9 / 16
元侍女 リアナ
しおりを挟む
お久しぶりです、元旦那様。覚えていらしたんですね。そう、貴方がクビにした女です。貴方の最初の恋人を虐めたとか言うありえない罪で紹介状もなしに放り出された可哀想な侍女です。
今となっては、私に味方した方が良かったでしょう?私が言った通り、あの女性は裏切り者だったでしょう?反省されました?
親切からの言葉でしたのに、私あれから大変苦労したのです。紹介状がなかったものですから。此方こそ慰謝料請求したいぐらいでしたわ。
フフ、冗談です、冗談。
え?どうしてここにいるのか、ですか。
私が此方で働いていた時のことで、聞きたいことがあると呼び出されたんです。エルナさんに。
彼女、今や侍女長なんですね。私に侍女の仕事を教えてくださったのは、エルナさんなんですよ。
私ですか?今は別のお屋敷で家庭教師をしています。侍女からは大出世でしょう?
幸運なことに、此方を辞めてから、運が向いてきましてね。ここだけの話、宝くじが当たりまして。学園に通えるようになったんです。
憧れの学園ですよ。私、貧乏男爵家の生まれでして。お恥ずかしながら、学園には通えなかったんですよ。卒業した後、婚約も決まり、婚約者の家から良いご家庭を紹介していただいて、今そちらのお嬢様の家庭教師をしています。
私、自分で思うより勉強が好きだったようで、侍女から家庭教師になるために、勉強したのです。
結婚は一年後なのですが、立食形式のガーデンパーティーで誰でも参加自由ですので、元旦那様も是非。
ただ、そちらの格好ですと、些か野生的過ぎますので、出来れば髭ぐらいは整えて来られた方がよろしいかと。
私、そろそろ行きますわね。少し用事がございますの。
あら。花屋の方のようですね。ほら、彼方に。庭師の方とお話ししていらっしゃる。旦那様は、ああいった清楚系は苦手なんでしたよね。ほら、あのイリス様を思い出すから。
いえいえ、意地悪で言っている訳ではございません。
奥様も所謂そちら系でしょう?だから苦手なのかと思いましたの。でなければ、奥様を放り投げ、別の女性に走る意味がわかりませんもの。
それにしても、この景色は変わりませんね。私、働いていた時、良く此方の庭を手伝っていたので、懐かしいです。
花屋さんが来られているぐらいですから、花壇は随分と色んな花で咲き乱れておりますわね。
花、といえば、花言葉。今教えているお嬢様が花言葉が大好きで、良く聞かれるのですわ。
私も花言葉なんて、これまでは考えたことすらありませんでした。
旦那様は愛人の方々に花を贈ることはございますの?
花より宝石やドレスなどを喜ぶ?まあ。それはそれは。
それはある意味仕方がないことかもしれませんわね。花を愛でるには人生に余裕がある必要がありますもの。
すみません。長々と。私の話に付き合っていただきありがとうございました。
では、失礼いたします。
今となっては、私に味方した方が良かったでしょう?私が言った通り、あの女性は裏切り者だったでしょう?反省されました?
親切からの言葉でしたのに、私あれから大変苦労したのです。紹介状がなかったものですから。此方こそ慰謝料請求したいぐらいでしたわ。
フフ、冗談です、冗談。
え?どうしてここにいるのか、ですか。
私が此方で働いていた時のことで、聞きたいことがあると呼び出されたんです。エルナさんに。
彼女、今や侍女長なんですね。私に侍女の仕事を教えてくださったのは、エルナさんなんですよ。
私ですか?今は別のお屋敷で家庭教師をしています。侍女からは大出世でしょう?
幸運なことに、此方を辞めてから、運が向いてきましてね。ここだけの話、宝くじが当たりまして。学園に通えるようになったんです。
憧れの学園ですよ。私、貧乏男爵家の生まれでして。お恥ずかしながら、学園には通えなかったんですよ。卒業した後、婚約も決まり、婚約者の家から良いご家庭を紹介していただいて、今そちらのお嬢様の家庭教師をしています。
私、自分で思うより勉強が好きだったようで、侍女から家庭教師になるために、勉強したのです。
結婚は一年後なのですが、立食形式のガーデンパーティーで誰でも参加自由ですので、元旦那様も是非。
ただ、そちらの格好ですと、些か野生的過ぎますので、出来れば髭ぐらいは整えて来られた方がよろしいかと。
私、そろそろ行きますわね。少し用事がございますの。
あら。花屋の方のようですね。ほら、彼方に。庭師の方とお話ししていらっしゃる。旦那様は、ああいった清楚系は苦手なんでしたよね。ほら、あのイリス様を思い出すから。
いえいえ、意地悪で言っている訳ではございません。
奥様も所謂そちら系でしょう?だから苦手なのかと思いましたの。でなければ、奥様を放り投げ、別の女性に走る意味がわかりませんもの。
それにしても、この景色は変わりませんね。私、働いていた時、良く此方の庭を手伝っていたので、懐かしいです。
花屋さんが来られているぐらいですから、花壇は随分と色んな花で咲き乱れておりますわね。
花、といえば、花言葉。今教えているお嬢様が花言葉が大好きで、良く聞かれるのですわ。
私も花言葉なんて、これまでは考えたことすらありませんでした。
旦那様は愛人の方々に花を贈ることはございますの?
花より宝石やドレスなどを喜ぶ?まあ。それはそれは。
それはある意味仕方がないことかもしれませんわね。花を愛でるには人生に余裕がある必要がありますもの。
すみません。長々と。私の話に付き合っていただきありがとうございました。
では、失礼いたします。
321
お気に入りに追加
450
あなたにおすすめの小説
元妃は多くを望まない
つくも茄子
恋愛
シャーロット・カールストン侯爵令嬢は、元上級妃。
このたび、めでたく(?)国王陛下の信頼厚い側近に下賜された。
花嫁は下賜された翌日に一人の侍女を伴って郵便局に赴いたのだ。理由はお世話になった人達にある書類を郵送するために。
その足で実家に出戻ったシャーロット。
実はこの下賜、王命でのものだった。
それもシャーロットを公の場で断罪したうえでの下賜。
断罪理由は「寵妃の悪質な嫌がらせ」だった。
シャーロットには全く覚えのないモノ。当然、これは冤罪。
私は、あなたたちに「誠意」を求めます。
誠意ある対応。
彼女が求めるのは微々たるもの。
果たしてその結果は如何に!?
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
みんながみんな「あの子の方がお似合いだ」というので、婚約の白紙化を提案してみようと思います
下菊みこと
恋愛
ちょっとどころかだいぶ天然の入ったお嬢さんが、なんとか頑張って婚約の白紙化を狙った結果のお話。
御都合主義のハッピーエンドです。
元鞘に戻ります。
ざまぁはうるさい外野に添えるだけ。
小説家になろう様でも投稿しています。
【完結】旦那に愛人がいると知ってから
よどら文鳥
恋愛
私(ジュリアーナ)は旦那のことをヒーローだと思っている。だからこそどんなに性格が変わってしまっても、いつの日か優しかった旦那に戻ることを願って今もなお愛している。
だが、私の気持ちなどお構いなく、旦那からの容赦ない暴言は絶えない。当然だが、私のことを愛してはくれていないのだろう。
それでも好きでいられる思い出があったから耐えてきた。
だが、偶然にも旦那が他の女と腕を組んでいる姿を目撃してしまった。
「……あの女、誰……!?」
この事件がきっかけで、私の大事にしていた思い出までもが崩れていく。
だが、今までの苦しい日々から解放される試練でもあった。
※前半が暗すぎるので、明るくなってくるところまで一気に更新しました。
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!
ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、
1年以内に妊娠そして出産。
跡継ぎを産んで女主人以上の
役割を果たしていたし、
円満だと思っていた。
夫の本音を聞くまでは。
そして息子が他人に思えた。
いてもいなくてもいい存在?萎んだ花?
分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。
* 作り話です
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
【完結】「心に決めた人がいる」と旦那様は言った
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
「俺にはずっと心に決めた人がいる。俺が貴方を愛することはない。貴女はその人を迎え入れることさえ許してくれればそれで良いのです。」
そう言われて愛のない結婚をしたスーザン。
彼女にはかつて愛した人との思い出があった・・・
産業革命後のイギリスをモデルにした架空の国が舞台です。貴族制度など独自の設定があります。
----
初めて書いた小説で初めての投稿で沢山の方に読んでいただき驚いています。
終わり方が納得できない!という方が多かったのでエピローグを追加します。
お読みいただきありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる