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第二部 幸せに潜む奉仕活動

ダフィットの平安

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ようやく、ようやく全てが元通りだ。小国は、なくなったわけではなく、我が国の属国になったわけだが、王家は潰した。潰さないでいてやるから王女を引き取れと再三忠告してやったのに、あのユリウスが直に話をつけに言ったのに、あろうことか門前払いを食らわそうとしたのだ。

前々から、キナ臭いとは思っていた。王女を寄越してきたのは、王家の意思であり、王女は利用されたにすぎない、と。たしかに王女は、単細胞で、あまり深くは考えられないタイプ。直情型で、思い込んだら一直線に突き進むタイプだ。

王女は己の容姿に自信を持っていたらしいから、それで、一国の王子や、側近達を誑し込みたかったらしい。しかし、王女の前に立ちはだかったのは、外交官であり、公爵令嬢のエリーザ様だった。あの方の容姿を見れば、自信など、ポッキリ折れてしまうと期待したが、そんなことはなかった。

図太い精神力で、無様に倒れることなく、自分に都合よく解釈をした。

王女にマリィを合わせたくなかったが、図書館でニアミスしたらしい。マリィに危害がなくてよかった。そんなことになれば、クラッセン家からの圧力がとんでもないことになってしまう。頑張ってここまで、こぎつけた全てが無に期してしまう。それだけは、避けなければならない。

マリィと一緒にいる時間を作ったのは、それが一番守りやすいと思ったのと、単にイチャイチャ したかったから。

不必要にしたら、ユリウスから腹パンは食らったけれど、少しぐらいは我慢できる。ユリウスに言われたのは、王女に会う必要はないと言うことだけ。だから、ばったり鉢合わせたりもしないように避けていた。

どうやら、王女の侍女も、王女と同じ性格か、それより酷い思想を持っていたようで、もしどこかで鉢合わせしていたら、無事では済まなかっただろう、と後で聞かされた。

侍女の実家から送られてくる疲労回復に効果的だと、噂の薬を飲まされていたかもしれない。ダフィットは毒にはある程度慣れているが、それでもどこまで抵抗できるかはわからない。

見た目はか弱そうな女性なのだから、いくら嫌いでも、暴力は振るえない。自分ではなく、マリィに矛先が向けられていたら、と今更ながら、背筋が寒くなる。

薬をさばくルートを、開拓しようとしていたらしい。ユリウスとフランツが止めたけど。

やっぱり属国など生ぬるかったかも。今からでも潰したいけれど、民たちが困るのは、きっとマリィが嫌がる。

マリィの悲しい顔は見たくない。





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