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美少年(光)
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何の因果か美少年に生まれてしまった。
結構困っている。女の子に好かれるタイプの美少年ではなく、男に、しかもおっさんに好かれるタイプの美少年だ。
街を歩けば、路地に連れ込まれ、そもそも家族にすら舐め回すような目を向けられ、貞操の危機が多すぎる。
格闘技を覚えるも、トレーナーに欲情され羽交い締めにされた経験から、すぐに辞めてしまった。
みんな、僕は女の子が好きなので、男とはできません、というと、一様に嬉しそうな顔をする。何で断ってるのに、嬉しそうなんだ。友達の南にきくと、「それはね、じゃあ、君の初めてを僕が奪えるんだね?って思ってるからだよ。」と教えてくれた。あ、そう。怖いな。
南は同じクラスの女の子。男の子とは友達になれないから、女の子とつるんでいる。共学なのに、何で男に興味を持つか、未だにわからない。
男の子と友達になれないのは、お察しの通りです、はい。
男と2人きりになると、そこがどこであっても、一緒にいるのが誰であっても、急に欲情されるのだから、友達でなんかいられない。
学校では、男の先生も要注意だ。
理科準備室で、睡眠薬らしきものを嗅がされた時はさすがにやばいと思った。
ついに、やられる、と思った。
先生が、保健室に僕を寝かせて、ズボンを下ろそうとしたときに、誰かが入って来なければ、僕はやられていた。
ありがとう、誰か!
僕は保健室で保健の先生に優しく起こされて、睡眠不足を解消し、家に帰る。
家に帰る前に本屋に入る。参考書を買おうとして、上の棚に手を伸ばす。そこで、僕は固まった。
あ、これ、ヤバイ。
痴漢だ。
近くにはかわいい女の子だっているのに、なんで僕?
嫌だ、気持ち悪い。触らないで。
自分のを擦り付けてこないで。
場所を離れたいのに、やたらと混んでて、身動きが取れない。
怖い、誰か助けて。
ふと目の前に、金髪のヤンキーが現れた。スマホをかざして、「何してんの、お兄さん。」と痴漢から助け出してくれる。
足がガクガクしているまま、お礼を言って謝る。凄く心配してくれてるみたいだ。
でも、この人に欲情されないとも限らない。僕は参考書を買わずに、何も言わずに帰ってきてしまった。
変なやつと思われたかな。
僕は高校生だが、一人暮らしだ。
家族から、特に父と兄から、変な目で見られていた僕は、母を説得し、一人暮らしを始めた。
たまに、父や兄が訪ねてくるが、家には入れないようにしている。
うちは、やり部屋じゃねーんだよ。
家族と住んでいた時は、母も姉も妹もいたから、大丈夫だったんだな、と自分の浅はかさを呪った。
一人暮らしの部屋なんてあいつらからしたら絶好のシチュエーションじゃないか。
ゾッとする。
他の人とシェアするにも、その人に欲情されたら元も子もない。
つくづく生きづらい。
整形したらいいのかな。顔を変えたら、なくなるんだろうか、この手の悩みは。
整形するには、金がかかる。
親には出してもらえない。特に父には。
見返りに体を要求されるに決まっている。
とりあえず人に会わなくて済むバイトないかな。
16歳以上で、OKな所探さなきゃ。
結構困っている。女の子に好かれるタイプの美少年ではなく、男に、しかもおっさんに好かれるタイプの美少年だ。
街を歩けば、路地に連れ込まれ、そもそも家族にすら舐め回すような目を向けられ、貞操の危機が多すぎる。
格闘技を覚えるも、トレーナーに欲情され羽交い締めにされた経験から、すぐに辞めてしまった。
みんな、僕は女の子が好きなので、男とはできません、というと、一様に嬉しそうな顔をする。何で断ってるのに、嬉しそうなんだ。友達の南にきくと、「それはね、じゃあ、君の初めてを僕が奪えるんだね?って思ってるからだよ。」と教えてくれた。あ、そう。怖いな。
南は同じクラスの女の子。男の子とは友達になれないから、女の子とつるんでいる。共学なのに、何で男に興味を持つか、未だにわからない。
男の子と友達になれないのは、お察しの通りです、はい。
男と2人きりになると、そこがどこであっても、一緒にいるのが誰であっても、急に欲情されるのだから、友達でなんかいられない。
学校では、男の先生も要注意だ。
理科準備室で、睡眠薬らしきものを嗅がされた時はさすがにやばいと思った。
ついに、やられる、と思った。
先生が、保健室に僕を寝かせて、ズボンを下ろそうとしたときに、誰かが入って来なければ、僕はやられていた。
ありがとう、誰か!
僕は保健室で保健の先生に優しく起こされて、睡眠不足を解消し、家に帰る。
家に帰る前に本屋に入る。参考書を買おうとして、上の棚に手を伸ばす。そこで、僕は固まった。
あ、これ、ヤバイ。
痴漢だ。
近くにはかわいい女の子だっているのに、なんで僕?
嫌だ、気持ち悪い。触らないで。
自分のを擦り付けてこないで。
場所を離れたいのに、やたらと混んでて、身動きが取れない。
怖い、誰か助けて。
ふと目の前に、金髪のヤンキーが現れた。スマホをかざして、「何してんの、お兄さん。」と痴漢から助け出してくれる。
足がガクガクしているまま、お礼を言って謝る。凄く心配してくれてるみたいだ。
でも、この人に欲情されないとも限らない。僕は参考書を買わずに、何も言わずに帰ってきてしまった。
変なやつと思われたかな。
僕は高校生だが、一人暮らしだ。
家族から、特に父と兄から、変な目で見られていた僕は、母を説得し、一人暮らしを始めた。
たまに、父や兄が訪ねてくるが、家には入れないようにしている。
うちは、やり部屋じゃねーんだよ。
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一人暮らしの部屋なんてあいつらからしたら絶好のシチュエーションじゃないか。
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つくづく生きづらい。
整形したらいいのかな。顔を変えたら、なくなるんだろうか、この手の悩みは。
整形するには、金がかかる。
親には出してもらえない。特に父には。
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