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サミュエル 7歳 ローラ 12歳
婚約者とお揃い
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チューリップの御礼にと、何か大きなものが届いた。ローラに気を遣わせちゃったみたいだ。一緒に届いたお手紙には、『これを着て一緒に歩くのを楽しみにしています。』って書いてあった。
「視察のだ!」
開けたら、少しサイズの大きな服と、刺繍が入ったハンカチが入っていた。
これ、お返しの方が豪華になっちゃってる。お返しのお返しは必要かな。
刺繍には僕の好きなチューリップの花と、王家の紋章と、僕のイニシャルが入っていた。
うわー、かわいい。嬉しい!ローラにありがとうのお手紙書かなくちゃ。
手紙を書いている途中で気がついたんだけど、せっかくの視察なんだから、お揃いの物を買いたいな。ローラにも何が良いか聞いてみよう。
僕は知らない内にスキップをしていたみたいだ。護衛をしてくれる、ケヴィンに指摘されて、恥ずかしくなった。
ローラに関連する物はなんだって嬉しいのだけど、改めて言われたら、恥ずかしいよね。
因みに、視察って言うのは、何ヶ月かに一回、市井の生活を見に行ったり、孤児院に行ったりするんだよ。僕ぐらいの子がたくさんいて、楽しいんだよ。当たり前だけど、警備上の問題で、そうそう頻繁には行けないのが、悲しいんだけれど、今はローラがいてくれるから、別に良いんだ。僕、ちょっと薄情かな。
僕は周りに僕ぐらいの歳の子がいるのが、楽しくて、いつもはしゃぎすぎるから、今度はローラを皆に紹介して、少し落ち着いた感じを見せなきゃ。大人の男は、無口で、ドッシリしてるものだしね。
少しサイズの大きな服は、三回ぐらい袖を折ればちょうど良いサイズになった。
「流石、センスが良いですね。とってもよくお似合いですよ。」
僕の侍女のリズが褒めてくれたけど、うん、僕もそう思う。
視察の日になって、ローラに会ったら、何と!
ローラの服が、僕とお揃いだったんだ。
「ローラ、お揃いだね。可愛いね!」
「サミュエル様が一番可愛いですよ?」
ん?何だか、いつものローラと違うような?
「サミュエル様?」
「ねえ、ローラ、何か隠してる?大丈夫?」
ローラが僕の目線にするために、しゃがみ込んでくれたから、頭まで手を届かせることができた。
よしよし、と撫でれば、ギュッと抱きしめられる。
あれ?どうしたの?
「まさか、ローラ。不安なの?大丈夫だよ、僕がいるからね。」
よしよし、していたら、どこからか、スースー音がする。あれ?何だろう?
「お嬢様、そこまでです。」
ローラの侍女が、ローラを僕からひっぺがす。その持ち方、まるで猫ちゃんみたい。
「サミュたん、きゃわ……」
うん、ローラって、たまに、よくわからない言葉を使う時あるよね。
「失礼致しました。サミュエル様、参りましょう。」
「はい。」
有無を言わせない感じから、彼女に逆らっちゃ、いけない感じがした。
「ローラ、怖いなら手を繋ぐ?」
「グフッ……はい。」
ローラの侍女が、ローラを睨んでいるみたいだけど、大丈夫かな。気にしなくて良いといわれたけど、気になるよー!
「視察のだ!」
開けたら、少しサイズの大きな服と、刺繍が入ったハンカチが入っていた。
これ、お返しの方が豪華になっちゃってる。お返しのお返しは必要かな。
刺繍には僕の好きなチューリップの花と、王家の紋章と、僕のイニシャルが入っていた。
うわー、かわいい。嬉しい!ローラにありがとうのお手紙書かなくちゃ。
手紙を書いている途中で気がついたんだけど、せっかくの視察なんだから、お揃いの物を買いたいな。ローラにも何が良いか聞いてみよう。
僕は知らない内にスキップをしていたみたいだ。護衛をしてくれる、ケヴィンに指摘されて、恥ずかしくなった。
ローラに関連する物はなんだって嬉しいのだけど、改めて言われたら、恥ずかしいよね。
因みに、視察って言うのは、何ヶ月かに一回、市井の生活を見に行ったり、孤児院に行ったりするんだよ。僕ぐらいの子がたくさんいて、楽しいんだよ。当たり前だけど、警備上の問題で、そうそう頻繁には行けないのが、悲しいんだけれど、今はローラがいてくれるから、別に良いんだ。僕、ちょっと薄情かな。
僕は周りに僕ぐらいの歳の子がいるのが、楽しくて、いつもはしゃぎすぎるから、今度はローラを皆に紹介して、少し落ち着いた感じを見せなきゃ。大人の男は、無口で、ドッシリしてるものだしね。
少しサイズの大きな服は、三回ぐらい袖を折ればちょうど良いサイズになった。
「流石、センスが良いですね。とってもよくお似合いですよ。」
僕の侍女のリズが褒めてくれたけど、うん、僕もそう思う。
視察の日になって、ローラに会ったら、何と!
ローラの服が、僕とお揃いだったんだ。
「ローラ、お揃いだね。可愛いね!」
「サミュエル様が一番可愛いですよ?」
ん?何だか、いつものローラと違うような?
「サミュエル様?」
「ねえ、ローラ、何か隠してる?大丈夫?」
ローラが僕の目線にするために、しゃがみ込んでくれたから、頭まで手を届かせることができた。
よしよし、と撫でれば、ギュッと抱きしめられる。
あれ?どうしたの?
「まさか、ローラ。不安なの?大丈夫だよ、僕がいるからね。」
よしよし、していたら、どこからか、スースー音がする。あれ?何だろう?
「お嬢様、そこまでです。」
ローラの侍女が、ローラを僕からひっぺがす。その持ち方、まるで猫ちゃんみたい。
「サミュたん、きゃわ……」
うん、ローラって、たまに、よくわからない言葉を使う時あるよね。
「失礼致しました。サミュエル様、参りましょう。」
「はい。」
有無を言わせない感じから、彼女に逆らっちゃ、いけない感じがした。
「ローラ、怖いなら手を繋ぐ?」
「グフッ……はい。」
ローラの侍女が、ローラを睨んでいるみたいだけど、大丈夫かな。気にしなくて良いといわれたけど、気になるよー!
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