愚王は二代続かない

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番外編 2

中級ヒロインのフラグ潰し? 1

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リカルドは、マミの作った資料をじっと眺める。彼女の言う未来予知は複雑で、意味のわからないものだ。しかも、分岐が多すぎる。マミの未来は簡潔でわかりやすいのに対して、何故シシーの未来にはこんなにたくさんの男の影があるのか、理解に苦しむ。

この男達は、全員シシーの敵だから潰していいと言うことか?しかもその中に、知った名前がチラホラあるのだが、既に何かやらかしてるとかないよな?

未来予知の中のリカルドはシシーの明らかな敵で、シシーがいながら浮気はするし、酷い言葉を浴びせて、いつも怒鳴り散らしている。可愛さ余って……とか、そう言う?

昔から思い起こしても、リカルドがシシーに対して、そんな態度を取る要因はない。いつも側に入れたらなぁ、とずっと思ってきた。

それが当然の世界なら、シシーのことを疎ましく思うこともあるのだろうか。私には理解できない。

やはり単なる未来予知ではないらしい。これはどこの世界の住人の話なのだろう。この世界と別の世界に私達は存在していて、その世界の話を未来予知した、とかでなければ、辻褄は合わない。

どういう状況であれ、リカルドがシシーに冷たく出来るわけがないからだ。堂々巡りの問答を頭の中で繰り返し、心底そういう世界の住人でなくて良かったと安堵する。

さて、シシーに害をもたらしかねない危険な男達の中に、テオドール・マクヴィスの名前がある。他の男なら会う前にどうにかしようと思えばできそうだが、彼はそうもいかない。物心ついてからは、公爵家に従者として存在していた。シシーと共に育ち、まるで兄妹のような関係を築いている彼は、今でもリカルドを嫉妬させるような場面もあるからだ。

人の良さそうな外見とは裏腹に、腹黒い面も持ち合わせている彼をシシーは尊敬しているし、心を許している。

彼は兄としての本分を崩すことなくあくまでも家族として愛を全うする感じなのだが、未来予知の方では違うらしい。

未来予知の中のテオドールは、軽薄な男で、しかし、シシーには独占欲丸出しの執着男。シシーの周りにいる邪魔なやつを根こそぎ葬り、傷ついたシシーをとことんまで甘やかして自分以外は見えないように盲目的に愛する。

うん?ちょっとやばい奴では?

いや、テオドールの隠された裏の面が……はないか。

ただ、リカルドにはこの未来予知の方のテオドールには若干自分と似たようなものを感じる。

リカルドがやりたいことの全てをシシーにやろうとしているテオドールはたしかに危険人物だが、シシーを誰の目にも触れさせたくない、だとか、彼女の美しさを見るのは自分だけでいいとか、は意味がわかる。

あれ、私って外側から見ると結構危ない奴では?

少しの衝撃を感じながらも受け止める。私はテオドールのまだリカルドが知らない一面を受け止めなければならないことを。

とは言え、リカルドもシシーすらも、未来予知の中の自分達とは大きな乖離があるのだから、テオドールにだってその可能性は充分にある。

うん、多分。

とりあえず、彼を怒らせるのはやめようと思う。シシーを取られたら敵わない。

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