そんなに悲劇のヒロインぶりたいなら手伝ってさしあげます

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うちの婚約者が可愛すぎる

第二王子の執念

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彼等は良い玩具を手に入れた、と満足していたから、もう大丈夫だろう。面倒なことにならなくてよかった。自称ヒロインは自称でしかなかったようだ。ゲームの強制力とかで、より面倒なことにならなくて良かった。

マリィのご褒美は、とても可愛いものだった。ちゃんと好きになってくれて、嬉しい。これで、無理やり攫う必要がなくなった。良かった。マリィが私を愛してくれる幸せを噛みしめる。マリィを独り占めできる日は、もうすぐそこだ。

マリィは三年時には、さらに美しくなった。二年の時はまだ可愛らしさが勝っていたのだが、三年になると、ぐんと大人っぽい雰囲気になった。それに伴い、私の独占欲にも火がついたようで、マリィが嫌がらないことをいいことに、ずっと付き纏っていたら、マリィの周りの友人に、ストーカー王子と言う不名誉な名前をつけられていた。トイレにまでついて行きそうだと、言われた。行っていいなら、行くが、さすがに嫌がられるだろう。マリィに嫌われたら私は生きていけないのだから。

マリィのスケジュールは頭に入っている。偶然会うことが多い、とマリィは思っているらしいが、他の人は、ちゃんと偶然ではないことをわかってるみたいだ。マリィに言わないようにしてくれていてありがたい。気持ち悪がられても悲しいから。マリィの場合、そんなことで気持ち悪いとは思わないだろうけど、念のため。

二年時には、私の膝の上に座るのを恥ずかしがっていたけど、三年になってもそれは同じ。いつまでも、初々しい反応に頬が緩む。あんまりやりすぎると、粛清がかかるからしないけど。こうして、眺めているだけで、幸せな気分になるから、マリィは凄い。膝の上で、真っ赤になりながら、私の手であげたクッキーを咀嚼するマリィは破壊力抜群だ。抱きしめて閉じ込めて愛し合いたい気持ちと、大切に大切に育てて、慈しみたい気持ちと、いっそのこと壊したい気持ちがある。危険な思想だ。マリィは気がつかなくてよい。私の愛情だけ感じてくれたら良い。マリィの笑顔が見られるだけで良い。

私自身がこんなにマリィばかり見ているのに、空気を読まずアプローチしてくる女性が二年時にはいたのだが、最近はそれもない。マリィに対する時と、その人に対する時と差が凄いらしく、流石に理解したらしい。私としては、マリィに会う時間がそれだけ増えるのだから、喜ばしいことだ。

対するマリィには、同情の声が寄せられているらしい。全く知らない人に声をかけられるようで、不思議がっている。
余計なことを言わないように、あとで、口封じをしておこう。

勿論、マリィには気づかれないように。







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