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67.遊び
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オーギュストとアルフォンスの親子と奴隷商人達を見送ると、私達は国境の建物の陰で夜明けまで過ごした。
これはオーギュストの指示でもある。
「ふわぁ……。睡眠時間短かかったから寝足りない……」
目をこすりながら身体を起こすと、アーサーが頬をペロリと舐めた。
『おはよう主。ふふふ、主はゴロゴロしているのが大好きだから旅は辛かろう。腰を落ち着けられる、いい場所が見つかったら居を構えるといい。金ならマティスが準備しているし、我がいるのだから自分で稼ぐのも容易なのだからな』
「それ最高だねぇ、いいところが見つかるといいな~」
アーサーの首に抱き着いて顔をうずめる、大きくなった分もふもふで気持ちいい。
猫科のすべすべな毛並みも、きっと気持ちいいとは思うんだよね。
「ハッ!? 何か視線を感じなかったか!?」
「そう? 気のせいなんじゃない? だって周りに誰もいないよ?」
馬車の外からシリルとリアムの声が聞こえた。
私とアーサー以外は普段の冒険者スタイル通り外で寝ていたのだ。
…………そんなに見つめてなかったんだけどなぁ。
朝ごはんを携帯食で済ませて出発する。
国境から二時間も行けば奴隷商人の拠点のある町らしい。
景色は基本的に草原が広がり、村や休憩所の近くには森があるので水場がわかりやすい。
つまりは田舎ほど、ほとんど景色が変わらず暇なのである。
ボーッとしていて気付いた、時々シリルが太い尻尾の先をパタンパタンと不規則に、時には規則的に動かしていることに。
最初は暇だから動かしているのかなと思っていたけど、わかってしまった。
会話にはほとんど参加せず、自由になりたいから仕方なくついてきていると言外にアピールしていたシリルだが、リアムかユーゴが近くにいる時だけ尻尾を動かしていたのだ!
ツッコんでいい? いいよね? むしろ気付かずずっとアピールさせちゃうのも可哀想というもの。
そっかぁ、シリルってぶっきらぼうだけど、可愛いところがあるんだなぁ。
『主、何を考えている? 随分楽しそうではないか』
口の周りを舐めながらアーサーに指摘された。
「え? いやぁ、うん。ちょっと気付いちゃったんだけどさ、シリル?」
「なんだ?」
後方から流れて行く景色を肘をついた手に顎を乗せたまま、振り返らずに返事だけした。
「あのね、リアムもユーゴも狼獣人だから……ふふっ、尻尾を振ってもじゃれて遊ばないよ?」
「んなっ! べっ、別に遊んでやろうと思って振っていたわけじゃねえ!!」
シリルは勢いよくこちらを振り向いた。
ふと思い出したのだ、大きい猫が子猫を自分の尻尾にじゃれつかせて遊んであげている動画を。
『ふむ、バレた羞恥と自分に関心を持ってくれていた喜び……といったところか』
感情ソムリエアーサーが、口の周りを舐めながら満足そうにつぶやく。
「えぇ!? シリルはオイラ達と遊んでくれようとしたの!? 優しいね!」
「そういうんじゃねぇ! ガキ共が暇だろうからちょっとからかってやろうと……なんでもねぇ!」
自ら構ってあげようとしたと暴露した事に気付いたのか、プイッと再び後方を向いて振り返らなくなってしまった。
粗雑に扱われてたから荒んだ性格をしているのかと思ったけど、子供の頃はちゃんと愛されて育っていたんだと垣間見えた気がした。
「目的の町が見えてきたぞ。オーギュスト達と合流できない場合は一泊する事になるぞ」
御者席のマティスが振り返って教えてくれた。
さて、女将達が無事に捕まったか確認しないとね。
これはオーギュストの指示でもある。
「ふわぁ……。睡眠時間短かかったから寝足りない……」
目をこすりながら身体を起こすと、アーサーが頬をペロリと舐めた。
『おはよう主。ふふふ、主はゴロゴロしているのが大好きだから旅は辛かろう。腰を落ち着けられる、いい場所が見つかったら居を構えるといい。金ならマティスが準備しているし、我がいるのだから自分で稼ぐのも容易なのだからな』
「それ最高だねぇ、いいところが見つかるといいな~」
アーサーの首に抱き着いて顔をうずめる、大きくなった分もふもふで気持ちいい。
猫科のすべすべな毛並みも、きっと気持ちいいとは思うんだよね。
「ハッ!? 何か視線を感じなかったか!?」
「そう? 気のせいなんじゃない? だって周りに誰もいないよ?」
馬車の外からシリルとリアムの声が聞こえた。
私とアーサー以外は普段の冒険者スタイル通り外で寝ていたのだ。
…………そんなに見つめてなかったんだけどなぁ。
朝ごはんを携帯食で済ませて出発する。
国境から二時間も行けば奴隷商人の拠点のある町らしい。
景色は基本的に草原が広がり、村や休憩所の近くには森があるので水場がわかりやすい。
つまりは田舎ほど、ほとんど景色が変わらず暇なのである。
ボーッとしていて気付いた、時々シリルが太い尻尾の先をパタンパタンと不規則に、時には規則的に動かしていることに。
最初は暇だから動かしているのかなと思っていたけど、わかってしまった。
会話にはほとんど参加せず、自由になりたいから仕方なくついてきていると言外にアピールしていたシリルだが、リアムかユーゴが近くにいる時だけ尻尾を動かしていたのだ!
ツッコんでいい? いいよね? むしろ気付かずずっとアピールさせちゃうのも可哀想というもの。
そっかぁ、シリルってぶっきらぼうだけど、可愛いところがあるんだなぁ。
『主、何を考えている? 随分楽しそうではないか』
口の周りを舐めながらアーサーに指摘された。
「え? いやぁ、うん。ちょっと気付いちゃったんだけどさ、シリル?」
「なんだ?」
後方から流れて行く景色を肘をついた手に顎を乗せたまま、振り返らずに返事だけした。
「あのね、リアムもユーゴも狼獣人だから……ふふっ、尻尾を振ってもじゃれて遊ばないよ?」
「んなっ! べっ、別に遊んでやろうと思って振っていたわけじゃねえ!!」
シリルは勢いよくこちらを振り向いた。
ふと思い出したのだ、大きい猫が子猫を自分の尻尾にじゃれつかせて遊んであげている動画を。
『ふむ、バレた羞恥と自分に関心を持ってくれていた喜び……といったところか』
感情ソムリエアーサーが、口の周りを舐めながら満足そうにつぶやく。
「えぇ!? シリルはオイラ達と遊んでくれようとしたの!? 優しいね!」
「そういうんじゃねぇ! ガキ共が暇だろうからちょっとからかってやろうと……なんでもねぇ!」
自ら構ってあげようとしたと暴露した事に気付いたのか、プイッと再び後方を向いて振り返らなくなってしまった。
粗雑に扱われてたから荒んだ性格をしているのかと思ったけど、子供の頃はちゃんと愛されて育っていたんだと垣間見えた気がした。
「目的の町が見えてきたぞ。オーギュスト達と合流できない場合は一泊する事になるぞ」
御者席のマティスが振り返って教えてくれた。
さて、女将達が無事に捕まったか確認しないとね。
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