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36.心の場所
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昼食後に話の続きを聞かせてもらおうと思っていたのに、最後の町を出て王都に到着したら、私達は神殿へ、サミュエルと魔導師のおじいさんは王宮に行くからと別々の馬車に乗せられた。
「サキはこの馬車でずっと移動していたのか~、確かにこれに乗っていたら、オイラ達が荷馬車に乗ってるのが気になるかもしれないな。けど、本当に平気だったから気にしなくていいよ」
「ん、僕達は丈夫」
私の向かいでふかふかの座席を撫でながら双子達がはしゃいでいる。
ユーゴも珍しくニコニコしているくらいだ。
「サミュエルが向こうの馬車に乗っちゃったから、ここから一人かと思って寂しく思ってたんだよね。二人が一緒に乗ってくれてよかった」
『主よ、我がいるではないか!』
不満そうにテシテシと私の太ももを前足で叩くアーサー。
「あはは、そうだね。だけど私とアーサーだけじゃ、この馬車は広すぎるよ」
それにリアムがにぎやかに話してくれれば、色々考え込まずに済みそうだし。
サミュエルとのこのひと月の思い出話も楽しかったけど、家族という仲になった二人とはもっと気楽に話せる。
なぜなら間違ってもドキドキしないから!
「え~? アルフォンスったらそんな事言ってたの~?」
「そうなんだ、おっかしいでしょ! アルフォンスがおかしいのはいつもの事だけどさぁ」
「あはは、本人が聞いたら怒るよ?」
「オイラ達が言う事なんて気にしないって! 聞きたい事しか耳に入れないから」
「ん、オーギュストが苦労してる」
「確かにどこまでも前向きなあの性格は、時々羨ましくなるくらいだよねぇ……って、おっきい!!」
楽しい会話をしていると、時間はあっという間に過ぎるもので、気付くとどこまでも続く外壁の大きな門の前にいた。
アーサー以外の三人は、窓に頬をくっつけて外の様子を眺める。
しかし護衛の騎士の視線を感じて、私だけはサッと座り直したけど。
王都の門をくぐって大通りを通り抜け、大きな交差点にさしかかると馬車が止まった。
何事かと思ったら、サミュエルがいきなり乗り込んできて私の手を握る。
「サキ、私の心はサキにある。だから……信じて待っていてくれ」
「へっ!? あ、あの……」
「サミュエル王子! 困ります! 王家の馬車にお戻りください!」
「くっ。サキ、次に会う時には必ず……!」
「サミュエル王子!」
何か言わないとと思ったけど、頭が真っ白なうちに神殿の関係者がサミュエルを咎めて連れて行った。
再び馬車が走り出した時には、リアムはニヤニヤしながら、ユーゴが照れくさそうにチラチラを私を見ていた。
「いやぁ、小さいサミュエルの頃からサキの事大好きなんだな~って思ってたけど、やっぱりそうだったんだね。サキもサミュエルの事好きなら、オイラ応援するよ!」
「ん、サキの幸せが一番」
「あ、ありがと……」
うぐぐ、いたたまれない!
いや、嬉しいよ!? 嬉しいんだけどさ!
なんだか素直に喜べないのは、遠回しな言葉ばかりでハッキリ好きだとも、恋人になってほしいとも言われてないからだろうか、それとも口の周りを舐めているアーサーのせいだろうか。
「サキはこの馬車でずっと移動していたのか~、確かにこれに乗っていたら、オイラ達が荷馬車に乗ってるのが気になるかもしれないな。けど、本当に平気だったから気にしなくていいよ」
「ん、僕達は丈夫」
私の向かいでふかふかの座席を撫でながら双子達がはしゃいでいる。
ユーゴも珍しくニコニコしているくらいだ。
「サミュエルが向こうの馬車に乗っちゃったから、ここから一人かと思って寂しく思ってたんだよね。二人が一緒に乗ってくれてよかった」
『主よ、我がいるではないか!』
不満そうにテシテシと私の太ももを前足で叩くアーサー。
「あはは、そうだね。だけど私とアーサーだけじゃ、この馬車は広すぎるよ」
それにリアムがにぎやかに話してくれれば、色々考え込まずに済みそうだし。
サミュエルとのこのひと月の思い出話も楽しかったけど、家族という仲になった二人とはもっと気楽に話せる。
なぜなら間違ってもドキドキしないから!
「え~? アルフォンスったらそんな事言ってたの~?」
「そうなんだ、おっかしいでしょ! アルフォンスがおかしいのはいつもの事だけどさぁ」
「あはは、本人が聞いたら怒るよ?」
「オイラ達が言う事なんて気にしないって! 聞きたい事しか耳に入れないから」
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「確かにどこまでも前向きなあの性格は、時々羨ましくなるくらいだよねぇ……って、おっきい!!」
楽しい会話をしていると、時間はあっという間に過ぎるもので、気付くとどこまでも続く外壁の大きな門の前にいた。
アーサー以外の三人は、窓に頬をくっつけて外の様子を眺める。
しかし護衛の騎士の視線を感じて、私だけはサッと座り直したけど。
王都の門をくぐって大通りを通り抜け、大きな交差点にさしかかると馬車が止まった。
何事かと思ったら、サミュエルがいきなり乗り込んできて私の手を握る。
「サキ、私の心はサキにある。だから……信じて待っていてくれ」
「へっ!? あ、あの……」
「サミュエル王子! 困ります! 王家の馬車にお戻りください!」
「くっ。サキ、次に会う時には必ず……!」
「サミュエル王子!」
何か言わないとと思ったけど、頭が真っ白なうちに神殿の関係者がサミュエルを咎めて連れて行った。
再び馬車が走り出した時には、リアムはニヤニヤしながら、ユーゴが照れくさそうにチラチラを私を見ていた。
「いやぁ、小さいサミュエルの頃からサキの事大好きなんだな~って思ってたけど、やっぱりそうだったんだね。サキもサミュエルの事好きなら、オイラ応援するよ!」
「ん、サキの幸せが一番」
「あ、ありがと……」
うぐぐ、いたたまれない!
いや、嬉しいよ!? 嬉しいんだけどさ!
なんだか素直に喜べないのは、遠回しな言葉ばかりでハッキリ好きだとも、恋人になってほしいとも言われてないからだろうか、それとも口の周りを舐めているアーサーのせいだろうか。
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