美少年は男嫌い

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ギャル(光)

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隼人さんが薄幸美人に会った、と言っていたから会えるのかな、とワクワクして行けば、今日はもう一人の新人さんに遭遇した。

なんて言うか、苦手なタイプだ。大学生と言ってだから、勉強はできるのだと思うけれど、煩い。ずっと喋っている。
僕は超可愛いらしい。ウケる、らしい。不快だ。

一番不快なのは、隼人さんと挨拶した時に、「やば。イケメン」って呟いたことだ。

ああ、隼人さんの魅力をわかる女子が現れてしまった。これは喜ぶべきなのか?
対する隼人さんは、凄く塩対応。わかる、わかるよ。隼人さんの苦手なタイプみたいで一安心。

「ねーねー、光っち。それさー、キスマーク?彼女いんの?」

すかさず首を押さえてしまう。隼人さんに噛みつかれた跡だなんて、牽制でも言えない。ただひたすら顔を赤くする僕に尋ねることを諦めて、あろうことか隼人さんに耳打ちしている。

隼人さんは嫌がるかと思ったら、盛大に吹き出し、楽しそうに笑っている。何を言ったのか気になる。こうして、引きで見ると、何となくお似合いに見えないこともなく、それが地味に応えた。

休憩時間以外は出会うこともなく、いつもの二人に戻るが、今日に限っては凄く嬉しい。

隼人さんはいつもの調子で、ふんふん鼻歌を歌いながら、皿を洗っていく。仕事の最中は余計なことを考えないで済むから楽だ。汚れと共に、自分の嫌な気持ちも流れていく。

「光、その、ごめんな。」
首筋の痕をからかわれたのを思い出し、首を横に振る。隼人さんが好きなのは、自分だと思えるから、大丈夫。ただ傷をつけられたのではないから。

「今度は僕がつけてあげるね。」
と返すと、隼人さんが恥ずかしそうに笑った。意外と筋肉質な隼人さんの裸を思い出す。ふと赤くなったのを、見て隼人さんが穏やかな笑顔を向けたのを見逃した。

終わる時間はいつもより早いものの、二人だけで帰れたわけではなく、当たり前のように、あのギャルがいた。しかも隼人さんの腕を馴れ馴れしく組んでいる。隼人さんも特に嫌がらず、されるがままなのは、納得がいかないのだけど。

ギャルの人を送り届け、二人になったら、隼人さんの顔が、僕の肩に落ちてくる。頭を撫でると呻き声がして、「うぅ、香水クセェ」と呟いた。

さっきまで、二人の距離が近くて、腹が立っていたのが嘘みたいだ。隼人さんは、キツイ香水の匂いが苦手でずっと我慢していたと知って、笑いがこぼれる。

「もう少し嗅がして。」
ひとしきり人の匂いを嗅いで、僕だって汗臭いと思うのに、気が済んだのか、すっきりした顔で隼人さんが顔を上げた。

そのままキスをすると、ほのかな香水の残り香を吸い込んだ。

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