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39.神殿上層部
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アーサーをモフり倒した後にウトウトしていると、夕食の時間になりお迎えがきた。
「その前にお召し替えを。ささ、すぐに済みますので」
教会のシスターの真っ白バージョンみたいな恰好の女性達が数人入ってきて、あれよあれよという間に着替えさせられた。
どんな体格でも対応できるように、サイズは紐で調節する真っ白の生地に白糸と金糸で刺繍された、いかにも聖女らしい恰好。
これで食事って、ソース跳ねさせようものなら一発でアウトなやつ!!
カレーうどん食べてやろうか!? この世界でまだカレー見てないけど。
案内された食堂には、神殿のお偉いさんらしき人達が左右に座っているところにひとつ空いたお誕生日席が。
まさかあそこに座れと!?
私を案内する女性は、明らかにその席へと向かっている。
緊張して視界が狭くなっているのを自覚しながらも、なんとか周りを見回すと、離れたテーブルにマティス達がいるのを見つけた。
意図的に離されているのがわかる距離に、私はあえて笑顔で手を振る。
あまり表情がわからないほど離れていたけど、なんとなくホッとしているようだから手を振ってよかった。
席に到着すると、体格のいい人達が座ったままで私を歓迎した。
太ってるから立ち上がるのも大変なんですね、わかります。
「よくぞいらっしゃいました聖女様、そちらがフェンリルですね。ささ、どうぞお座りください」
好々爺の笑みを浮かべているが、アーサーを見る眼の奥はギラギラしたものを感じる。
「失礼します」
どうしよう、テーブルマナーとかあるのだろうか。
そんな心配をしたけれど、どうやらコース料理のようなものではなく、普段庶民が食べているような食事だった。
食事が運ばれてくる間に、お偉いさん達の自己紹介ラッシュがあり、名前が覚えきれなくなったところで終わった。
そして食事をしながら浮かんだひとつの疑問。
特に私の近くに座っている人達、こんな食事でどうしてその体型なんだ。
アーサーでなくとも神殿の腐敗臭がプンプンするよ。
「明日は儀式の手順説明と、清めの沐浴の後に祈祷をしてしただきます。明後日が我が神殿の誇る大聖堂でお披露目となりますので。いやぁ、私が神殿長の間に伝説のフェンリルと聖女のお披露目ができるなんて、光栄ですなぁ」
神殿長がそう言った途端に一瞬ピリつく空気。
ほんの一瞬で霧散したけど、神殿内にも派閥がありそう。
お披露目とやらが終わったら、とっとと退散するのがよさそうだ。
『こやつらの感情は胸やけしそうだ。食べ終わったなら早く離れたい』
食事が終わる頃にアーサーのげんなりした声が聞こえた。
私達が食事している間、アーサーは専用の装飾された台の上でずっと寝たふりをしていたが、ずっと不機嫌そうにしていたのには気づいている。
「もう終わるよ。それじゃあ、食後にマティス達のところへ行こうか」
「おや、どうしました?」
神殿長が気付いて声をかけてきた。
「アーサーが食事はまだ終わらないのか、と」
「ほぅ、フェンリルの言っている事がわかるのですか?」
「ええ、それは伝承に残ってませんか? あ、そうか、フェンリルから主に選ばれたのは私が初めてでしたっけ。主以外に眷属である狼獣人の彼らもアーサーの話している言葉を理解できますよ。アーサーも彼らと話したいようなので行きますね、ごちそうさまでした」
値踏みするような視線を向けられ、ちょっとムッとしたが、大人なので笑顔で返した。
いや、ちょっと煽っちゃったかもしれない。
そんな言葉を返されると思ってなかったのか、神殿長達がぽかんとしている間にそそくさと席を立った。
「その前にお召し替えを。ささ、すぐに済みますので」
教会のシスターの真っ白バージョンみたいな恰好の女性達が数人入ってきて、あれよあれよという間に着替えさせられた。
どんな体格でも対応できるように、サイズは紐で調節する真っ白の生地に白糸と金糸で刺繍された、いかにも聖女らしい恰好。
これで食事って、ソース跳ねさせようものなら一発でアウトなやつ!!
カレーうどん食べてやろうか!? この世界でまだカレー見てないけど。
案内された食堂には、神殿のお偉いさんらしき人達が左右に座っているところにひとつ空いたお誕生日席が。
まさかあそこに座れと!?
私を案内する女性は、明らかにその席へと向かっている。
緊張して視界が狭くなっているのを自覚しながらも、なんとか周りを見回すと、離れたテーブルにマティス達がいるのを見つけた。
意図的に離されているのがわかる距離に、私はあえて笑顔で手を振る。
あまり表情がわからないほど離れていたけど、なんとなくホッとしているようだから手を振ってよかった。
席に到着すると、体格のいい人達が座ったままで私を歓迎した。
太ってるから立ち上がるのも大変なんですね、わかります。
「よくぞいらっしゃいました聖女様、そちらがフェンリルですね。ささ、どうぞお座りください」
好々爺の笑みを浮かべているが、アーサーを見る眼の奥はギラギラしたものを感じる。
「失礼します」
どうしよう、テーブルマナーとかあるのだろうか。
そんな心配をしたけれど、どうやらコース料理のようなものではなく、普段庶民が食べているような食事だった。
食事が運ばれてくる間に、お偉いさん達の自己紹介ラッシュがあり、名前が覚えきれなくなったところで終わった。
そして食事をしながら浮かんだひとつの疑問。
特に私の近くに座っている人達、こんな食事でどうしてその体型なんだ。
アーサーでなくとも神殿の腐敗臭がプンプンするよ。
「明日は儀式の手順説明と、清めの沐浴の後に祈祷をしてしただきます。明後日が我が神殿の誇る大聖堂でお披露目となりますので。いやぁ、私が神殿長の間に伝説のフェンリルと聖女のお披露目ができるなんて、光栄ですなぁ」
神殿長がそう言った途端に一瞬ピリつく空気。
ほんの一瞬で霧散したけど、神殿内にも派閥がありそう。
お披露目とやらが終わったら、とっとと退散するのがよさそうだ。
『こやつらの感情は胸やけしそうだ。食べ終わったなら早く離れたい』
食事が終わる頃にアーサーのげんなりした声が聞こえた。
私達が食事している間、アーサーは専用の装飾された台の上でずっと寝たふりをしていたが、ずっと不機嫌そうにしていたのには気づいている。
「もう終わるよ。それじゃあ、食後にマティス達のところへ行こうか」
「おや、どうしました?」
神殿長が気付いて声をかけてきた。
「アーサーが食事はまだ終わらないのか、と」
「ほぅ、フェンリルの言っている事がわかるのですか?」
「ええ、それは伝承に残ってませんか? あ、そうか、フェンリルから主に選ばれたのは私が初めてでしたっけ。主以外に眷属である狼獣人の彼らもアーサーの話している言葉を理解できますよ。アーサーも彼らと話したいようなので行きますね、ごちそうさまでした」
値踏みするような視線を向けられ、ちょっとムッとしたが、大人なので笑顔で返した。
いや、ちょっと煽っちゃったかもしれない。
そんな言葉を返されると思ってなかったのか、神殿長達がぽかんとしている間にそそくさと席を立った。
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