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84.簡易橋の完成
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ズシャァァァァ!!
アルフォンスは無事(?)に向こう岸に到着したが、突然投げられたのではなくても着地は苦手なようだ。
「アルフォンスー! 大丈夫ー!?」
声をかけると、プルプルしながら立ち上がって前髪を掻き上げている。
うん、大丈夫そうだね。
『あとは獣人の力であれば一枚ずつ板を向こうへ渡せるであろう。一枚一枚の重量があるゆえ簡単には動かぬはず、並べれば簡易的な橋として十分に機能するはずだ。さぁ、運べ』
私以外にアーサーが命令した。顎で使うってこの事だよね。
「うわぁ、これはめちゃくちゃ重いね! 身体強化使っても一人じゃ無理なやつだよ」
リアムが一人で持ち上げようとして、動けずにいる。
「無理をするな、身体を傷めるぞ。私とオーギュストで持つから、三人は補助を頼む」
「「「わかった」」」
マティスの指示に、双子とシリルが頷く。
「よし、それじゃあ半分川へはみ出させて、そこから投げれば向こう岸に届くだろう」
商人の一行と私が見守る中、重そうな板というより木材が運ばれて行く。
端っこは一番力の強いオーギュストが持ち、先端を持ち上げるようにして川へとせり出させる。
「では、いちにのさんで投げるから、マティス達は同時に手を離してくれ。いいか?」
側面を持っている四人が頷く。
「それじゃあ……いち、にの、さーん!」
大きな木材が宙を舞い、先端が向こう岸に届いた。
ズザザザザッ。
「やったぁ! 届いたぁ!!」
思わず興奮して声を上げてしまった。
その直後。
ドボンッ。
「「「「「「「え?」」」」」」」
見守っていた私と商人一行から漏れた声。
なんと力が強すぎて、こちら側に引っ掛かるはずの部分まで川の上に飛び出してしまったのだ。
残ったのはサラサラと川の流れる音だけ。
「い、いやぁ……思ったより飛んでしまったねぇ。しかし幸い残った材料だけでも馬車が通る幅が確保できそうだから問題ないさ、はは……ははは」
オーギュストは乾いた笑いを残し、そそくさと次の木材の元へと向かった。
確かに切り出した木材は大木だったから、幅一メートル以上ありそうなので余裕で足りるだろう。
『せっかく我が切り出してやっというのに! 次は落とすでないぞ!』
アーサーはプリプリと怒り、肉球を踏み鳴らしている。
「さっきは力加減がわからなかっただけだから、今度は大丈夫! アルフォンス、もうちょっと川岸に近付いておきなさい」
向こう岸でゲラゲラ笑っていたアルフォンスに声をかけ、待機させた。
さっきと同じように半分川の上にせり出した状態から合図して木材を投げる。
「あっ」
ドゴォッ。
痛そうな音がして、木材がぶつかったアルフォンスが吹っ飛んだ。
だがそのおかげで木材は無事向こう岸との間に横たわっている。
「ふむ、これでも少し強かったか。だが無事に橋を架けられたからよしだな。これで残りは投げずに橋を渡って板を増やせば馬車も通れるぞ」
オーギュストが話している間、アルフォンスはピクリとも動いていない。
「あ、あの、オーギュスト? アルフォンス……」
「ははは、大丈夫だよサキ。我々獣人は丈夫だからね!」
有無を言わせない笑顔に、私は口を閉ざすしかなかった。
そして三十分後にはアーサーにより段差も加工され、無事に簡易的な橋が完成したが、その間アルフォンスは放置されたままだ。
オーギュストの失敗を笑った制裁だったとか……じゃないよね?
アルフォンスは無事(?)に向こう岸に到着したが、突然投げられたのではなくても着地は苦手なようだ。
「アルフォンスー! 大丈夫ー!?」
声をかけると、プルプルしながら立ち上がって前髪を掻き上げている。
うん、大丈夫そうだね。
『あとは獣人の力であれば一枚ずつ板を向こうへ渡せるであろう。一枚一枚の重量があるゆえ簡単には動かぬはず、並べれば簡易的な橋として十分に機能するはずだ。さぁ、運べ』
私以外にアーサーが命令した。顎で使うってこの事だよね。
「うわぁ、これはめちゃくちゃ重いね! 身体強化使っても一人じゃ無理なやつだよ」
リアムが一人で持ち上げようとして、動けずにいる。
「無理をするな、身体を傷めるぞ。私とオーギュストで持つから、三人は補助を頼む」
「「「わかった」」」
マティスの指示に、双子とシリルが頷く。
「よし、それじゃあ半分川へはみ出させて、そこから投げれば向こう岸に届くだろう」
商人の一行と私が見守る中、重そうな板というより木材が運ばれて行く。
端っこは一番力の強いオーギュストが持ち、先端を持ち上げるようにして川へとせり出させる。
「では、いちにのさんで投げるから、マティス達は同時に手を離してくれ。いいか?」
側面を持っている四人が頷く。
「それじゃあ……いち、にの、さーん!」
大きな木材が宙を舞い、先端が向こう岸に届いた。
ズザザザザッ。
「やったぁ! 届いたぁ!!」
思わず興奮して声を上げてしまった。
その直後。
ドボンッ。
「「「「「「「え?」」」」」」」
見守っていた私と商人一行から漏れた声。
なんと力が強すぎて、こちら側に引っ掛かるはずの部分まで川の上に飛び出してしまったのだ。
残ったのはサラサラと川の流れる音だけ。
「い、いやぁ……思ったより飛んでしまったねぇ。しかし幸い残った材料だけでも馬車が通る幅が確保できそうだから問題ないさ、はは……ははは」
オーギュストは乾いた笑いを残し、そそくさと次の木材の元へと向かった。
確かに切り出した木材は大木だったから、幅一メートル以上ありそうなので余裕で足りるだろう。
『せっかく我が切り出してやっというのに! 次は落とすでないぞ!』
アーサーはプリプリと怒り、肉球を踏み鳴らしている。
「さっきは力加減がわからなかっただけだから、今度は大丈夫! アルフォンス、もうちょっと川岸に近付いておきなさい」
向こう岸でゲラゲラ笑っていたアルフォンスに声をかけ、待機させた。
さっきと同じように半分川の上にせり出した状態から合図して木材を投げる。
「あっ」
ドゴォッ。
痛そうな音がして、木材がぶつかったアルフォンスが吹っ飛んだ。
だがそのおかげで木材は無事向こう岸との間に横たわっている。
「ふむ、これでも少し強かったか。だが無事に橋を架けられたからよしだな。これで残りは投げずに橋を渡って板を増やせば馬車も通れるぞ」
オーギュストが話している間、アルフォンスはピクリとも動いていない。
「あ、あの、オーギュスト? アルフォンス……」
「ははは、大丈夫だよサキ。我々獣人は丈夫だからね!」
有無を言わせない笑顔に、私は口を閉ざすしかなかった。
そして三十分後にはアーサーにより段差も加工され、無事に簡易的な橋が完成したが、その間アルフォンスは放置されたままだ。
オーギュストの失敗を笑った制裁だったとか……じゃないよね?
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