79 / 109
79.失われた魔法
しおりを挟む
「あ~あ……ルネちゃん可愛かったなぁ……」
頬ずりされてから一日、私たちは衛兵が常駐している町で指名手配の盗賊団の事を報告した。
褒章は誘拐されていた山猫獣人の少女の家族と、村人の代表である村長さんに半分ずつ渡してほしいと伝えておいたので損害の元は取れるだろう。
まだ明るい時間だったので、食料をいくつか買い足して出発したらルネちゃんを思い出して漏れたひと言だった。
するとアーサーが目の前にちょこんと座り、小首をかしげてつぶらな瞳で私を見上げる。
「どうしたの?」
『我も可愛いのであろう? 撫でてよいのだぞ、それが主の特権というものだ』
そう言ってころりとお腹を見せて転がった。
もしかしてヤキモチ!?
自分の方が可愛いアピールなの!?
「も~ぅ、アーサーも可愛いに決まってるでしょ~? 可愛い可愛い、うふふふふ」
「ははは、アーサーてばヤキモチやいたの? 可愛いなぁ。だけど小さい時なら何もしなくても可愛かったよね」
あっ。
リアムがあっさりと禁断のひと言を言ってしまった。
確かにたまに小さい頃の姿が恋しくなったりしたけれど!
ひとまず成長を喜んであげるのが家族というものでしょう!?
『ふむ、なるほど。小さいからこその可愛さか……。これでどうだ』
アーサーは起き上がり、上を見て考えていたかと思うと赤ちゃんの時の姿なった。
「えぇっ!? 小さくなった!! どうして!? 何をしたの!? はわわわ、やっぱり可愛いぃぃぃ!!」
久々に見た小さいアーサーに興奮してしまった。
やはり可愛いは正義。
『変身魔法というやつだ、やろうと思えばどんな姿にもなれる。覚えればサキも使えるぞ』
「うわぁ、面白そう! それじゃあ私が今のアーサーみたいな姿にもなれるって事!?」
『可能だ』
「いやいやいや、ちょっと待ってくれ!! 変身魔法? そんなの聞いた事がないぞ!?」
私達の会話を聞いて、オーギュストが焦り始めた。
「聞いた事がないって? だってこうしてアーサーが変身してるけど……。 ねぇ?」
アーサーを見ると、コクリと頷いている。
「だから驚いているんだよ! これはまさか……」
「「失われた魔法……」」
オーギュストとアルフォンスの声が重なった。
二人共赤ちゃん姿のアーサーから視線が外せず固まっている。
「失われた魔法ってアルフォンスが研究者になりたいって思ったきっかけじゃなかった?」
「ん、確かにそう言ってた」
リアムとユーゴが頷きあっている。
「へぇ、そうなんだ。アーサーは確かこの世界の知識はあるって前に言ってたし、他の失われた魔法も使えるんじゃない?」
『使えるのだろうな。ただ、どれがそうなのかわからん。ゆえに普段使わぬ魔法はないという事でよかろう』
寝そべってフンと鼻を鳴らした。
どうやら面倒臭いようだ。
感情を食べない私でも、アーサーの気持ちはなんとなくわかるようになってきたなぁ。
『やはり主は小さい姿の我の方が好きだったのか……。ならば普段からこの姿でいてやろう』
「ハッ!」
どうやら無意識にアーサーを撫で回していたようだ、どうりで手が幸せな気がしていたはずだよ。
抱き着きやすい大きいアーサーもいいけど、やはり赤ちゃんのコロコロしてて柔らかい毛並みの魅力には抗えないよね!
◇ ◇ ◇
他サイトでアーサーの声のイメージを若本ボイスにしてしまい、笑っちゃうというコメントをいただきました。
わかりやすく言うと、ドラゴンボールのセルや、以前のサザエさんのアナゴさんですね。
時々アーサーのセリフ書いてる時に思い出して、若本ボイスが聞こえてしまい笑いながら書いてます( *´艸`)
本当は井上〇彦さんみたいなさわやかイメージだったんですけどねぇ……w
頬ずりされてから一日、私たちは衛兵が常駐している町で指名手配の盗賊団の事を報告した。
褒章は誘拐されていた山猫獣人の少女の家族と、村人の代表である村長さんに半分ずつ渡してほしいと伝えておいたので損害の元は取れるだろう。
まだ明るい時間だったので、食料をいくつか買い足して出発したらルネちゃんを思い出して漏れたひと言だった。
するとアーサーが目の前にちょこんと座り、小首をかしげてつぶらな瞳で私を見上げる。
「どうしたの?」
『我も可愛いのであろう? 撫でてよいのだぞ、それが主の特権というものだ』
そう言ってころりとお腹を見せて転がった。
もしかしてヤキモチ!?
自分の方が可愛いアピールなの!?
「も~ぅ、アーサーも可愛いに決まってるでしょ~? 可愛い可愛い、うふふふふ」
「ははは、アーサーてばヤキモチやいたの? 可愛いなぁ。だけど小さい時なら何もしなくても可愛かったよね」
あっ。
リアムがあっさりと禁断のひと言を言ってしまった。
確かにたまに小さい頃の姿が恋しくなったりしたけれど!
ひとまず成長を喜んであげるのが家族というものでしょう!?
『ふむ、なるほど。小さいからこその可愛さか……。これでどうだ』
アーサーは起き上がり、上を見て考えていたかと思うと赤ちゃんの時の姿なった。
「えぇっ!? 小さくなった!! どうして!? 何をしたの!? はわわわ、やっぱり可愛いぃぃぃ!!」
久々に見た小さいアーサーに興奮してしまった。
やはり可愛いは正義。
『変身魔法というやつだ、やろうと思えばどんな姿にもなれる。覚えればサキも使えるぞ』
「うわぁ、面白そう! それじゃあ私が今のアーサーみたいな姿にもなれるって事!?」
『可能だ』
「いやいやいや、ちょっと待ってくれ!! 変身魔法? そんなの聞いた事がないぞ!?」
私達の会話を聞いて、オーギュストが焦り始めた。
「聞いた事がないって? だってこうしてアーサーが変身してるけど……。 ねぇ?」
アーサーを見ると、コクリと頷いている。
「だから驚いているんだよ! これはまさか……」
「「失われた魔法……」」
オーギュストとアルフォンスの声が重なった。
二人共赤ちゃん姿のアーサーから視線が外せず固まっている。
「失われた魔法ってアルフォンスが研究者になりたいって思ったきっかけじゃなかった?」
「ん、確かにそう言ってた」
リアムとユーゴが頷きあっている。
「へぇ、そうなんだ。アーサーは確かこの世界の知識はあるって前に言ってたし、他の失われた魔法も使えるんじゃない?」
『使えるのだろうな。ただ、どれがそうなのかわからん。ゆえに普段使わぬ魔法はないという事でよかろう』
寝そべってフンと鼻を鳴らした。
どうやら面倒臭いようだ。
感情を食べない私でも、アーサーの気持ちはなんとなくわかるようになってきたなぁ。
『やはり主は小さい姿の我の方が好きだったのか……。ならば普段からこの姿でいてやろう』
「ハッ!」
どうやら無意識にアーサーを撫で回していたようだ、どうりで手が幸せな気がしていたはずだよ。
抱き着きやすい大きいアーサーもいいけど、やはり赤ちゃんのコロコロしてて柔らかい毛並みの魅力には抗えないよね!
◇ ◇ ◇
他サイトでアーサーの声のイメージを若本ボイスにしてしまい、笑っちゃうというコメントをいただきました。
わかりやすく言うと、ドラゴンボールのセルや、以前のサザエさんのアナゴさんですね。
時々アーサーのセリフ書いてる時に思い出して、若本ボイスが聞こえてしまい笑いながら書いてます( *´艸`)
本当は井上〇彦さんみたいなさわやかイメージだったんですけどねぇ……w
19
お気に入りに追加
939
あなたにおすすめの小説

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

騎士団寮のシングルマザー
古森きり
恋愛
夫と離婚し、実家へ帰る駅への道。
突然突っ込んできた車に死を覚悟した歩美。
しかし、目を覚ますとそこは森の中。
異世界に聖女として召喚された幼い娘、真美の為に、歩美の奮闘が今、始まる!
……と、意気込んだものの全く家事が出来ない歩美の明日はどっちだ!?
※ノベルアップ+様(読み直し改稿ナッシング先行公開)にも掲載しましたが、カクヨムさん(は改稿・完結済みです)、小説家になろうさん、アルファポリスさんは改稿したものを掲載しています。
※割と鬱展開多いのでご注意ください。作者はあんまり鬱展開だと思ってませんけども。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる