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100.装備の価値
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昨日も来た応接室に入ると、ギルドマスターはギラギラした目で振り返った。
「ハァハァ……頼む……っ、その装備を! 見せてくれ!! できれば触りたい……、少しでいいんだ、手触りを確かめさせてくれ! はぁはぁ」
完全にヤバい人と化しているギルドマスターに、マティスが私にアイコンタクトで許可を求めてきた。
このままでは危険と判断したので頷くと、マティスは自分の防具とロングソードを外してテーブルの上に置く。
次の瞬間には、先ほど見た瞬発力を見せてソファに座り、防具を手に撫で回すギルドマスター。
何やらブツブツ言いながら、時々目に涙を浮かべているように見える。
「ギルドマスター?」
いつまで続くんだろうかと不安になり声をかけると、満面の笑みで顔を上げた。
「おいおい、ワシとお前さん達の仲でギルドマスターだなんて呼び方、水くさいってもんだ! ジョセフって呼んでくれ! 話方も気楽にな!」
そう言って自分を親指で差すギルドマスター。
ワシとお前さん達の仲って……、どんな仲だというのだ。
「ギルドマスター」
「ジョセフ」
「ギル」「ジョセフ」
「…………ジョセフ」
「なんだ!? 何でも言ってくれ! ワシらの仲だからな!」
「そのマティスの装備、そろそろ返してもらっていい?」
そう告げた瞬間、ジョセフはまるで一気におじいさんになったみたいに、目に見えてしおしおになってしまった。
「ヒィッ!?」
「そんな……、もう少し……もう少しだけこの神話級の防具を見せてくれ……、この通りだ……」
「神話級!?」
「なんだ、知らなかったのか? この防具の色、魔銀だけじゃなく神の金属と言われる緋緋色金も使われてないと出ない色合いなんだ。ワシらドワーフの間でも、この合金を扱うのは至難の業というものだ。なんなら国宝になっていてもおかしくない代物だぞ」
思ったよりすごかったぁぁぁぁ!!
え? だって、まだ結構な数倉庫にあったよ!?
「あ、もしかして、あの妙に横幅は大きいのに短い防具って、ドワーフ用だったのかな?」
倉庫の中を思い出し、ポロリと出た言葉にジョセフがピクリと動きを止めた。
しまった、そう思った時にはもう遅く、三度目の見事な瞬発力を見る事になって壁際に追い詰められた。
「い、い、今言った事は……ハァ~、本当か……? ハァ~、ハァ~、そ、それがもし……ハァ~、譲ってもらえるなら……ハァ~……、全財産出す!! 王都の一等地にでかい屋敷が数件買えるくらいはあるぞ!! 頼む! この通りだ!!」
「キャー!!」
興奮を抑えようとしてるみたいだけど、呼吸音が余計に怖い!
最終的に足に抱き着かれて思わず悲鳴を上げた。
『やはりドワーフはドワーフだな、そやつなら与えても問題はあるまい。だが、出所だけは内密にするように約束させるのを忘れぬようにな。でないと他のドワーフが押し寄せてくるかもしれんぞ』
「う、うん。でもジョセフが着れるサイズかはわからないよ? それでもよければ依頼が終わってから」「本当か! 着られれば最高だが、着れなくてもいい! 依頼が終わってからだな!? 引き止めて悪かった、気を付けて行ってこいよ!」
追い出すように応接室を出された私達だったが、部屋を出た時には常設依頼以外はいい依頼が残っていなかった。
おのれジョセフ……!
「ハァハァ……頼む……っ、その装備を! 見せてくれ!! できれば触りたい……、少しでいいんだ、手触りを確かめさせてくれ! はぁはぁ」
完全にヤバい人と化しているギルドマスターに、マティスが私にアイコンタクトで許可を求めてきた。
このままでは危険と判断したので頷くと、マティスは自分の防具とロングソードを外してテーブルの上に置く。
次の瞬間には、先ほど見た瞬発力を見せてソファに座り、防具を手に撫で回すギルドマスター。
何やらブツブツ言いながら、時々目に涙を浮かべているように見える。
「ギルドマスター?」
いつまで続くんだろうかと不安になり声をかけると、満面の笑みで顔を上げた。
「おいおい、ワシとお前さん達の仲でギルドマスターだなんて呼び方、水くさいってもんだ! ジョセフって呼んでくれ! 話方も気楽にな!」
そう言って自分を親指で差すギルドマスター。
ワシとお前さん達の仲って……、どんな仲だというのだ。
「ギルドマスター」
「ジョセフ」
「ギル」「ジョセフ」
「…………ジョセフ」
「なんだ!? 何でも言ってくれ! ワシらの仲だからな!」
「そのマティスの装備、そろそろ返してもらっていい?」
そう告げた瞬間、ジョセフはまるで一気におじいさんになったみたいに、目に見えてしおしおになってしまった。
「ヒィッ!?」
「そんな……、もう少し……もう少しだけこの神話級の防具を見せてくれ……、この通りだ……」
「神話級!?」
「なんだ、知らなかったのか? この防具の色、魔銀だけじゃなく神の金属と言われる緋緋色金も使われてないと出ない色合いなんだ。ワシらドワーフの間でも、この合金を扱うのは至難の業というものだ。なんなら国宝になっていてもおかしくない代物だぞ」
思ったよりすごかったぁぁぁぁ!!
え? だって、まだ結構な数倉庫にあったよ!?
「あ、もしかして、あの妙に横幅は大きいのに短い防具って、ドワーフ用だったのかな?」
倉庫の中を思い出し、ポロリと出た言葉にジョセフがピクリと動きを止めた。
しまった、そう思った時にはもう遅く、三度目の見事な瞬発力を見る事になって壁際に追い詰められた。
「い、い、今言った事は……ハァ~、本当か……? ハァ~、ハァ~、そ、それがもし……ハァ~、譲ってもらえるなら……ハァ~……、全財産出す!! 王都の一等地にでかい屋敷が数件買えるくらいはあるぞ!! 頼む! この通りだ!!」
「キャー!!」
興奮を抑えようとしてるみたいだけど、呼吸音が余計に怖い!
最終的に足に抱き着かれて思わず悲鳴を上げた。
『やはりドワーフはドワーフだな、そやつなら与えても問題はあるまい。だが、出所だけは内密にするように約束させるのを忘れぬようにな。でないと他のドワーフが押し寄せてくるかもしれんぞ』
「う、うん。でもジョセフが着れるサイズかはわからないよ? それでもよければ依頼が終わってから」「本当か! 着られれば最高だが、着れなくてもいい! 依頼が終わってからだな!? 引き止めて悪かった、気を付けて行ってこいよ!」
追い出すように応接室を出された私達だったが、部屋を出た時には常設依頼以外はいい依頼が残っていなかった。
おのれジョセフ……!
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