そんなに悲劇のヒロインぶりたいなら手伝ってさしあげます

番外編

ママだって絡みたかった

マリィちゃんのピンチだったのなら、ママだって絡みたかったわ、とお母様が仰っているので、私とエリーザお姉様のお茶会にお母様をお呼びしましたの。

お母様は、公爵家では、ダフィット様を推してくださっている稀有な存在で、私が困った時に一番助けてくれる方。フランツお兄様と私はお母様似で、ユリウスお兄様とエリーザお姉様はお父様似ですの。

私はお母様によく似ているらしくて、ダフィット様は、何故か納得されていたのを、思い出しました。ずっと、お父様みたいに怖くなると疑っていたようです。そんな訳ありませんのに。

お母様は、フワフワされた外見ではありますが、割と好き嫌いははっきりしております。エリーザお姉様を可愛がる王妃様とも、仲良くされていますが、たまにこちらが驚いてしまうほど、辛辣な意見を仰ったりするので、冷や汗ものです。ただ、王妃様は、お母様が可愛くて仕方ないようです。義妹的な感じでしょうか。

よく似た私にも、穏やかな微笑みを向けてくださいます。

お母様は普段外に出ると、キチンと公爵夫人らしく振る舞えますのに、お家では、駄々っ子のようになることがございますの。今回などは、まさにそれですわね。

王女を可愛がってあげたかったらしいです。ただ可愛がるのではないことは明らかですが、子供の喧嘩に親がしゃしゃり出るみたいで、気後れしますわ。まあ、最終的に、お父様にはお願いをしたのですが。

お父様には、頼るくせに、私には何も言ってくれない、と先程から不貞腐れていらっしゃいます。暫くは、こうして、お母様の気に済むまで相手をしなくてはなりません。

新しいお菓子を仕入れてきましたので、お母様にお見せすると、嬉しそうな表情をされたので、ご存知ないお菓子だったようです。甘いものがお好きなお母様を驚かせるのは、中々大変なことなのです。

お母様は、四人も子どもを産んでますのに、いくつになっても若々しいのです。私もこんなに可愛い大人になれるでしょうか。

お母様はお一人で公爵家に、置いてかれたのも、不満だったようです。お父様の顔が怖いと言いながら、いつまでも仲がよく、娘の目から見てもラブラブなお二人ですから、余計だったようです。

お父様が帰ってきたら、また不満を訴えるようですわ。破顔したお父様が、目に浮かぶようです。

「マリィちゃんが、もうすぐお嫁に行ってしまうなんて。」

さっきまでは、文句を言っていたのに、今は涙ぐんでいます。ころころと表情を変えるのは可愛いですわ。

いつまでも可愛いお母様を持つのは、楽しいことです。