
隼人さんは浮気をするようには見えない。けれど優しい人だから、絆されることはあるかもしれない。そこにつけ込まれたら、と考えるだけで、怖い。隼人さんは素敵な人で、それはあのような人に怯えて生きている人には救いのように感じられるだろう。少なくとも、僕はそうだった。きっと隼人さんなら、年齢の差なんて、越えてくる。男同士の壁だって越えてくれたから。
彼女と同じ日を極力避けたら、ギャルと一緒にいる隼人さんを見なければならない。けれど、その方が安心できると言ったら、失礼だろうか。
ギャルは、強引だし、やっぱり思うことはあるものの、隼人さん自身を奪われることはなさそうだけど、あの人は違う。少し自分が我慢すれば良いだけだ。
我儘だとわかっている。お願いだから、もうあの人に会わないで。
僕がどれだけ願っても、隼人さんの運命は変えられないみたい。たまたま、バイト以外の場所で、さゆりさんに会ったようだ。偶然で、お互いに笑っていて、楽しそうに話す姿に、気分が沈んでいくのがわかる。
買い物の途中に会ったらしい。普段行かないホームセンターで、普段は見ない工具の棚で、お互い商品を吟味していてたまたまぶつかってしまったらしい。
隼人さんの図体にさゆりさんの細い体は、耐えきれず、倒れ込みそうになったのを、隼人さんが支えたらしく、さゆりさんは恥ずかしそうに顔を赤くしていた。
隼人さんは、朗らかに笑って謝っていたけれど、年齢差はあるにしろ、綺麗なお姉さんに懐く若い男って感じでまあまあお似合いだ。
帰りに、大人しい僕に楽しそうに話す隼人さん。隼人さんの話は、いつもならたくさん聞いていたいけれど、今日に限っては素直に聞くことは出来なかった。
「さゆりさん、綺麗な人だね。」
「あ、ああ、そうだな。」
「ああいう人、好き?」
「どうした?俺が好きなのは光だけだよ。」
隼人さんの言葉が、急に嘘臭く聞こえる。
僕は嫉妬してるのかな。悲しいのかな。
僕が黙っているのを、隼人さんは気にせず歩いている。
僕はいつまで、隼人さんと手を繋げていられるのかな。
0
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。


どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


変態高校生♂〜俺、親友やめます!〜
ゆきみまんじゅう
BL
学校中の男子たちから、俺、狙われちゃいます!?
※この小説は『変態村♂〜俺、やられます!〜』の続編です。
いろいろあって、何とか村から脱出できた翔馬。
しかしまだ問題が残っていた。
その問題を解決しようとした結果、学校中の男子たちに身体を狙われてしまう事に。
果たして翔馬は、無事、平穏を取り戻せるのか?
また、恋の行方は如何に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる