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42.ご対面

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「そして神殿長がサキ様をご紹介いたしますので、ここから中央までアーサー様と歩いてください。歓声がおさまらない時は片手を上げればおさまりますので。そしてフェンリルと主従契約している事を宣言していただき、できればアーサー様にお力を示していただけるとなおよろしいかと。民は目に見えるモノしか信じませんから」


「それだと神殿を壊しちゃうかも……。壊れるとまずいですよね?」


「…………そうですね」


 次の日、儀式の説明してくれているジョエル司祭は、数秒してから答えた。
 バレーコートが三面取れそうな大聖堂だけど、下に人がいる状態で力を示せと言われても……。


「アーサー、できる?」


造作ぞうさもない。建物を傷つけず、脅威を感じる魔法を見せてやればよいだけだ』


「大丈夫だそうです」


「安心いたしました。それではその後は元の控えの間にお戻りいただければ、お部屋までの案内係がまいりますので、お部屋でお召し替えを。儀式に関しては以上です。それではこの後は清めの沐浴をして、この大聖堂で祈祷をいたしましょう。べレニス助祭、私はここで祈祷しながらお待ちしてますから、サキ様をお願いします」


「はい。聖女様、お召し替えの後、清めの泉へご案内いたします」


「わかりました」


 昨日から案内係をしてくれてた女性はべレニス助祭というらしい。
 よかった、安易にシスターと声をかけなくて。


 そして私は清めの泉という神殿の半地下にあるプールくらいの泉に入らされた。
 すごく、すっっっっごく冷たかったので二度とごめんだ。


 水に入った事でスケスケになった聖女の服は、全く同じ物が用意されていて着替えた。
 同じ衣装でいいなら、アーサーに魔法で乾かしてもらえばよかったのに。


 大聖堂に戻ると、手を組み、両膝をついているジョエル司祭がいた。
 そんなジョエル司祭の姿に見惚れ、足を止めるべレニス助祭。


 へぇ、わかりやすいなぁ。
 個人的にジョエル司祭が気に入らない理由がなんとなくわかった。
 推定年齢三十八くらいだけど、十数年前はさぞかし女性を泣かせていたんだろうなという軽薄さというか、モテてましたオーラが出ているせいだろう。


 最初は聖職者だからありえないかと思ったけど、上層部のあのだらしない体型や態度を見てしまったら関係ない気がする。
 私がべレニス助祭を追い越して大聖堂に足を踏み入れると、足音に気付いたのか、ジョエル司祭が顔を上げた。


「沐浴はお済みのようですね。ではこちらへ来て、先ほどの私と同じように創造神にお祈りしてください。神託が下る事などないとは思いますが、とりあえず形式的なものと思ってください」


 ジョエル司祭の言う通りに創造神像に向かって両膝をつくと、隣にアーサーがちょこんと座った。


『ふむ、まぁまぁ似ているな』


 そんな声を聞きながら目を閉じ、手を組んで祈る。


『咲妃、顔をあげなさい』


 アーサーとは違う男とも女ともつかない声に顔を上げると、そこには創造神像によく似た人が立っていた。



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