もふもふは魔王城から逃げられない

mios

文字の大きさ
上 下
2 / 15

新居

しおりを挟む
起きたら、フワッフワのベッドの上に、さっきの男の人と一緒に…寝ている?

リスが飛び起きると、男の人も眠そうに目を擦りながら起きてきた。

リスは自分の状態に気がついた。

「ちょっとー、何してるんですかー!」
男の人は、リスの尻尾を抱きしめて、ナデナデスリスリしている。

ゾゾゾッと全身に寒気が。


「いいだろう。少しくらい。」
何故かムッとして、尻尾を抱きしめる手に力が入る。
尻尾を離す気配はない。くっ、尻尾を人質に取るなんて!

「これ、食べるか?」
そう言って、これまた美味しそうな甘い匂いのお菓子をちらつかせる。
「もう騙されないですよ!」
ぷん、と顔を背けるリスの顔を無理やり向かせ、口にお菓子を突っ込む。

「うぅ、やめろー、……美味しい」
サクサクと音を立てて、食べる。
なくなる頃に、男の人が、口へあたらしいのを運んでくれるので、なくなるまで食べ続ける。

「あー、美味しかったー。」
にこにこして、満足していると、リスの首に何かがカチッと嵌められた。

「は?何これ。」
外そうとするも、外れない。

「首輪だ。」
「何で?」
「お前を飼うからだ。」
はあ?
「ここに入れ。お菓子を用意しているぞ。」
リスは、言われたまま、そこに入る。
カチッとまた音がする。

男の人は、ふふっと笑って
「お前がアホでよかった。今日からここがお前の家だ。」と、失礼なことを言った。


どうやら檻に入れられたらしい。
檻の中は広い。ふわふわのベッドもある。
あれ?なんか快適…かも…

お腹がいっぱいでウトウトしてしまう。
こんな状況で寝てしまうリスはある意味凄いやつであった。
男の人は苦笑し、また檻の外から、リスのもふもふを堪能した。

起きたら、たくさんお菓子をあげて、逃げるのを阻止しなければ。あたらしいお菓子を用意しよう。喜んでくれるだろう。

男の人は魔王であった。魔王城の中には、魔王と使用人しか住んでいない。

魔王は城の自分の部屋から、リスが甘い匂いに釣られてくるのをしっかりと見ていた。

魔王は小さな頃からお菓子が好きだったが、一緒に食べてくれる人がいなかった。いないなら、捕まえよう、と思ったのだが、アホのリス以外はこんなあからさまな罠に引っ掛からなかったのである。

すやすやと、眠るリスに危機感というものはなく、自分がそこにつけ込んだとはいえ、心配になる魔王であった。

「こいつは何も変わってないな。」
リスを魔王城から出す気はないにしろ、
何が危ないのかきちんと教えてやらなければ、と使命感に燃えたのだった。











しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

暴君幼なじみは逃がしてくれない~囚われ愛は深く濃く

なかな悠桃
恋愛
暴君な溺愛幼なじみに振り回される女の子のお話。 ※誤字脱字はご了承くださいm(__)m

【完結】サポートキャラって勝手に決めないで!

里音
恋愛
私、リリアナ・モントン。伯爵令嬢やってます。で、私はサポートキャラ?らしい。 幼馴染で自称親友でヒロインのアデリーナ・トリカエッティ伯爵令嬢がいうには… この世界はアデリーナの前世での乙女ゲームとやらの世界と同じで、その世界ではアデリーナはヒロイン。彼女の親友の私リリアナはサポートキャラ。そして悪役令嬢にはこの国の第二王子のサリントン王子の婚約者のマリエッタ・マキナイル侯爵令嬢。 攻略対象は第二王子のサリントン・エンペスト、側近候補のマイケル・ラライバス伯爵家三男、親友のジュード・マキナイル侯爵家嫡男、護衛のカイル・パラサリス伯爵家次男。 ハーレムエンドを目指すと言う自称ヒロインに振り回されるリリアナの日常。 ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 多人数の視点があり、くどく感じるかもしれません。 文字数もばらつきが多いです。

初恋の還る路

みん
恋愛
女神によって異世界から2人の男女が召喚された。それによって、魔導師ミューの置き忘れた時間が動き出した。 初めて投稿します。メンタルが木綿豆腐以下なので、暖かい気持ちで読んでもらえるとうれしいです。 毎日更新できるように頑張ります。

婚約破棄したら食べられました(物理)

かぜかおる
恋愛
人族のリサは竜種のアレンに出会った時からいい匂いがするから食べたいと言われ続けている。 婚約者もいるから無理と言い続けるも、アレンもしつこく食べたいと言ってくる。 そんな日々が日常と化していたある日 リサは婚約者から婚約破棄を突きつけられる グロは無し

頭頂部に薔薇の棘が刺さりまして

犬野きらり
恋愛
第二王子のお茶会に参加して、どうにかアピールをしようと、王子の近くの場所を確保しようとして、転倒。 王家の薔薇に突っ込んで転んでしまった。髪の毛に引っ掛かる薔薇の枝に棘。 失態の恥ずかしさと熱と痛みで、私が寝込めば、初めましての小さき者の姿が見えるようになり… この薔薇を育てた人は!?

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

【完結】氷の王太子に嫁いだら、毎晩甘やかされすぎて困っています

21時完結
恋愛
王国一の冷血漢と噂される王太子レオナード殿下。 誰に対しても冷たく、感情を見せることがないことから、「氷の王太子」と恐れられている。 そんな彼との政略結婚が決まったのは、公爵家の地味な令嬢リリア。 (殿下は私に興味なんてないはず……) 結婚前はそう思っていたのに―― 「リリア、寒くないか?」 「……え?」 「もっとこっちに寄れ。俺の腕の中なら、温かいだろう?」 冷酷なはずの殿下が、新婚初夜から優しすぎる!? それどころか、毎晩のように甘やかされ、気づけば離してもらえなくなっていた。 「お前の笑顔は俺だけのものだ。他の男に見せるな」 「こんなに可愛いお前を、冷たく扱うわけがないだろう?」 (ちょ、待ってください! 殿下、本当に氷のように冷たい人なんですよね!?) 結婚してみたら、噂とは真逆で、私にだけ甘すぎる旦那様だったようです――!?

図書館でうたた寝してたらいつの間にか王子と結婚することになりました

鳥花風星
恋愛
限られた人間しか入ることのできない王立図書館中枢部で司書として働く公爵令嬢ベル・シュパルツがお気に入りの場所で昼寝をしていると、目の前に見知らぬ男性がいた。 素性のわからないその男性は、たびたびベルの元を訪れてベルとたわいもない話をしていく。本を貸したりお茶を飲んだり、ありきたりな日々を何度か共に過ごしていたとある日、その男性から期間限定の婚約者になってほしいと懇願される。 とりあえず婚約を受けてはみたものの、その相手は実はこの国の第二王子、アーロンだった。 「俺は欲しいと思ったら何としてでも絶対に手に入れる人間なんだ」

処理中です...