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来ちゃった

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隣国からの留学生は全部で三人。王女と、その婚約者と、その妹だ。

三人とも学業の成績は良いと聞いていたが、本当かな、と首を傾げる程の落ち着きの無さだ。特に、妹さん?

君、だいぶヤバいよ?

王女はジュリアと言い、さすが、と言った佇まいで、可憐な美少女。話し方もふわりと、花びらが舞うようなちょうどよい声の高さで、コロコロと、ふんわりとした雰囲気を醸し出している。

王女の婚約者である彼はダミアンと言い、侯爵令息だと言うが、ちょっと偉そうな威張り散らしたいタイプ。こう言う人は王女が女王になった時に邪魔してくるタイプじゃないかと思うけれど、どうなんだろう。

先ほどからこちらを睨んでいるのも気になる。隣国の王族にその態度はどうなの?目が悪いだけか?

婚約者の妹は、面白そうだからついてきました感が凄くあって、ひたすらあちらこちら見ては感動していて、落ち着きがない。

「留学とのことですが、少し時期外れのような気がするのですが。」

「ええ、急なことで、申し訳ございません。」

王女が頭を下げる。

「いえ、顔を上げてください。何か理由があるのでしょう。少し戸惑いましたが、大丈夫です。対処いたします。」

「ありがとうございます。宜しくお願いします。」

「いえ。では、御三方とも、学園にご入学されるということでよろしいですか?」

「ええ、学園内では案内をしていただけると、聞いたのですが。」

「ああ、案内はお付けしますよ。勿論、私の頼れる者を。」

「ええ?ルーカス様は、案内してくださらないのですか?」

王女と私の会話に急に割り込んできたのは、ダミアンの妹の、クロエ。勝手に名を呼ぶな。

「私は既に卒業しておりますので。」

「えっ?そうなんですか?じゃあ、ルーカス様にお会いするにはどうすれば良いのですか?」

「王宮に来られたら、時間が合えば、会えますよ。」

「王宮に、部屋を用意してくださると言うことですか?」

「学園内に、寮がありますので、そちらをどうぞ。」

王宮に泊まるとか図々しいな、こいつ。

「ええっ、それじゃあ、ルーカス様に会えないじゃないですか?」

「まあ、そうなりますね。」
ニコニコしながら毒を吐きそうになるのを堪える。

王女も、その婚約者も妹の暴走を止めるどころか、放っている。
めんどくせぇなぁ。

妹みたいなタイプは、お腹いっぱいなんだけど。兄上は好きそうな感じだと思い、彼がいないことに安堵する。

それこそ、今度こそ真実の愛とか言って大騒ぎしていただろう。

「ルーカス様は、私に会いたくなったりしたら、どうするんですか?」

上目遣いが、こんなに可愛くないのはある意味才能だと思う。気持ち悪い。


「お気遣いなく。貴女みたいなお嬢さんは、どうにも好きになれなくて、誠に申し訳ありません。」

一旦は抑えようとしたものの、やっぱり無理だった。

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