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それからのこと
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「お母様、見て!」
虹のような光を出して見せてくれるのは娘のメアリー。庭の水まきをして、虹を見たのをきっかけに、すぐに消えない虹を魔法で作り出すことに執念を燃やし、アイリスの誕生日に見せるのだと息巻いていた。
あれからチェルティ公爵家はアイリスが継いだ。前公爵は自分が娘にしたことはすっかり忘れて、ただの気の良い祖父として、偶に孫に会いにくる。
あれから王家に煩わされることはなくなった。メアリーも、弟のカインも、王家から婚約の話が来ることはない。ジェイミーとリリスの第一子として、発表されているが、実はジェイドの子である今の第一王子は、メアリーをどこかで見初めて婚約者にと望んでいるが、前王妃含め、両親の猛反対に、今は大人しくしている。
メアリーはメアリーで、特にこちらから王家について話をしたことはないのだが、王家よりも普通に暮らしたいと、今は魔法を使うことを純粋に楽しんでいる。
カインはまだ幼いが、イーサンのように生まれた時から、魔力が多く、暴走を防ぐ為に魔道具をつけている。鑑定によると、魅了魔法は引き継いでいなかった。
「それなのに、どうしてこんなに可愛いんだ?」
イーサンの言葉に吹き出すのはアイリス。
「貴方だって、魅了魔法がなくても十分可愛かったわよ。今のカインそっくり。」
確かにメアリーもカインもイーサンによく似ているが、イーサンからすれば、どちらかと言うとアイリスに似て欲しかった。
「私は産んだから母だけど、父親は似ないと実感しづらいんじゃないかしら。私がそうだったもの。」
「俺はアイリスに似た方が単純に可愛いだろうな、と思ったんだけど。でも、俺とアイリスのこどもだから、最初から可愛くて愛おしいんだから、どちらにしても同じだな。」
カインはメアリーとは少し違い、内向的なところがあるらしい。イーサンも苦手な難しい本を読みたがる。
「カインの勤勉さは絶対アイリスに似たんだな。」
「私も今まで、血なんて何の役にも立たないと思っていたけど。この子達を見ていたら、その想いも間違いだったと気づくわね。」
イーサンは気を抜くと難しく考えてしまいがちなアイリスの肩を抱き、額に口付ける。
「どうしたの?」
「いや、三人目は欲しくないかな、って。」
「え?弟か妹ができるの?私、どちらでも良いけれど、妹が欲しいわ。」
どこからか現れたメアリーが勝手なことを言うがまだ産み分ける魔道具は開発途中で、完成していない。
「弟でも良いわ。だってカインがあんなに可愛いんですもの。」
ニコッと笑うメアリーは、顔はイーサンにそっくりなのに、あの日に好きになったアイリスにもよく似ていて、ハッとした。
「娘からのリクエストは無碍にはできないね?」
とはいえ、それからは神の領域。産ませやすくする魔道具は作れても、必ず授かるかはわからない。
それでも、三人目の子供に会えたのはそれからすぐのことだった。
待望のアイリス似の可愛い男の子。メアリーは妹を引き続きご所望だったが、次男も大層可愛がった。
アイリスによく似た次男アイザックが、成長するにつれて、魔性の男と呼ばれるようになるのはまた別の話。
今はただ可愛い妻と子供に癒されてイーサンは生きている。
終わり
読んでいただきありがとうございました。 mios
虹のような光を出して見せてくれるのは娘のメアリー。庭の水まきをして、虹を見たのをきっかけに、すぐに消えない虹を魔法で作り出すことに執念を燃やし、アイリスの誕生日に見せるのだと息巻いていた。
あれからチェルティ公爵家はアイリスが継いだ。前公爵は自分が娘にしたことはすっかり忘れて、ただの気の良い祖父として、偶に孫に会いにくる。
あれから王家に煩わされることはなくなった。メアリーも、弟のカインも、王家から婚約の話が来ることはない。ジェイミーとリリスの第一子として、発表されているが、実はジェイドの子である今の第一王子は、メアリーをどこかで見初めて婚約者にと望んでいるが、前王妃含め、両親の猛反対に、今は大人しくしている。
メアリーはメアリーで、特にこちらから王家について話をしたことはないのだが、王家よりも普通に暮らしたいと、今は魔法を使うことを純粋に楽しんでいる。
カインはまだ幼いが、イーサンのように生まれた時から、魔力が多く、暴走を防ぐ為に魔道具をつけている。鑑定によると、魅了魔法は引き継いでいなかった。
「それなのに、どうしてこんなに可愛いんだ?」
イーサンの言葉に吹き出すのはアイリス。
「貴方だって、魅了魔法がなくても十分可愛かったわよ。今のカインそっくり。」
確かにメアリーもカインもイーサンによく似ているが、イーサンからすれば、どちらかと言うとアイリスに似て欲しかった。
「私は産んだから母だけど、父親は似ないと実感しづらいんじゃないかしら。私がそうだったもの。」
「俺はアイリスに似た方が単純に可愛いだろうな、と思ったんだけど。でも、俺とアイリスのこどもだから、最初から可愛くて愛おしいんだから、どちらにしても同じだな。」
カインはメアリーとは少し違い、内向的なところがあるらしい。イーサンも苦手な難しい本を読みたがる。
「カインの勤勉さは絶対アイリスに似たんだな。」
「私も今まで、血なんて何の役にも立たないと思っていたけど。この子達を見ていたら、その想いも間違いだったと気づくわね。」
イーサンは気を抜くと難しく考えてしまいがちなアイリスの肩を抱き、額に口付ける。
「どうしたの?」
「いや、三人目は欲しくないかな、って。」
「え?弟か妹ができるの?私、どちらでも良いけれど、妹が欲しいわ。」
どこからか現れたメアリーが勝手なことを言うがまだ産み分ける魔道具は開発途中で、完成していない。
「弟でも良いわ。だってカインがあんなに可愛いんですもの。」
ニコッと笑うメアリーは、顔はイーサンにそっくりなのに、あの日に好きになったアイリスにもよく似ていて、ハッとした。
「娘からのリクエストは無碍にはできないね?」
とはいえ、それからは神の領域。産ませやすくする魔道具は作れても、必ず授かるかはわからない。
それでも、三人目の子供に会えたのはそれからすぐのことだった。
待望のアイリス似の可愛い男の子。メアリーは妹を引き続きご所望だったが、次男も大層可愛がった。
アイリスによく似た次男アイザックが、成長するにつれて、魔性の男と呼ばれるようになるのはまた別の話。
今はただ可愛い妻と子供に癒されてイーサンは生きている。
終わり
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みんなの感想(3件)
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初めまして。
他の物語も読み始めておりますが、エピソードの仕掛けなどに引き込まれてドキドキしながらページをめくっております。
更新楽しみにしております。
わーい、初めまして。感想ありがとうございます。あと少しで終わる予定ですが、楽しんでいただけると嬉しいです。
たびたび失礼致します。
罰の内容が分かったかもしれません。
我儘を発現させるのは人前であるわけですから、
蚊を見たら痒くなる的な条件反射で
恐らくは『 猛烈に股を掻きむしる 』
この辺りが性格の悪い人の考える罰だと思います。
なるほど。条件反射と言うところは当たりです。それがどんな罰かは次回をお待ちください。ご期待に添えるかは……がんばりますね!
王太子矯正ピアスの小さな罰って、
我儘しようとすると その言動の代わりに
例えば 『 肘電気 』であったり 『 足の小指を何某かの角にぶつけに体が動く 』等でしょうか…。
あぁ、それも良いですね。地味で嫌な罰、と言う感じで。因みに、罰を考えた人の性格は悪いです。どちらかと言うと精神攻撃……ですかね。