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パニック(隼人)
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いやいや、待って、ちょっと待ってね。えーと、一つ言ってもいいかな?
大澤君にキスされて、俺が一番言いたかったセリフ。
お前はいいのかよ!
俺は欲情しちゃダメでお前はいいんだ…ちょっと訳がわからない。
大澤君は女の子が好きだったんじゃないの?男にキスして、どうすんの。
今日は頭が回らない。とりあえず朝ごはん食べて、お弁当を持たせる。その間気まずい空気がずっと流れていて、どうしろと!大澤君は大澤君でなんだか傷ついた顔してるし。
いや、君、した方だからね。
俺、された方だから!
学校まで歩いて、しず香に大澤君を届けて、自分は屋上に向かった。
屋上の鍵をあけて、入る。
大きなため息をつく。ぐちゃぐちゃな頭で考えて、大澤君を想う。
なんで、キスなんか…堂々巡りが始まっている。自分で思っているより自分が混乱しているのがわかった。
やっぱり聞くべきだよな。
なんかあったから、何かの気の迷いで…
あ、違う。ダメだ。また同じことを繰り返しそうになっていると思う。
過去の遺物。大澤君と全く似ていない、彼のことを思い出す。
彼は中学の同級生で、お互い片親で、あっちは父親、こっちは母親と二人暮らし。
あっちは暴力、こっちはネグレクトで、まあ、家族との絆が希薄で、友達もお互いしかいなかった。
よく家にも来たし、泊めた。帰れないって言うから。一緒に遊んだり、ご飯食べたりして、楽しかった。
その頃は一番の親友だと思ってた。
全てが嘘だったのを知った時、僕は好きだと言ってくれた唯一のやつを拒絶した。気持ち悪いこと言うなよ、と。
彼は嘘つきだった。片親でもない。
お坊ちゃんで、金持ちだった。
俺の境遇に同情し、嘘をついていただけだ。
嘘なら喜ぶべきだ。幸せな人生を、俺が望む人生をお前は送っているのだから。
なのになんでこんなに辛いのだろう。
同じ…じゃない。大澤君は嘘つきなんかじゃない。けど、また同じことが起きたらもう俺は立ち直れない。
頭がぐちゃぐちゃだ。
いつも彼のことを思い出すと泣いてしまう。悔しさと、申し訳なさで。
今思えば、共依存みたいな関係だったのかな。
だから、それが壊れた時、自分すら飛び散ってしまった。今の自分は残りカスだ。
人を元気づけたり、世話をやいたり、大切にされたりする資格は俺にはない。
今まですっかり忘れていた。大事なことなのに。
大澤君にキスされて、俺が一番言いたかったセリフ。
お前はいいのかよ!
俺は欲情しちゃダメでお前はいいんだ…ちょっと訳がわからない。
大澤君は女の子が好きだったんじゃないの?男にキスして、どうすんの。
今日は頭が回らない。とりあえず朝ごはん食べて、お弁当を持たせる。その間気まずい空気がずっと流れていて、どうしろと!大澤君は大澤君でなんだか傷ついた顔してるし。
いや、君、した方だからね。
俺、された方だから!
学校まで歩いて、しず香に大澤君を届けて、自分は屋上に向かった。
屋上の鍵をあけて、入る。
大きなため息をつく。ぐちゃぐちゃな頭で考えて、大澤君を想う。
なんで、キスなんか…堂々巡りが始まっている。自分で思っているより自分が混乱しているのがわかった。
やっぱり聞くべきだよな。
なんかあったから、何かの気の迷いで…
あ、違う。ダメだ。また同じことを繰り返しそうになっていると思う。
過去の遺物。大澤君と全く似ていない、彼のことを思い出す。
彼は中学の同級生で、お互い片親で、あっちは父親、こっちは母親と二人暮らし。
あっちは暴力、こっちはネグレクトで、まあ、家族との絆が希薄で、友達もお互いしかいなかった。
よく家にも来たし、泊めた。帰れないって言うから。一緒に遊んだり、ご飯食べたりして、楽しかった。
その頃は一番の親友だと思ってた。
全てが嘘だったのを知った時、僕は好きだと言ってくれた唯一のやつを拒絶した。気持ち悪いこと言うなよ、と。
彼は嘘つきだった。片親でもない。
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俺の境遇に同情し、嘘をついていただけだ。
嘘なら喜ぶべきだ。幸せな人生を、俺が望む人生をお前は送っているのだから。
なのになんでこんなに辛いのだろう。
同じ…じゃない。大澤君は嘘つきなんかじゃない。けど、また同じことが起きたらもう俺は立ち直れない。
頭がぐちゃぐちゃだ。
いつも彼のことを思い出すと泣いてしまう。悔しさと、申し訳なさで。
今思えば、共依存みたいな関係だったのかな。
だから、それが壊れた時、自分すら飛び散ってしまった。今の自分は残りカスだ。
人を元気づけたり、世話をやいたり、大切にされたりする資格は俺にはない。
今まですっかり忘れていた。大事なことなのに。
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