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懺悔編

ある船員

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女性客の悲鳴が聞こえたと、思ったら、魔族の小僧が入り込んでいたみたいで、びっくりしたよ。サイズは可愛らしい感じだが、邪悪なオーラがいっぱいでていてね。

ああ、船乗りは、魔族に対応することもあるからさ、それなりには強いし、聖教会の護符もあるし。ましてや、一匹ならそんなに、大事でもないしな。

驚いたのはその後だ。明らかに強そうな騎士のような人が現れて、若い兄ちゃんと魔族が対峙する間に入ったんだ。

いやあ、騎士様がお出ましなら、大丈夫かと安心したのも束の間、別の場所でも悲鳴があがって、そっちに気を取られていたら形勢が逆転していて、しかも魔族が少し大きくなっていやがった。あれはどう言うしかけなんだ。聞いたことないぞ。戦っている間にデカくなるなんて。新種なのか?また対策を考えないと、明日は我が身だよな。

まあ、でもさすがと言うのか、騎士っぽい人は怯むことなく、何か魔法を使ったみたいで、すぐに魔族は小さくなっていった。

あちらこちらで、悲鳴があがっては魔族が現れるのが続いたんだけど、こっからが不思議でよ。その魔族が倒れたら、人間の子どもが意識を失った状態でたおれていたんだが、全部全く同じ顔で同じ体型で、同じ小僧だったんだ。

まるで分身、いや分裂したみたいにハンを押したように、みーんな、同じ小僧。
いや、気味が悪くてよう。

小僧は可愛らしい寝顔なんだが、起きた時、どうなるかわからないからな。船が港を出る前だったから、とりあえず拘束し、王都から騎士を呼んで、引き取って貰った。

元々乗り込んでた騎士は、用事があって、残れないと言っていたが、まあ助かった。命があってよかったよ。

それにしても、もういないだろうな。あの小僧がまたいたら、俺はおかしくなりそうだ。一応隅々まで探したつもりだが、わからんからな。船が広すぎて、細部に潜り込んでいたら、気づかないかもしれない。

さっきまでの、騒ぎをまた引き起こすとなると、ぞっとするよ。

子どもと言えど、魔族となれば、排除するしかないしなぁ。

話は変わるけど、騎士の背に守られていた人達は、どう言う人達なんだろうな。どっからみても、平民の男女と子と犬だったし、訳ありには見えなかったんだけど。まあ、男の方が、やたらピリピリして、彼女を守ろうとしてたな。いや、あれは俺なら逃げてたかもしれん。魔族相手にあんな装備で。ヒョロヒョロの兄ちゃんが。よっぽど大切な相手なんだろうよ。あの、綺麗なお姉さんは。
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