そんなに悲劇のヒロインぶりたいなら手伝ってさしあげます

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第二部 幸せに潜む奉仕活動

噂のお方

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皆様、お久しぶりです。マリィ・クラッセンです。学園は、おかげ様で無事卒業致しました。今私は、王宮に住んでいます。これには理由がございます。実は学園を卒業してからすぐに、ダフィット様と結婚する筈だったのですが、諸事情により延期になってしまったのです。結婚しましたら、すぐにダフィット様が臣籍に降り公爵様となる手筈でした。ですが、まだ結婚していない為、いまだダフィット様は第二王子殿下として王宮にいらっしゃいます。そして、私を手元に置いておきたいと、私専用の部屋を王宮に作っていただいたのです。

まあ、そちらにはあまりいないのですけどね。ふふ。

最近王宮に来られたお客様にお会いしたいのですが、中々叶わないのです。私の勉強不足で、初めて聞く名前の小国から来た王女様なのですが、この方にお会いしようと、王宮内を歩いているのですが、全然会えないのです。

小国の歴史とか、特産品とか、こちらにいらした目的などをお聞きしたいのですが、お忙しいようですね。残念ですわ。

私が王宮にいる間、お姉様、お兄様も来られて王宮内で私が寂しくないようにしてくださるのは、ありがたいのですが、申し訳無く思います。フランツお兄様も、ユリウスお兄様も、領地のお仕事もありますのに、こちらにお越しいただいているのですから。

ダフィット様も、お客様のお相手をしなくてよいのでしょうか。こちらでのんびりとしていますけれど。最近、膝枕などのご褒美をお願いされるぐらい、お疲れのようで、尚更お手伝いできないことが心苦しいのです。

私で良ければ、お客様のお相手をしようと思いましたが、私では力不足なようです。でもこうして、ダフィット様が甘えてこられるのは嬉しいです。いつもはキリッとしておられますのに、私の前だと、フニャッとされるのが、こんなことを言うと失礼ですが、可愛らしいのですわ。それにしても、柔らかい髪ですのね。ダフィット様の髪の毛を触っていると、幸せで少し眠くなってしまうのです。

ダフィット様の寝顔を見ていると、初めてお会いしたあの日から、そう年月は経っていないような気さえするのです。あの頃の可愛らしい王子様がこんなに素敵な方になるなんて。私もこの方にとって、同じように思われていたら嬉しいですわ。

のんびりしていましたが、そろそろお姉様が来る時間ですから、ダフィット様を起こさなくてはなりませんわ。これはいつも慣れないのです。けれど愛しい未来の旦那様の為なのですから、慣れないとは言ってられませんもの。

えいやっと、気合いを入れます。まずお顔を固定して、唇を目掛けて、口づけをします。優しく触れたら、ダフィット様の綺麗な青い瞳が私の姿を捕らえます。

「おはよう。」微笑みが顔いっぱいに広がります。
「おはようございます。」恥ずかしいのは中々慣れません。

おはようのチューは、私には敷居が高すぎます。


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