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過去❷
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男爵令嬢が執心していた男は、おかしな様子を見せていた。一度、デリアに縋るような素振りを見せていたので、知り合いかと思いきや、違うようだ。何故、違うと思ったかというと、ソフィアがデリアにそう相談されたから。
最初は警戒されていたソフィアも、すぐに慣れてデリアはまるで警戒をしないようになった。それは公爵令嬢としてどうなのかとも思うが、ある意味可愛らしい、お嬢様らしい姿だ。
ソフィアは半ば呆れつつも、一旦懐に入れれば、見捨てることなどできない。彼女の疑問も悩みも、解決はできなくても話は聞こうとした。
「長年、会っていなかった相手が別人のように見えることはあるか?……あるんじゃない、普通に。だって、長い間がどれぐらいかわからないけれど、年単位なら人ってすぐに変わるわよ。」
「中身は変わったと思うのに、外見だけは最後に会った時と変わらなくて、逃げていたのであれば、変装ぐらいしますよね?」
「見つけた状況によるけれど、誰かに見つけてもらいたかったのかもしれないわ。逃亡に疲れて、捕まる逃亡犯とかと同じ状況ね。」
「……私は彼が、全くの別人で、何らかの理由で彼のフリをしているようなそんな気がするんです。」
「その男はそうしなければならない理由があるってことね。」
「はい、荒唐無稽な話だとわかっているんですけど。」
「正直、貴女の状況はよくわからない。ただ、貴女の姉が誰か考えれば、この状況も何か意味があって、思わぬ繋がり方をしているんじゃないかって勘繰ってしまうわ。他に私に隠していることがあれば、言ってくれると助かるわ。」
「姉は、私が兄と侍従を探すのに、良い顔をしませんでした。私はずっと姉の側で守られてほしい、と。多分、私は姉の選んだ駒の誰かと結婚させられて、ずっと籠の鳥として愛玩されることを望まれています。」
デリアの話に驚いたのはソフィア。まさかデリアが自分に求められる状況を理解しているとは思っていなかった。
「愛玩……確かにね。そんなに可愛がられているけれど、手の中から逃げ出すと、命の保障はない、ということ?」
「ええ、そう理解しています。多分もうすぐ、私を追って新たな姉の駒が来るはずです。彼を見たら、目をつけられないように隠れてください。目つきが普通の人とは異なりますからすぐにわかります。彼は姉を崇拝しているので、姉の為ならどんな非道なことでもできるのです。」
ソフィアはデリアの話を聞くと、彼女には悪いが、これは使えるかもしれないとほくそ笑んだ。
忠誠心の篤い犬っころはいとも簡単に操れる。
そんなことは得意だと、清廉潔白ではない公爵令嬢は考えていた。
最初は警戒されていたソフィアも、すぐに慣れてデリアはまるで警戒をしないようになった。それは公爵令嬢としてどうなのかとも思うが、ある意味可愛らしい、お嬢様らしい姿だ。
ソフィアは半ば呆れつつも、一旦懐に入れれば、見捨てることなどできない。彼女の疑問も悩みも、解決はできなくても話は聞こうとした。
「長年、会っていなかった相手が別人のように見えることはあるか?……あるんじゃない、普通に。だって、長い間がどれぐらいかわからないけれど、年単位なら人ってすぐに変わるわよ。」
「中身は変わったと思うのに、外見だけは最後に会った時と変わらなくて、逃げていたのであれば、変装ぐらいしますよね?」
「見つけた状況によるけれど、誰かに見つけてもらいたかったのかもしれないわ。逃亡に疲れて、捕まる逃亡犯とかと同じ状況ね。」
「……私は彼が、全くの別人で、何らかの理由で彼のフリをしているようなそんな気がするんです。」
「その男はそうしなければならない理由があるってことね。」
「はい、荒唐無稽な話だとわかっているんですけど。」
「正直、貴女の状況はよくわからない。ただ、貴女の姉が誰か考えれば、この状況も何か意味があって、思わぬ繋がり方をしているんじゃないかって勘繰ってしまうわ。他に私に隠していることがあれば、言ってくれると助かるわ。」
「姉は、私が兄と侍従を探すのに、良い顔をしませんでした。私はずっと姉の側で守られてほしい、と。多分、私は姉の選んだ駒の誰かと結婚させられて、ずっと籠の鳥として愛玩されることを望まれています。」
デリアの話に驚いたのはソフィア。まさかデリアが自分に求められる状況を理解しているとは思っていなかった。
「愛玩……確かにね。そんなに可愛がられているけれど、手の中から逃げ出すと、命の保障はない、ということ?」
「ええ、そう理解しています。多分もうすぐ、私を追って新たな姉の駒が来るはずです。彼を見たら、目をつけられないように隠れてください。目つきが普通の人とは異なりますからすぐにわかります。彼は姉を崇拝しているので、姉の為ならどんな非道なことでもできるのです。」
ソフィアはデリアの話を聞くと、彼女には悪いが、これは使えるかもしれないとほくそ笑んだ。
忠誠心の篤い犬っころはいとも簡単に操れる。
そんなことは得意だと、清廉潔白ではない公爵令嬢は考えていた。
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