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22.サミュエルの保護者
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「はぁはぁはぁはぁ、こちらに……サミュエル様がいらっしゃると……はぁはぁはぁ、聞いてやってまいりました。はぁはぁ、ご両親からお預かりした男爵家の……はぁはぁ、ご子息なのです」
玄関を入ってすぐにあるリビングダイニングではぁはぁ言っているのは、白髪白髭のおじいさんと従者らしき人。
この人が御用商人のご隠居さんか。それにしてもなんでこんなにはぁはぁ言ってるんだろう。
寝室を出た瞬間リアムに続いて飛び込んで来たので、一瞬リアムがモヨリ―に行かずに途中で引き返してきたのかと思ったよ。
おじいさんは室内を見回すと、私とアーサーに目を止めた。
「こちらがサミュエル様を保護してくださったお嬢さんですな。お名前をお聞きしても? ああ、私は元商人のマーリンと申します」
私に名前を聞きいているのに、おじいさんの視線はアーサーに釘付けだ。
可愛いから気持ちはわかるけどさ、話してる相手の方を見ようよ。
「マーリン!? あ、いえ、サキといいます。サミュエル……様? ですが、今は魔力酔いの症状も落ち着いて寝ていますけど、すぐ動かさない方がよさそうですよ」
アーサーの名前の元ネタ、アーサー王に魔術師マーリンは外せないので思わず反応してしまった。
皆一瞬不思議そうな顔をしたけど、魔力酔いの言葉にまるで予想していなかったように驚いた顔をした。
「魔力酔い!? ああ……、そういえばまだ魔力酔いを起こす年齢でしたな。落ち着いたという事は処置をしていただいようですね、重ねて感謝申し上げます」
『こやつあまりよい気がせんな、己の欲望を優先するタイプであろう。マティスには我の判断でサミュエルとやらを置くと決めたと言えばよいから、早々にこやつらを帰らせるがよい』
確かに言葉使いは丁寧だけど、言葉と態度が一致してないみたいな違和感を覚えるもんね。
サミュエルもそういうのを感じ取って、一緒にいたくなかったのかもしれない。
アーサーの言葉に、リアムとユーゴはアイコンタクトを取って頷いた。
「とりあえず回復するまであの子はここで預かるから、今日は様子だけ見て後日送り届けるって事でいいかな? おじいさん達の中には他に子供がいないみたいだから、モヨリ―を出発するまでここで預かってもいいし」
「まことですかっ!? それはとても助かります! 優しそうなお嬢さんもいらっしゃるし、サミュエル様も我々のような大人ばかりの中にいるよりこちらで預かっていただく方が楽しく過ごせるでしょう。我々はひと月以内に出発する予定でおります、これは些少ですが費用とお礼としてお受け取りください」
そう言っておじいさんはジャラリと音を立てる巾着を、テーブルの上に置いた。
まるで最初からそのつもりだったみたいな準備のよさに、おじいさんへの不信感がつのる。
「今は寝ていると思うので静かにしてくださいね。こちらです」
サミュエルを見せてサッサと帰ってもらうべく、寝かせてある私の寝室へ案内した。
だというのに、おじいさんはまだアーサーをチラチラ見ている。
いくら可愛くても、絶対にアーサーはあげないんだからね!?
「本当に落ち着いて……しかも眠っておられる……。通常であれば我々が入った時点で目を覚ましたはず。どうやらサミュエル様はこの短時間でお嬢さんを随分信頼したようだ。それではサミュエル様をよろしくお願いいたします。我々はモヨリ―の一番大きな宿に泊まってますので、何かあればそこに連絡してください」
そう言っておじいさん達は帰っていった。
そして入れ代わるようにマティスが帰ってきて、ひと通り説明したあと巾着の中身を確認すると、中のお金は全て金貨だった。
「面倒事のニオイしかしないんだが……」
そんなマティスの呟きに、私とアーサーは目をそらした。
玄関を入ってすぐにあるリビングダイニングではぁはぁ言っているのは、白髪白髭のおじいさんと従者らしき人。
この人が御用商人のご隠居さんか。それにしてもなんでこんなにはぁはぁ言ってるんだろう。
寝室を出た瞬間リアムに続いて飛び込んで来たので、一瞬リアムがモヨリ―に行かずに途中で引き返してきたのかと思ったよ。
おじいさんは室内を見回すと、私とアーサーに目を止めた。
「こちらがサミュエル様を保護してくださったお嬢さんですな。お名前をお聞きしても? ああ、私は元商人のマーリンと申します」
私に名前を聞きいているのに、おじいさんの視線はアーサーに釘付けだ。
可愛いから気持ちはわかるけどさ、話してる相手の方を見ようよ。
「マーリン!? あ、いえ、サキといいます。サミュエル……様? ですが、今は魔力酔いの症状も落ち着いて寝ていますけど、すぐ動かさない方がよさそうですよ」
アーサーの名前の元ネタ、アーサー王に魔術師マーリンは外せないので思わず反応してしまった。
皆一瞬不思議そうな顔をしたけど、魔力酔いの言葉にまるで予想していなかったように驚いた顔をした。
「魔力酔い!? ああ……、そういえばまだ魔力酔いを起こす年齢でしたな。落ち着いたという事は処置をしていただいようですね、重ねて感謝申し上げます」
『こやつあまりよい気がせんな、己の欲望を優先するタイプであろう。マティスには我の判断でサミュエルとやらを置くと決めたと言えばよいから、早々にこやつらを帰らせるがよい』
確かに言葉使いは丁寧だけど、言葉と態度が一致してないみたいな違和感を覚えるもんね。
サミュエルもそういうのを感じ取って、一緒にいたくなかったのかもしれない。
アーサーの言葉に、リアムとユーゴはアイコンタクトを取って頷いた。
「とりあえず回復するまであの子はここで預かるから、今日は様子だけ見て後日送り届けるって事でいいかな? おじいさん達の中には他に子供がいないみたいだから、モヨリ―を出発するまでここで預かってもいいし」
「まことですかっ!? それはとても助かります! 優しそうなお嬢さんもいらっしゃるし、サミュエル様も我々のような大人ばかりの中にいるよりこちらで預かっていただく方が楽しく過ごせるでしょう。我々はひと月以内に出発する予定でおります、これは些少ですが費用とお礼としてお受け取りください」
そう言っておじいさんはジャラリと音を立てる巾着を、テーブルの上に置いた。
まるで最初からそのつもりだったみたいな準備のよさに、おじいさんへの不信感がつのる。
「今は寝ていると思うので静かにしてくださいね。こちらです」
サミュエルを見せてサッサと帰ってもらうべく、寝かせてある私の寝室へ案内した。
だというのに、おじいさんはまだアーサーをチラチラ見ている。
いくら可愛くても、絶対にアーサーはあげないんだからね!?
「本当に落ち着いて……しかも眠っておられる……。通常であれば我々が入った時点で目を覚ましたはず。どうやらサミュエル様はこの短時間でお嬢さんを随分信頼したようだ。それではサミュエル様をよろしくお願いいたします。我々はモヨリ―の一番大きな宿に泊まってますので、何かあればそこに連絡してください」
そう言っておじいさん達は帰っていった。
そして入れ代わるようにマティスが帰ってきて、ひと通り説明したあと巾着の中身を確認すると、中のお金は全て金貨だった。
「面倒事のニオイしかしないんだが……」
そんなマティスの呟きに、私とアーサーは目をそらした。
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