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第六章 邪魔者(アラン視点 後半)
協力者 蒼視点
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「今から話すことはあくまで私の憶測であって、事実とは必ずしも一致しないことをご理解ください。
この世界に今聖女が二人いるのですが、二人とも異世界から連れて来られました。
一人は王子とその側近の魔法使いによって召喚され、もう一人は、どこかの貴族によって召喚された後、王宮に連れて来られました。
実はその聖女を召喚した貴族というのが、はっきりとした情報がなくて、どんな人達なのかがわからないんです。そもそも聖女を勝手に召喚した理由も、わからないですし。」
「その貴族とやらが、使ったのが、私の魔法陣であると。」
「可能性があるのはそちらかと。ただ、私は魔法陣に対して知識が皆無ですので、それの信憑性はありません。あくまで憶測です。」
レオンは温かい紅茶を飲まずに、カップを両手で包み、暖を取っている。実体はなくとも寒いらしい。
「その貴族には、心当たりがある。その、呼び出された聖女の特徴を教えてくれ。」
彼の真剣な目に促され、アリサから聞いた召喚時の時に起こったことと、彼女の特徴などを話す。彼は何やら考えていたが、やはり、アリサに会ってみたいと、口にした。
レオンの為に、アリサに合わせることは可能だったが、アリサが彼に会ってしまえば、この世界がレオンルートに向かっているような錯覚に陥るかもしれない。
最終的には彼女がレオンルートに進んだところで何の問題もない……のだが。
「時期が悪い。」
そう呟くと、ならいつが良いと聞かれ、言葉を口にするのを躊躇っていると、意外なところから、助けが入った。意外とは言っても、肝心のゲームの内容を知らない自分とは異なり、ゲームも、この世界のことも知っているアンネちゃんなのだから、本来なら最適な人であるのだが。
「横から口を挟むことをお許しください。レオン様は最初に召喚された聖女様がいらっしゃった元の世界について、どれだけご存知でしょうか。所謂異世界について、ですが。」
レオンは眉を顰めて、アンネちゃんの言葉の続きを待っている。
「実は、この世界と異世界は繋がっておりまして、それは召喚できることからも、お気づきであると思いますが、実は異世界では、この世界の情報が少しだけ漏れております。例えば、この世界の貴族社会のことや、魔法使いについて、また王族や、聖女についての情報の一部が異世界に漏れ伝わっています。」
「それで?」
「私は、その情報源が、一度聖女として召喚された聖女様だと思っております。」
「待って、アンネちゃん。それは、無理じゃない?だって、聖女として召喚された人は帰ることができなかったって言ってたじゃない?」
「いえ、これは私の想像ですが、レオン様は最初に来られた聖女の行方をご存知なのではないでしょうか。」
「……それも、異世界に漏れている情報か?」
呆れたような表情で、レオンはアンネちゃんに尋ねた。
「いいえ。はっきりとは、わからないようにはなっておりましたが。」
「匂わせるぐらいには記載があったということか。」
レオンは長い髪をかきあげ、不貞腐れたような表情を浮かべると、不意に今度はこちらを不躾にジロジロと見つめた。
「なるほど。お前達は二人とも異世界から現れたという訳か。」
アンネちゃんの正体を知らせるわけもいかず、頷くに留めると、大人の態度としては常識を疑われる程に、レオンは姿勢を崩して、ソファに体を投げ出した。
少し考え事をしていたが徐に姿勢を正すと、真剣な顔でこちらに向き直る。
「聖女が二人いると言ったな。どちらにも会わせろ。多分それだけで、私の役目は果たすことができるだろう。」
アンネちゃんは、こちらを見たが、すぐにレオンに肯定の意を示した。
こちらの懸念を理解した上での行動だと信じたい。
「まず一人目は近いうちに王子と一緒にこちらへ来ますので、その際に会わせられると思います。王子と一緒なので、対面での面談というわけには参りませんが。」
「それで良い。紛い物かどうかを見分けるだけだからな。」
彼の言葉の意図はわからなかったが、これで強力な味方を手に入れることが出来た。
この世界に今聖女が二人いるのですが、二人とも異世界から連れて来られました。
一人は王子とその側近の魔法使いによって召喚され、もう一人は、どこかの貴族によって召喚された後、王宮に連れて来られました。
実はその聖女を召喚した貴族というのが、はっきりとした情報がなくて、どんな人達なのかがわからないんです。そもそも聖女を勝手に召喚した理由も、わからないですし。」
「その貴族とやらが、使ったのが、私の魔法陣であると。」
「可能性があるのはそちらかと。ただ、私は魔法陣に対して知識が皆無ですので、それの信憑性はありません。あくまで憶測です。」
レオンは温かい紅茶を飲まずに、カップを両手で包み、暖を取っている。実体はなくとも寒いらしい。
「その貴族には、心当たりがある。その、呼び出された聖女の特徴を教えてくれ。」
彼の真剣な目に促され、アリサから聞いた召喚時の時に起こったことと、彼女の特徴などを話す。彼は何やら考えていたが、やはり、アリサに会ってみたいと、口にした。
レオンの為に、アリサに合わせることは可能だったが、アリサが彼に会ってしまえば、この世界がレオンルートに向かっているような錯覚に陥るかもしれない。
最終的には彼女がレオンルートに進んだところで何の問題もない……のだが。
「時期が悪い。」
そう呟くと、ならいつが良いと聞かれ、言葉を口にするのを躊躇っていると、意外なところから、助けが入った。意外とは言っても、肝心のゲームの内容を知らない自分とは異なり、ゲームも、この世界のことも知っているアンネちゃんなのだから、本来なら最適な人であるのだが。
「横から口を挟むことをお許しください。レオン様は最初に召喚された聖女様がいらっしゃった元の世界について、どれだけご存知でしょうか。所謂異世界について、ですが。」
レオンは眉を顰めて、アンネちゃんの言葉の続きを待っている。
「実は、この世界と異世界は繋がっておりまして、それは召喚できることからも、お気づきであると思いますが、実は異世界では、この世界の情報が少しだけ漏れております。例えば、この世界の貴族社会のことや、魔法使いについて、また王族や、聖女についての情報の一部が異世界に漏れ伝わっています。」
「それで?」
「私は、その情報源が、一度聖女として召喚された聖女様だと思っております。」
「待って、アンネちゃん。それは、無理じゃない?だって、聖女として召喚された人は帰ることができなかったって言ってたじゃない?」
「いえ、これは私の想像ですが、レオン様は最初に来られた聖女の行方をご存知なのではないでしょうか。」
「……それも、異世界に漏れている情報か?」
呆れたような表情で、レオンはアンネちゃんに尋ねた。
「いいえ。はっきりとは、わからないようにはなっておりましたが。」
「匂わせるぐらいには記載があったということか。」
レオンは長い髪をかきあげ、不貞腐れたような表情を浮かべると、不意に今度はこちらを不躾にジロジロと見つめた。
「なるほど。お前達は二人とも異世界から現れたという訳か。」
アンネちゃんの正体を知らせるわけもいかず、頷くに留めると、大人の態度としては常識を疑われる程に、レオンは姿勢を崩して、ソファに体を投げ出した。
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