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96.ギルドマスターのジョセフ
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「ギルドマスターはいるだろうか。重要な話があるんだが」
「お約束はされてますか? 私どもはそのような予定を伺っておりませんが。ギルドマスターはお忙しい方ですので、むやみに人と会いませんよ。私も忙しいので失礼」
神殿でひと騒ぎ起こした私たちは、リュカ司祭にすぐに冒険者ギルドに報告した方がいいと言われてギルドにやってきたのだが、ギルドの女性職員に冷たくあしらわれてしまった。
「ちょっと待てよ! ……っ、マティス?」
シリルが喰ってかかろうとしたが、マティスが手を上げてそれを制した。
「君の名前を教えてくれないか」
「ナンパならお断りです」
ツンと目を合わせようともせずに冷たい態度の職員。
「それは心配無用だ、私の目に君は魅力的に見えないから。こちらが報告すべきと判断した事を、職員の一存で拒否された責任の所在のために聞いているだけだ」
「なんですって!?」
ギルド職員の顔がカッと赤く染まった。
周りで話を聞いていた他の職員はクスクスと笑っている。
どうやら彼女は普段から同僚に嫌われているらしい。
それにしても、モヨリ―であれば絶対にされない扱いなのに、ここではまだ新顔で……あ。
そっか、ここではまだギルドカードを見せていないから、マティスがAランク冒険者って知らないのか。
「ねぇマティス、冒険者証を見せれば早いんじゃない? Aランク冒険者の言う事ならむげには扱わないでしょ?」
「「「「Aランク!?」」」」
「当方の職員が申し訳ありません。ギルドマスターに知らせて参りますので、冒険者証を預からせていただけますか?」
その場のギルド職員達が声を上げて驚き、奥にいた銀髪の美人さんが対応してくれた。
言われてマティスが冒険者証を渡すと、確認して頷く。
「ではお預かりしますので、あちらの部屋で少々お待ちください」
応接室なんだろうか、ギルドの奥にある扉のひとつを差した。
室内で待っていると、ずんぐりむっくりした体型の髭の生えた背の低い男性が現れた。
『ほぅ、エルフに続いてドワーフもこの町にいるのか』
「ドワーフ!?」
「お? よく知ってるな嬢ちゃん! エルフと同じくらい珍しいから、誰もワシがドワーフだと気付かなかったのに。歴史の古い町だからな、色々といるのさ。ワシはギルドマスターをしているジョセフだ。ほれ、冒険者証は返すぜ、何があった?」
ギルドマスターはどっかりとソファに座りながら聞いていた。
「これはサキから話した方がいいと思う」
マティスに言われて頷く。
「う、うん。えっと、さっき神殿に行った時に神託を受けて、ひと月もすればダンジョンが復活するって言われたから知らせに来たんです」
「ダメだよサキ、まずはフェンリルの主で聖女だって言わないと、神託を受けたって言っても信じてもらえないよ」
「あっ、そうか。私サショイノ王国で認められた聖女のサキと言います」
リアムに注意されて改めて名乗った。
しかしジョセフは聞いているのかいないのか、口を開いたまま固まっていた。
「えーと、ギルドマスター?」
「ハッ! いやいや、驚き過ぎると頭の中は真っ白になるって言うけど本当だったぜ! ダンジョンの復活!? 聖女にフェンリル!? ドワーフやエルフなんかよりよっぽど珍しいじゃねぇか、わはははは! しかしよく報告にきてくれた、すぐに王都に連絡しねぇとな。情報に対する報酬も弾ませてもらうぜ!」
ギルドマスターが置いてあったベルを鳴らすと、さっきの美人さんがやってきて色々指示を受けて部屋を出ていった。
私達はというと報酬を受け取り、最初に対応した職員がギルドマスターに怒鳴られているのを聞きながらギルドを後にした。
「お約束はされてますか? 私どもはそのような予定を伺っておりませんが。ギルドマスターはお忙しい方ですので、むやみに人と会いませんよ。私も忙しいので失礼」
神殿でひと騒ぎ起こした私たちは、リュカ司祭にすぐに冒険者ギルドに報告した方がいいと言われてギルドにやってきたのだが、ギルドの女性職員に冷たくあしらわれてしまった。
「ちょっと待てよ! ……っ、マティス?」
シリルが喰ってかかろうとしたが、マティスが手を上げてそれを制した。
「君の名前を教えてくれないか」
「ナンパならお断りです」
ツンと目を合わせようともせずに冷たい態度の職員。
「それは心配無用だ、私の目に君は魅力的に見えないから。こちらが報告すべきと判断した事を、職員の一存で拒否された責任の所在のために聞いているだけだ」
「なんですって!?」
ギルド職員の顔がカッと赤く染まった。
周りで話を聞いていた他の職員はクスクスと笑っている。
どうやら彼女は普段から同僚に嫌われているらしい。
それにしても、モヨリ―であれば絶対にされない扱いなのに、ここではまだ新顔で……あ。
そっか、ここではまだギルドカードを見せていないから、マティスがAランク冒険者って知らないのか。
「ねぇマティス、冒険者証を見せれば早いんじゃない? Aランク冒険者の言う事ならむげには扱わないでしょ?」
「「「「Aランク!?」」」」
「当方の職員が申し訳ありません。ギルドマスターに知らせて参りますので、冒険者証を預からせていただけますか?」
その場のギルド職員達が声を上げて驚き、奥にいた銀髪の美人さんが対応してくれた。
言われてマティスが冒険者証を渡すと、確認して頷く。
「ではお預かりしますので、あちらの部屋で少々お待ちください」
応接室なんだろうか、ギルドの奥にある扉のひとつを差した。
室内で待っていると、ずんぐりむっくりした体型の髭の生えた背の低い男性が現れた。
『ほぅ、エルフに続いてドワーフもこの町にいるのか』
「ドワーフ!?」
「お? よく知ってるな嬢ちゃん! エルフと同じくらい珍しいから、誰もワシがドワーフだと気付かなかったのに。歴史の古い町だからな、色々といるのさ。ワシはギルドマスターをしているジョセフだ。ほれ、冒険者証は返すぜ、何があった?」
ギルドマスターはどっかりとソファに座りながら聞いていた。
「これはサキから話した方がいいと思う」
マティスに言われて頷く。
「う、うん。えっと、さっき神殿に行った時に神託を受けて、ひと月もすればダンジョンが復活するって言われたから知らせに来たんです」
「ダメだよサキ、まずはフェンリルの主で聖女だって言わないと、神託を受けたって言っても信じてもらえないよ」
「あっ、そうか。私サショイノ王国で認められた聖女のサキと言います」
リアムに注意されて改めて名乗った。
しかしジョセフは聞いているのかいないのか、口を開いたまま固まっていた。
「えーと、ギルドマスター?」
「ハッ! いやいや、驚き過ぎると頭の中は真っ白になるって言うけど本当だったぜ! ダンジョンの復活!? 聖女にフェンリル!? ドワーフやエルフなんかよりよっぽど珍しいじゃねぇか、わはははは! しかしよく報告にきてくれた、すぐに王都に連絡しねぇとな。情報に対する報酬も弾ませてもらうぜ!」
ギルドマスターが置いてあったベルを鳴らすと、さっきの美人さんがやってきて色々指示を受けて部屋を出ていった。
私達はというと報酬を受け取り、最初に対応した職員がギルドマスターに怒鳴られているのを聞きながらギルドを後にした。
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