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野生には戻れない
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魔王の弱点について、リスはわかった気になっていたが、すでに魔王にはリスに関して、知らなくていいことまで、知られてしまっている。
しかも魔王はいつも嬉しそうに、膝の上にリスを乗せ、お菓子を食べさせてくれるから、ドキドキもするし、美味しいし、幸せなのである。
すでに逃げ出したい、など思わなくなっている。野性の勘など、リスには最初からない。
ピアを見た時だけ、若干後悔するのだが、魔王が守ってくれる。
一つ、思いがけず、面倒なことはあった。
勇者とのクエストで、リスを姫役にして、結婚したことで、来年以降の姫役がリスになって、毎年勇者がこの生活を壊しにやって来るようになったのだった。
リスは、この生活を続けるために、勇者の敵にならなくてはならない。
元より勇者に何の思い入れもないので、魔王側につくのは抵抗はないが、毎年邪魔されるのは流石に迷惑である。
姫役を誰かに渡したいが、正直、魔王がリスよりそちらがいい、と捨てられてしまうのは避けたいので、どうしたものかと悶々としていた。
姫役は誰でもよいのだ。
誰かいないだろうか。
魔王は毎年自分が相手しなくても、ピアがいるから大丈夫だと言う。
うん、確かに。
ピアさえいれば大丈夫。
リスは妙に納得した。
ピアさえ良ければ、ピアを姫にしたいぐらい。
ん?これいいんじゃない?
「ねぇ、ピアを姫にするのは?」
「まあ、ピアは女の子だしな。いつかは家庭も持ちたいだろうし。いいな、それ。」
とりあえず、姫の変更を国に伝える。
勇者は毎年変わるらしいので、初見でピアの相手は無理だから、きっと大丈夫。
ピアなら嬉々として勇者と追いかけっこしてくれるだろう。
自分の思いつきにリスはホクホクしていたが、不意に魔王が言った。
「でも、姫を変更してしまったから、もう俺から逃れることは出来ないけど、いいのか?」
今更、何を言っているのか。
振り返ってみれば、最初に魔王城に入ってから随分と日が過ぎたが、一度も外に出ていない。出る気もないのだから、当然だ。
それに、魔王城で暮らすなら、魔王が一緒の方が楽だし、楽しい。
いきなりは難しいけれど、一種の決意表明として、リスは魔王のほっぺにキスをした。
魔王がニンマリと笑って、リスもニンマリと笑い返す。
どちらかというと、共犯者みたいな笑みだが、そのうち違う顔になっていくのだろう。
今はこの辺りで、精一杯だ。
何を思ったか、魔王がリスを抱えあげる。
リスは抵抗したが、意味はなかった。
ベッドに降ろされ、魔王の目つきが変わる。リスはまたもや、身の危険を感じずにはいられなかった。
おわり
*長らくのタイトル詐欺、申し訳ありませんでした。しかも途中ダイエット小説みたいになってましたが、今後恋愛に発展していくのだとおもいます。
お気に入りやしおり、読んでいただいてありがとうございました!
mios
しかも魔王はいつも嬉しそうに、膝の上にリスを乗せ、お菓子を食べさせてくれるから、ドキドキもするし、美味しいし、幸せなのである。
すでに逃げ出したい、など思わなくなっている。野性の勘など、リスには最初からない。
ピアを見た時だけ、若干後悔するのだが、魔王が守ってくれる。
一つ、思いがけず、面倒なことはあった。
勇者とのクエストで、リスを姫役にして、結婚したことで、来年以降の姫役がリスになって、毎年勇者がこの生活を壊しにやって来るようになったのだった。
リスは、この生活を続けるために、勇者の敵にならなくてはならない。
元より勇者に何の思い入れもないので、魔王側につくのは抵抗はないが、毎年邪魔されるのは流石に迷惑である。
姫役を誰かに渡したいが、正直、魔王がリスよりそちらがいい、と捨てられてしまうのは避けたいので、どうしたものかと悶々としていた。
姫役は誰でもよいのだ。
誰かいないだろうか。
魔王は毎年自分が相手しなくても、ピアがいるから大丈夫だと言う。
うん、確かに。
ピアさえいれば大丈夫。
リスは妙に納得した。
ピアさえ良ければ、ピアを姫にしたいぐらい。
ん?これいいんじゃない?
「ねぇ、ピアを姫にするのは?」
「まあ、ピアは女の子だしな。いつかは家庭も持ちたいだろうし。いいな、それ。」
とりあえず、姫の変更を国に伝える。
勇者は毎年変わるらしいので、初見でピアの相手は無理だから、きっと大丈夫。
ピアなら嬉々として勇者と追いかけっこしてくれるだろう。
自分の思いつきにリスはホクホクしていたが、不意に魔王が言った。
「でも、姫を変更してしまったから、もう俺から逃れることは出来ないけど、いいのか?」
今更、何を言っているのか。
振り返ってみれば、最初に魔王城に入ってから随分と日が過ぎたが、一度も外に出ていない。出る気もないのだから、当然だ。
それに、魔王城で暮らすなら、魔王が一緒の方が楽だし、楽しい。
いきなりは難しいけれど、一種の決意表明として、リスは魔王のほっぺにキスをした。
魔王がニンマリと笑って、リスもニンマリと笑い返す。
どちらかというと、共犯者みたいな笑みだが、そのうち違う顔になっていくのだろう。
今はこの辺りで、精一杯だ。
何を思ったか、魔王がリスを抱えあげる。
リスは抵抗したが、意味はなかった。
ベッドに降ろされ、魔王の目つきが変わる。リスはまたもや、身の危険を感じずにはいられなかった。
おわり
*長らくのタイトル詐欺、申し訳ありませんでした。しかも途中ダイエット小説みたいになってましたが、今後恋愛に発展していくのだとおもいます。
お気に入りやしおり、読んでいただいてありがとうございました!
mios
応援ありがとうございます!
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