そんなに悲劇のヒロインぶりたいなら手伝ってさしあげます

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婚約者が好きすぎる

婚約者を守りたい

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案の定、ラウラ様はやらかしてくれた。いや、ラウラ様だけではない。記憶に全くない別のヒロインと名乗るご令嬢が現れた。彼女は自分が乙女ゲームのヒロインだと思っているようだけど、このゲームで恋愛要素は、婚約者を選ぶ時ぐらいであとはほぼない。その婚約者選びもどれを選んでも、シモンになって、一択しかなかった筈だ。そもそもこのゲームは対象年齢が高くはない筈だ。少女が、乙女ゲームのようなドロドロの略奪愛に目覚めないだろう。

しかもそのヒロインと名乗るご令嬢は、特殊な性癖があるらしい。ええ…なんでそんなダークなの…ひくわー…

ヒロインの性的欲求を満たす為に、公爵令嬢が立ち上がったらしいが、公爵令嬢ってあの方だよね。猛獣使いの異名を持つマリィ様でしょ。彼女ならあの毒気の無さからどんなに灰汁の強い人でも、上手に扱えてしまわれるだろう。だから、この件は彼女にお任せするのが一番だと思う。

リアは、積極的には動かないが、仲間外れは嫌だと何でも一緒にやりたがったが、見てられなくて、私が止めた。リアは不満気な顔をしつつ、私がオロオロしていると、ふんわりと笑っている。笑い事ではないのだよ?

「シモン様が、私を心配してくださるのが嬉しいのです。」
うん、控えめに言って、天使だね。
「リア、お願いだから、絶対にラウラ嬢について行ってはダメだよ。」あと、できればそのエレナと言う令嬢とも距離を置いて欲しい。確実に厄介なタイプで、多分転生者。そしてゲームの知識がほぼない。こう言う時、ゲームを無視して、勝手に動く場合があるから、下手をすると、巻き込まれる可能性がある。

私自身は学園を既に卒業しているので、学園を見張ることはできない。だから、リアの様子を見てもらおうとすると誰かに頼まなければならない。

妹のリオニは、ラウラ嬢に振り回される係だし、リアとは近づけない方がいい気がする。

色々なことを考慮すると、マリィ様と一緒が一番安全な気がするが、あの人は毒気がないだけで、危なっかしいのだ。あのアホ王子のダフィットが絶対に守るだろうが、マリィ様限定なんだよなぁ。やっぱり護衛をつけるべきだよな。

リアが学園でどう過ごしているかも気になる。リアは可愛いくて、可憐だから、たまに騎士団の訓練を見にきたりすると、周りが明らかにソワソワする。私がいると言うのに。睨みを利かせるが、中々私程度の若輩者相手では怯んでくれない。悔しい。

私が焦っているのだが、リアは何故か嬉しそうだ。私は心の余裕がなくなっているから、リアが何が気に入ったかがわからない。リアが笑ってくれると嬉しいけれど、何故か落ち着かない。リアの笑顔を見ていたい。でも、その笑顔を他の誰にも見せたくないな、と思った。
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