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帝国②第二皇子
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最愛の弟とその想い人は、どうやら順調に謎解きを始めたようだ。ヴィオラ……じゃなかった、今はフリードと名乗っているのだった。彼からも、恨み言に近い報告が上がっている。何度も転生を繰り返しているが、性格は元からあまり変わらないようで、転生チートはあるにはあるが、あまり悪用はしていない。
私は本音を言うと、今すぐ二人のところへ行き日がな一日、彼らを眺めて過ごしたいだけだが、周りに嫌がられるのと、怒られるのでやめている。
でもおかしくないか?フリードだって、ダニエルだって、私が行きたい所に難無く行って、私の可愛い弟を愛でているのに、肝心の私がいけないのは、不公平では?
バタバタと駄々をこねても仕方ない。ライの命を守るためだ。そもそも皇子同士が同じ空間にいることすら、許されない。同じ空間にいる場合は、どちらかが、どちらかを害する時である、と言う教えまである。
私がどれだけライを愛していても、同じ空間にはいられない。寧ろ愛しているなら、突き放すべきだ。彼が殺されないようにしなくては。
私が今いる場所は帝国にある。普段は誰も入ることが出来ない城の一室に、私の住まいがある。前世の兄であり、今世の父である皇帝は皇太子とは別に私に小さな城を分け与えた。はじめこそ、私はその城に幽閉されるのかと、身構えていたが、そうではない。
帝都で働く者は、この城に通う皇帝が、浮かれた顔をしているので、新しい女を囲っているのだと、良からぬ噂に惑わされていた。
ただ、父が息子に会いにくるだけだとは思われなかったらしい。
皇族の特徴として、恐ろしく美形だと言う声と恐ろしく冷酷と言うのがあるが、どちらも、嘘だ。
その実はただの悪人顔であるのと、普通にしていると可愛い弟達を思い出してしまいにやけるのを防ぐために無表情であるだけだ。要は見かけ倒しでしかない。
今の皇帝は、スペアを私から奪い取った第三皇子は、嫌いだが、殺せなかった。一度スペアとなれば、皇帝自身が亡くなり、次の皇帝が即位するまで、死ぬことは許されなくなる。ただし、スペアは一代だけなので、次の皇帝にスペアが着くことは許されない。それは契約で決まっている。
契約とは言っても、違反を咎める者はいないのだが、何故か結果的にはそのようになってしまう。
私自身、何度かの転生で、契約に違反した者が突然死をするのを何度となく見ている。それこそ神の逆鱗に触れたとでも言いたいぐらい、完璧なタイミングで、人が死ぬ。
有難いやら恐ろしいやら。
今世での皇太子は第一皇子、スペアは第二皇子と内密では決まっている。だが前世では公表前だと、変更は可能だった。殺されてわかるなんて、皮肉だが、ライモンドの命を助けるためには、ライモンドに私を殺してもらわなければならない。そして、何だかわからないが神みたいな何かを刺激しないようにうまく立ち回る必要がある。
それについてはどうやら今世の兄も父も、何とかしてくれようとしているみたいだから、心配はないけれど。
一部では神の御業だとか好き勝手に噂されているが、皇族を思い通りに動かす為の方便だ。昔はこの帝国民も信心深いところがあったのだろう。神と言うだけで、皆面白いぐらいに言うことを聞いた。自分の存在を神だと信じるような頭のおかしな連中である。今まで国のためと称し、たくさんの皇族を殺した悪魔にこれから喧嘩を売るのだ。緊張しないことがおかしい。
今だってどこかで私を監視しているはずだ。帝国内で転生を繰り返している自分の役割をずっと考えて出した答えは、皇帝と、スペア以外の皇子を、殺さなくて済むようにすることだった。生まれてすぐに、周りが敵だらけと言う過酷な状況は、皇族なら仕方ないのだろうが、権力に興味のない者達を守ることができるかもしれない。
そうしていると、また今日も皇帝が来たみたいだ。
「レオン、やっぱりここ、護衛少なくないか?」
「前世みたいに今殺されたら、って考えたらそうだが。残念ながら生きてるのは、第八皇子ぐらいだし。あいつは今のところ別の国にいるから大丈夫だろ。監視を監視するために、わざわざ逃げて貰ったんだ。あんな茶番までして。」
「まあ、そうだな。」
「イヴァンが、私を殺した時の方法を聞けたら良いのに。」
「やめとけ、また殺されたら厄介だ。それこそスペアの資質なし、と言われて拗ねているのに。」
ひどいのはどっちだ。子供の我儘みたいな言い方をするな。かわいそうだろうが。
そう言おうとしてやめた。これじゃ、煽っているみたいでタチが悪いな。
「それに、今回は本当に殺すのではなくて、誰もこれ以上は死なないようにしなくてはならない。だからイヴァンには関係ない。何よりイヴァンをあまり信用するな。あいつは皇帝すら暗殺するような奴だぞ。」
「狙われたけれど、返り討ちにしたんだろ?」
「当然だ。あいつの側近だけで我慢してやったんだ。」
得意気に話す皇帝を見たら多くの人間が驚くのだろうな。皇帝は私の目を見た後、はぁと息をついた。人の顔見てため息とか、失礼じゃない?
「もし、いろいろなことが終わったら、イヴァンを殺しても良い、と言ったらするか?」
「いいえ、しません。叔父上を殺すなど。それに、殺すのでしたら他に色々方法はありますし……」
言葉を濁したのは、この会話がもう何十回、何百回繰り返されたものだからだ。よっぽど、第三皇子が嫌いなんだろうな。
私は遠い目をしているに違いない。前世では兄だったからただ嬉しかったが、父になると、少しだけめんどくさくなるのは何でだろう。
私は本音を言うと、今すぐ二人のところへ行き日がな一日、彼らを眺めて過ごしたいだけだが、周りに嫌がられるのと、怒られるのでやめている。
でもおかしくないか?フリードだって、ダニエルだって、私が行きたい所に難無く行って、私の可愛い弟を愛でているのに、肝心の私がいけないのは、不公平では?
バタバタと駄々をこねても仕方ない。ライの命を守るためだ。そもそも皇子同士が同じ空間にいることすら、許されない。同じ空間にいる場合は、どちらかが、どちらかを害する時である、と言う教えまである。
私がどれだけライを愛していても、同じ空間にはいられない。寧ろ愛しているなら、突き放すべきだ。彼が殺されないようにしなくては。
私が今いる場所は帝国にある。普段は誰も入ることが出来ない城の一室に、私の住まいがある。前世の兄であり、今世の父である皇帝は皇太子とは別に私に小さな城を分け与えた。はじめこそ、私はその城に幽閉されるのかと、身構えていたが、そうではない。
帝都で働く者は、この城に通う皇帝が、浮かれた顔をしているので、新しい女を囲っているのだと、良からぬ噂に惑わされていた。
ただ、父が息子に会いにくるだけだとは思われなかったらしい。
皇族の特徴として、恐ろしく美形だと言う声と恐ろしく冷酷と言うのがあるが、どちらも、嘘だ。
その実はただの悪人顔であるのと、普通にしていると可愛い弟達を思い出してしまいにやけるのを防ぐために無表情であるだけだ。要は見かけ倒しでしかない。
今の皇帝は、スペアを私から奪い取った第三皇子は、嫌いだが、殺せなかった。一度スペアとなれば、皇帝自身が亡くなり、次の皇帝が即位するまで、死ぬことは許されなくなる。ただし、スペアは一代だけなので、次の皇帝にスペアが着くことは許されない。それは契約で決まっている。
契約とは言っても、違反を咎める者はいないのだが、何故か結果的にはそのようになってしまう。
私自身、何度かの転生で、契約に違反した者が突然死をするのを何度となく見ている。それこそ神の逆鱗に触れたとでも言いたいぐらい、完璧なタイミングで、人が死ぬ。
有難いやら恐ろしいやら。
今世での皇太子は第一皇子、スペアは第二皇子と内密では決まっている。だが前世では公表前だと、変更は可能だった。殺されてわかるなんて、皮肉だが、ライモンドの命を助けるためには、ライモンドに私を殺してもらわなければならない。そして、何だかわからないが神みたいな何かを刺激しないようにうまく立ち回る必要がある。
それについてはどうやら今世の兄も父も、何とかしてくれようとしているみたいだから、心配はないけれど。
一部では神の御業だとか好き勝手に噂されているが、皇族を思い通りに動かす為の方便だ。昔はこの帝国民も信心深いところがあったのだろう。神と言うだけで、皆面白いぐらいに言うことを聞いた。自分の存在を神だと信じるような頭のおかしな連中である。今まで国のためと称し、たくさんの皇族を殺した悪魔にこれから喧嘩を売るのだ。緊張しないことがおかしい。
今だってどこかで私を監視しているはずだ。帝国内で転生を繰り返している自分の役割をずっと考えて出した答えは、皇帝と、スペア以外の皇子を、殺さなくて済むようにすることだった。生まれてすぐに、周りが敵だらけと言う過酷な状況は、皇族なら仕方ないのだろうが、権力に興味のない者達を守ることができるかもしれない。
そうしていると、また今日も皇帝が来たみたいだ。
「レオン、やっぱりここ、護衛少なくないか?」
「前世みたいに今殺されたら、って考えたらそうだが。残念ながら生きてるのは、第八皇子ぐらいだし。あいつは今のところ別の国にいるから大丈夫だろ。監視を監視するために、わざわざ逃げて貰ったんだ。あんな茶番までして。」
「まあ、そうだな。」
「イヴァンが、私を殺した時の方法を聞けたら良いのに。」
「やめとけ、また殺されたら厄介だ。それこそスペアの資質なし、と言われて拗ねているのに。」
ひどいのはどっちだ。子供の我儘みたいな言い方をするな。かわいそうだろうが。
そう言おうとしてやめた。これじゃ、煽っているみたいでタチが悪いな。
「それに、今回は本当に殺すのではなくて、誰もこれ以上は死なないようにしなくてはならない。だからイヴァンには関係ない。何よりイヴァンをあまり信用するな。あいつは皇帝すら暗殺するような奴だぞ。」
「狙われたけれど、返り討ちにしたんだろ?」
「当然だ。あいつの側近だけで我慢してやったんだ。」
得意気に話す皇帝を見たら多くの人間が驚くのだろうな。皇帝は私の目を見た後、はぁと息をついた。人の顔見てため息とか、失礼じゃない?
「もし、いろいろなことが終わったら、イヴァンを殺しても良い、と言ったらするか?」
「いいえ、しません。叔父上を殺すなど。それに、殺すのでしたら他に色々方法はありますし……」
言葉を濁したのは、この会話がもう何十回、何百回繰り返されたものだからだ。よっぽど、第三皇子が嫌いなんだろうな。
私は遠い目をしているに違いない。前世では兄だったからただ嬉しかったが、父になると、少しだけめんどくさくなるのは何でだろう。
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