3 / 8
真実①
しおりを挟む
伯爵令嬢の死について思うことなどは、侍女にはなかった。彼女が過労死したことだって、あの程度で音を上げることに疑問を感じたぐらいだ。だってシンシア嬢の方が遥かにたくさんのことをこなしていたし、アリス嬢はそのシンシア嬢を差し置いて、その立場に成り代わろうというのだから、大変なのは覚悟の上だと思っていた。
ここだけの話、ミカエル第二王子殿下は陛下の子ではない。王妃の不貞によって生まれた子だ。陛下の血が入っていないのは怠惰な性格や、能力を見てもよくわかる。王妃様のお気に入りの伯爵は、シューデルト家を継いでいて、妻との間に一男一女を設けていた。
ミカエル様の好みは王妃と同じらしい。異母妹のアリスと結婚をさせられないと王妃は何とかして、シンシア嬢に婚約を元に戻して貰おうと画策していた。
間近で見ていてわかることは、シンシア嬢はミカエル様を毛嫌いしていることぐらい。自分の人生を諦めて、国の為に働くことで、何とか喜びを得ようと頑張っていた。それは侍女も同じだ。アリス嬢の為に働く気などは更々無くとも、これがシンシア嬢の幸せに繋がるのであれば、嫌がるアリス嬢に発破をかけてその地位に留まらせることぐらいは出来る。
王妃によってアリスにつけられた侍女であるが、本当の雇用主は陛下であり、王太子殿下である。
王妃は陛下を欺いているつもりだが、最初から企みはバレている。因みに王妃のお気に入りの伯爵も、王妃を愛している訳ではない。あまりにもしつこく執着してくる為に、妻子を守る為に従ったフリをしただけだ。
勿論ミカエル様の実父などではない。王妃を欺いて、陛下の指示で当てがわれたのは、伯爵によく似た別人だった。彼の正体は詳しくは知らない。そこまでは侍女には知らされなかった。
一説には詐欺事件を起こした貴族の末端で、陛下と司法取引をしたらしい。王妃の相手をしてくれるなら、監視付きで平民として暮らしても良いと。
監視付きと言うからには、罪などは犯せない。それでも、彼は従った。騙された王妃を哀れには思うが、そもそも自分には関係のないことだと、彼は目を瞑ることにしたらしい。
侍女は、アリス嬢が居なくなって王妃付きに戻らずに王太子付きに抜擢された。王妃は未だに侍女の主人でいるつもりだから、スパイとしての彼女の働きを期待しているが、第二王子ミカエルが失脚したのだから、もう既に詰んでいる。
伯爵家はアリス嬢の死後、同盟国に移り住んだ。娘を殺されてまで従う気はないのだろうし、それが最初からの取り決めだったのだ。
残るは王妃の死のタイミングだけ。彼女は夢を見ているままに、儚くなる予定だ。
ここだけの話、ミカエル第二王子殿下は陛下の子ではない。王妃の不貞によって生まれた子だ。陛下の血が入っていないのは怠惰な性格や、能力を見てもよくわかる。王妃様のお気に入りの伯爵は、シューデルト家を継いでいて、妻との間に一男一女を設けていた。
ミカエル様の好みは王妃と同じらしい。異母妹のアリスと結婚をさせられないと王妃は何とかして、シンシア嬢に婚約を元に戻して貰おうと画策していた。
間近で見ていてわかることは、シンシア嬢はミカエル様を毛嫌いしていることぐらい。自分の人生を諦めて、国の為に働くことで、何とか喜びを得ようと頑張っていた。それは侍女も同じだ。アリス嬢の為に働く気などは更々無くとも、これがシンシア嬢の幸せに繋がるのであれば、嫌がるアリス嬢に発破をかけてその地位に留まらせることぐらいは出来る。
王妃によってアリスにつけられた侍女であるが、本当の雇用主は陛下であり、王太子殿下である。
王妃は陛下を欺いているつもりだが、最初から企みはバレている。因みに王妃のお気に入りの伯爵も、王妃を愛している訳ではない。あまりにもしつこく執着してくる為に、妻子を守る為に従ったフリをしただけだ。
勿論ミカエル様の実父などではない。王妃を欺いて、陛下の指示で当てがわれたのは、伯爵によく似た別人だった。彼の正体は詳しくは知らない。そこまでは侍女には知らされなかった。
一説には詐欺事件を起こした貴族の末端で、陛下と司法取引をしたらしい。王妃の相手をしてくれるなら、監視付きで平民として暮らしても良いと。
監視付きと言うからには、罪などは犯せない。それでも、彼は従った。騙された王妃を哀れには思うが、そもそも自分には関係のないことだと、彼は目を瞑ることにしたらしい。
侍女は、アリス嬢が居なくなって王妃付きに戻らずに王太子付きに抜擢された。王妃は未だに侍女の主人でいるつもりだから、スパイとしての彼女の働きを期待しているが、第二王子ミカエルが失脚したのだから、もう既に詰んでいる。
伯爵家はアリス嬢の死後、同盟国に移り住んだ。娘を殺されてまで従う気はないのだろうし、それが最初からの取り決めだったのだ。
残るは王妃の死のタイミングだけ。彼女は夢を見ているままに、儚くなる予定だ。
311
お気に入りに追加
195
あなたにおすすめの小説

覚悟はありますか?
翔王(とわ)
恋愛
私は王太子の婚約者として10年以上すぎ、王太子妃教育も終わり、学園卒業後に結婚し王妃教育が始まる間近に1人の令嬢が発した言葉で王族貴族社会が荒れた……。
「あたし、王太子妃になりたいんですぅ。」
ご都合主義な創作作品です。
異世界版ギャル風な感じの話し方も混じりますのでご了承ください。
恋愛カテゴリーにしてますが、恋愛要素は薄めです。


大公殿下と結婚したら実は姉が私を呪っていたらしい
Ruhuna
恋愛
容姿端麗、才色兼備の姉が実は私を呪っていたらしい
そんなこととは知らずに大公殿下に愛される日々を穏やかに過ごす
3/22 完結予定
3/18 ランキング1位 ありがとうございます

『親友』との時間を優先する婚約者に別れを告げたら
黒木メイ
恋愛
筆頭聖女の私にはルカという婚約者がいる。教会に入る際、ルカとは聖女の契りを交わした。会えない間、互いの不貞を疑う必要がないようにと。
最初は順調だった。燃えるような恋ではなかったけれど、少しずつ心の距離を縮めていけたように思う。
けれど、ルカは高等部に上がり、変わってしまった。その背景には二人の男女がいた。マルコとジュリア。ルカにとって初めてできた『親友』だ。身分も性別も超えた仲。『親友』が教えてくれる全てのものがルカには新鮮に映った。広がる世界。まるで生まれ変わった気分だった。けれど、同時に終わりがあることも理解していた。だからこそ、ルカは学生の間だけでも『親友』との時間を優先したいとステファニアに願い出た。馬鹿正直に。
そんなルカの願いに対して私はダメだとは言えなかった。ルカの気持ちもわかるような気がしたし、自分が心の狭い人間だとは思いたくなかったから。一ヶ月に一度あった逢瀬は数ヶ月に一度に減り、半年に一度になり、とうとう一年に一度まで減った。ようやく会えたとしてもルカの話題は『親友』のことばかり。さすがに堪えた。ルカにとって自分がどういう存在なのか痛いくらいにわかったから。
極めつけはルカと親友カップルの歪な三角関係についての噂。信じたくはないが、間違っているとも思えなかった。もう、半ば受け入れていた。ルカの心はもう自分にはないと。
それでも婚約解消に至らなかったのは、聖女の契りが継続していたから。
辛うじて繋がっていた絆。その絆は聖女の任期終了まで後数ヶ月というところで切れた。婚約はルカの有責で破棄。もう関わることはないだろう。そう思っていたのに、何故かルカは今更になって執着してくる。いったいどういうつもりなの?
戸惑いつつも情を捨てきれないステファニア。プライドは捨てて追い縋ろうとするルカ。さて、二人の未来はどうなる?
※曖昧設定。
※別サイトにも掲載。

王太子エンドを迎えたはずのヒロインが今更私の婚約者を攻略しようとしているけどさせません
黒木メイ
恋愛
日本人だった頃の記憶があるクロエ。
でも、この世界が乙女ゲームに似た世界だとは知らなかった。
知ったのはヒロインらしき人物が落とした『攻略ノート』のおかげ。
学園も卒業して、ヒロインは王太子エンドを無事に迎えたはずなんだけど……何故か今になってヒロインが私の婚約者に近づいてきた。
いったい、何を考えているの?!
仕方ない。現実を見せてあげましょう。
と、いうわけでクロエは婚約者であるダニエルに告げた。
「しばらくの間、実家に帰らせていただきます」
突然告げられたクロエ至上主義なダニエルは顔面蒼白。
普段使わない頭を使ってクロエに戻ってきてもらう為に奮闘する。
※わりと見切り発車です。すみません。
※小説家になろう様にも掲載。(7/21異世界転生恋愛日間1位)
第12回ネット小説大賞 小説部門入賞!
書籍化作業進行中
(宝島社様から大幅加筆したものを出版予定です)

断罪される一年前に時間を戻せたので、もう愛しません
天宮有
恋愛
侯爵令嬢の私ルリサは、元婚約者のゼノラス王子に断罪されて処刑が決まる。
私はゼノラスの命令を聞いていただけなのに、捨てられてしまったようだ。
処刑される前日、私は今まで試せなかった時間を戻す魔法を使う。
魔法は成功して一年前に戻ったから、私はゼノラスを許しません。

手順を踏んだ愛ならばよろしいと存じます
Ruhuna
恋愛
フェリシアナ・レデスマ侯爵令嬢は10年と言う長い月日を王太子妃教育に注ぎ込んだ
婚約者であり王太子のロレンシオ・カルニセルとの仲は良くも悪くもなかったであろう
政略的な婚約を結んでいた2人の仲に暗雲が立ち込めたのは1人の女性の存在
巷で流行している身分差のある真実の恋の物語
フェリシアナは王太子の愚行があるのでは?と覚悟したがーーーー

【完結】身分に見合う振る舞いをしていただけですが…ではもう止めますからどうか平穏に暮らさせて下さい。
まりぃべる
恋愛
私は公爵令嬢。
この国の高位貴族であるのだから身分に相応しい振る舞いをしないとね。
ちゃんと立場を理解できていない人には、私が教えて差し上げませんと。
え?口うるさい?婚約破棄!?
そうですか…では私は修道院に行って皆様から離れますからどうぞお幸せに。
☆
あくまでもまりぃべるの世界観です。王道のお話がお好みの方は、合わないかと思われますので、そこのところ理解いただき読んでいただけると幸いです。
☆★
全21話です。
出来上がってますので随時更新していきます。
途中、区切れず長い話もあってすみません。
読んで下さるとうれしいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる