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104.新参者
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私達がシパンの町に来てから四週間が経とうとしていた。
ほとんどの冒険者が顔見知りになった頃、妙に知らない顔が増えた事に気付く。
「ねぇ、最近新顔が増えたよね。新人じゃないくて、むしろランクが高そうな人達が」
仲良くなった銀髪のギルド職員パメラに、依頼受注のついでに話しかける。
「そりゃあサキが神託受けてダンジョンが復活するなんて言うからでしょ。本当に大丈夫なの? やっぱり復活しませんでした~なんて言ったら冒険者達に殺されるわよ」
ヒソヒソと声をひそめて話すパメラ。
二十一歳と年齢が近い事もあって、人目がなければギルド内でも結構気安く話してくれる。
「それは大丈夫、神様から直接聞いたんだもの。もし嘘だったら教会に行って神様に文句言わなきゃ。ふふふ」
「その時は私も一緒に行ってあげるわ」
「頼もしいね~。その時はよろしく」
クスクスと笑い合ってカウンターを離れた。
『主はあのパメラとやらと話す時だけの感情があるな。マティス達に向けるものに近いが、何か違う』
口の周りを舐めながらアーサーが言った。
「そりゃあね、同性の友達でしか補えない心の栄養ってあるから」
アーサーやマティス達と過ごすのも楽しいけど、こっちの世界で初めての女友達であるパメラは特別な存在だ。
パメラも美人なせいか、あまり同性の友達がいないらしい。
どうもほとんどの女性ギルド職員は競ってこそ華、みたいな考えの人が多いとか。
女性冒険者も他の人に舐められないように、強気な人が多いから私のようなのほほんとした冒険者が珍しいらしい。
のほほんとしてるって誉め言葉なのかはさておき、接しやすいという事でよしとしておこう。
そんなのほほん評価な私ではあるが、シパンの町に来てからも一人前の評価を貰えるくらいには実績を残している。
今日も今日とて討伐系採取依頼をこなし、夕方に再びギルドに戻って来た。
「なぁなぁ、いいじゃねぇか。もうすぐ終わりだろう? 飯くらいもったいぶるなよ」
「他の方のご迷惑になるので、そのようなお話しでしたらお帰りください」
ギルドに入って聞こえてきたのは、新顔の赤い髪をした冒険者に言い寄られているパメラの声。
「チッ、お高くとまってんじゃねぇよ!」
男の拳が振り上げられて、パメラが息を飲んだのがわかった。
私は瞬間的に身体強化を発動させ、男の襟首を掴むとそのまま後ろに引き倒した。
ドタァーン!
男の体重より明らかに重そうな床の音。
そりゃそうだ、腹が立ったので思い切り叩きつけるようにしてやったのだから。
「なにしやがる! このチビ!!」
「あんたこそ何しようとしたの? パメラに手をあげるなんて許さない。この町を生きて出たけりゃ大人しく帰りなさい」
まだ床に座っている男を見下ろしてそう告げると、男は顔を真っ赤にして立ち上がった。
「サキに手を出したら私達も敵に回す事になるからな? 次に森に行ったら無事に町に帰って来れるといいな?」
そう言って私の後ろにズラリと並ぶマティス達。
基本的にギルド内での喧嘩はご法度だが、森の中では何があるかわからないのは共通の認識だ。
男はある程度の実力があるのか、私達の強さを理解したらしくジリジリと後退している。
「クソッ、覚えてやがれ!!」
男は見事な負け犬の遠吠えを残してギルドを飛び出して行った。
仲間なのか、その後を二人の男が追いかけるように出て行くと、ギルド内は歓声に包まれた。
パメラの人気も手伝って、その日私はちょっとした英雄になったらしい。
ほとんどの冒険者が顔見知りになった頃、妙に知らない顔が増えた事に気付く。
「ねぇ、最近新顔が増えたよね。新人じゃないくて、むしろランクが高そうな人達が」
仲良くなった銀髪のギルド職員パメラに、依頼受注のついでに話しかける。
「そりゃあサキが神託受けてダンジョンが復活するなんて言うからでしょ。本当に大丈夫なの? やっぱり復活しませんでした~なんて言ったら冒険者達に殺されるわよ」
ヒソヒソと声をひそめて話すパメラ。
二十一歳と年齢が近い事もあって、人目がなければギルド内でも結構気安く話してくれる。
「それは大丈夫、神様から直接聞いたんだもの。もし嘘だったら教会に行って神様に文句言わなきゃ。ふふふ」
「その時は私も一緒に行ってあげるわ」
「頼もしいね~。その時はよろしく」
クスクスと笑い合ってカウンターを離れた。
『主はあのパメラとやらと話す時だけの感情があるな。マティス達に向けるものに近いが、何か違う』
口の周りを舐めながらアーサーが言った。
「そりゃあね、同性の友達でしか補えない心の栄養ってあるから」
アーサーやマティス達と過ごすのも楽しいけど、こっちの世界で初めての女友達であるパメラは特別な存在だ。
パメラも美人なせいか、あまり同性の友達がいないらしい。
どうもほとんどの女性ギルド職員は競ってこそ華、みたいな考えの人が多いとか。
女性冒険者も他の人に舐められないように、強気な人が多いから私のようなのほほんとした冒険者が珍しいらしい。
のほほんとしてるって誉め言葉なのかはさておき、接しやすいという事でよしとしておこう。
そんなのほほん評価な私ではあるが、シパンの町に来てからも一人前の評価を貰えるくらいには実績を残している。
今日も今日とて討伐系採取依頼をこなし、夕方に再びギルドに戻って来た。
「なぁなぁ、いいじゃねぇか。もうすぐ終わりだろう? 飯くらいもったいぶるなよ」
「他の方のご迷惑になるので、そのようなお話しでしたらお帰りください」
ギルドに入って聞こえてきたのは、新顔の赤い髪をした冒険者に言い寄られているパメラの声。
「チッ、お高くとまってんじゃねぇよ!」
男の拳が振り上げられて、パメラが息を飲んだのがわかった。
私は瞬間的に身体強化を発動させ、男の襟首を掴むとそのまま後ろに引き倒した。
ドタァーン!
男の体重より明らかに重そうな床の音。
そりゃそうだ、腹が立ったので思い切り叩きつけるようにしてやったのだから。
「なにしやがる! このチビ!!」
「あんたこそ何しようとしたの? パメラに手をあげるなんて許さない。この町を生きて出たけりゃ大人しく帰りなさい」
まだ床に座っている男を見下ろしてそう告げると、男は顔を真っ赤にして立ち上がった。
「サキに手を出したら私達も敵に回す事になるからな? 次に森に行ったら無事に町に帰って来れるといいな?」
そう言って私の後ろにズラリと並ぶマティス達。
基本的にギルド内での喧嘩はご法度だが、森の中では何があるかわからないのは共通の認識だ。
男はある程度の実力があるのか、私達の強さを理解したらしくジリジリと後退している。
「クソッ、覚えてやがれ!!」
男は見事な負け犬の遠吠えを残してギルドを飛び出して行った。
仲間なのか、その後を二人の男が追いかけるように出て行くと、ギルド内は歓声に包まれた。
パメラの人気も手伝って、その日私はちょっとした英雄になったらしい。
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