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20.拾われた [side サミュエル]
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目を覚ますと、先ほどまで苦しかったのが嘘のように楽になっていた。
私が産まれた時、乳母の条件に魔力に強い者という条件がつけられていたらしい。
十歳を過ぎた頃から一気に身長が伸び、同時に魔力酔いしなくなってから久しく忘れていた苦痛を味わうとは。
柔らかいものが顔に当たっていて、心地よさに思わず頬を摺り寄ると同時に意識が浮上した。
「ん……ぅうん……、ここは……」
「あ、気が付いた? 君、森の中で倒れていたんだよ」
頭の上から聞こえてきた声に驚いて見上げると、モヨリ―で見た少女がそこにいた。
ちょっと待て、という事はこの顔に当たっている柔らかなモノは……!
顔を正面に戻すと、視界に入ってくる双丘。
少女だと思っていたが、どうやら見た目よりも年齢が上らしい。
まさか……、この者が私の魔力酔いを解消したのだろうか。フェンリルの主であるならば魔力量的に不思議ではないが。
「あぅ……、その、世話になったようで申し訳ない……」
「ふふっ、小さいのにしっかりしてるんだね、もう気持ち悪くない?」
おっと、そういえば今の私は八歳児だった、それらしく話さねば怪しまれてしまう。
「うん、もう大丈夫」
「モヨリ―で見かけたと思うんだけど、その時は大人と一緒にいたよね? その人達と連絡取るから名前を教えてくれる?」
少女はそう言ってベッドを出ていってしまった。
心地よい感触が離れるのを少々名残惜しく思いながら、身体を起こす。
「えっと、家が懇意にしている商家の者とモヨリ―の町まで来て、森を探検している時にはぐれたみたいなんだ。その時に気持ち悪くなって……気付いたらここにいた」
「あぁ~、それはその人達心配してるだろうね。もしかしたらまだ森で探してるかも」
少女が少し困った顔をして私の頭を撫でた。
きっと私を気遣っているのだろう。
「サキ、それなら門番とギルドに知らせておけばいい。森の捜索なら冒険者に依頼するだろうし。リアムに行ってもらう」
私の頭を撫でる少女に部屋にいた狼獣人が話しかけた、どうやらこの少女の名前はサキというらしい。
「サキ……?」
「そうだよ、私の名前はサキ。今話していたのはユーゴで、そして私の従魔のアーサーだよ、可愛いでしょ! 君の名前は?」
紹介された可愛らしい子犬に見える従魔。
子犬にしてはあまりにも神々しい白銀の毛に、美しく輝く金色の瞳、間違いなくフェンリルだろう。
「もうっ! アーサーってば子供相手にそんな意地悪言わないの!」
いきなりサキがフェンリルに向かって話し出した、もしやフェンリルが何か言ったのか!?
「あ、ごめんね。従魔契約してるから、アーサーの言ってる事がわかるんだ。それで、名前を教えてくれる?」
「サミュエル……」
「サミュエルか、目が覚めていきなり知らない所にいたから不安だろうけど、モヨリ―に知らせてもらうから安心してね」
できればサキとフェンリルを懐柔するまでここにいたいところだが……、魔導師長達が上手い事口実を作ってくれることを祈ろう。
私が産まれた時、乳母の条件に魔力に強い者という条件がつけられていたらしい。
十歳を過ぎた頃から一気に身長が伸び、同時に魔力酔いしなくなってから久しく忘れていた苦痛を味わうとは。
柔らかいものが顔に当たっていて、心地よさに思わず頬を摺り寄ると同時に意識が浮上した。
「ん……ぅうん……、ここは……」
「あ、気が付いた? 君、森の中で倒れていたんだよ」
頭の上から聞こえてきた声に驚いて見上げると、モヨリ―で見た少女がそこにいた。
ちょっと待て、という事はこの顔に当たっている柔らかなモノは……!
顔を正面に戻すと、視界に入ってくる双丘。
少女だと思っていたが、どうやら見た目よりも年齢が上らしい。
まさか……、この者が私の魔力酔いを解消したのだろうか。フェンリルの主であるならば魔力量的に不思議ではないが。
「あぅ……、その、世話になったようで申し訳ない……」
「ふふっ、小さいのにしっかりしてるんだね、もう気持ち悪くない?」
おっと、そういえば今の私は八歳児だった、それらしく話さねば怪しまれてしまう。
「うん、もう大丈夫」
「モヨリ―で見かけたと思うんだけど、その時は大人と一緒にいたよね? その人達と連絡取るから名前を教えてくれる?」
少女はそう言ってベッドを出ていってしまった。
心地よい感触が離れるのを少々名残惜しく思いながら、身体を起こす。
「えっと、家が懇意にしている商家の者とモヨリ―の町まで来て、森を探検している時にはぐれたみたいなんだ。その時に気持ち悪くなって……気付いたらここにいた」
「あぁ~、それはその人達心配してるだろうね。もしかしたらまだ森で探してるかも」
少女が少し困った顔をして私の頭を撫でた。
きっと私を気遣っているのだろう。
「サキ、それなら門番とギルドに知らせておけばいい。森の捜索なら冒険者に依頼するだろうし。リアムに行ってもらう」
私の頭を撫でる少女に部屋にいた狼獣人が話しかけた、どうやらこの少女の名前はサキというらしい。
「サキ……?」
「そうだよ、私の名前はサキ。今話していたのはユーゴで、そして私の従魔のアーサーだよ、可愛いでしょ! 君の名前は?」
紹介された可愛らしい子犬に見える従魔。
子犬にしてはあまりにも神々しい白銀の毛に、美しく輝く金色の瞳、間違いなくフェンリルだろう。
「もうっ! アーサーってば子供相手にそんな意地悪言わないの!」
いきなりサキがフェンリルに向かって話し出した、もしやフェンリルが何か言ったのか!?
「あ、ごめんね。従魔契約してるから、アーサーの言ってる事がわかるんだ。それで、名前を教えてくれる?」
「サミュエル……」
「サミュエルか、目が覚めていきなり知らない所にいたから不安だろうけど、モヨリ―に知らせてもらうから安心してね」
できればサキとフェンリルを懐柔するまでここにいたいところだが……、魔導師長達が上手い事口実を作ってくれることを祈ろう。
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