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17.拾いモノ
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「ん~……『治癒』」
『主よ、蘇生魔法でも発動させる気か。もそっと使う魔力を少なくせねば受ける側に負荷がかかるぞ』
モヨリ―へ行った翌日、私はアーサーから治癒魔法を習っていた。
低級とはいえ、あの大男にポーションを使った事がもったいないと思ったからだ。
ちなみに治癒魔法の練習台は若木の折れた枝である。
アーサーの話によると、この世のすべての物は分子や原子の更に元となるのが魔素らしい。
なので魔素からできている魔力の操作次第で治癒魔法も攻撃魔法も可能との事。
この約三か月で私の細胞が生まれ変わった事もあり、アーサーの契約者として恩恵をばっちり享受しているようだ。
「魔力がいっぱいあるのはいいけど、その分繊細な魔力操作が難しいよ~」
『慣れだ、慣れ。我の魔力量は主の比ではないぞ? だが小さな火種から天災級の攻撃魔法まで自由自在だ』
ドヤァァと胸を張るアーサー。
偉そうにしても可愛いだけなんだからねっ!
それから何度か練習を重ね、合格点をもらえたので冒険者ギルドの常注依頼の薬草を採りに行く事にした。
先に採取しておけば、明日冒険者ギルドに行った時にすぐ依頼達成できるし。
家にいるユーゴに声をかけてから、アーサーと一緒に森に向かった。
集落周辺であればほとんど魔物も出ないし、出たとしても今の私とアーサーなら脅威でもなんでもない。
「この辺の薬草はもう少なくなってきたね、もうちょっと奥へ行こうか。ん? なにこの……草?」
藪から飛び出ていた金色の薄の穂より綺麗な草を掴んで引っこ抜こうと力を入れた。
『サキ! それは薬草ではないぞ! 子供だ!』
「へ!?」
引っ張った草(?)は確かに普段の採取と感触が違った。
そ~っと手を離して藪を掻き分けると、金髪の子供が倒れていた。
「あわわわわ! 本当に子供だ! ……あれ? もしかしてこの子、昨日モヨリ―で見た子かもしれない。なんでこんなところに寝てるの!?」
小学校低学年くらいの美少年は、よく見るとハァハァと荒い息をしていた。
『どうやら魔力酔いの症状のようだな。子供にしては魔力量が多すぎるのだろう。本来であれば一晩親に抱き締めてもらって魔力循環してもらえば一時的に楽になる程度だが』
「それって親じゃないとできないの? 身なりはいいけど、どう見ても近くに保護者がいないと思うんだけど」
『別に親でなくともよい、それこそサキが抱き締めて以前教えた魔力循環をすれば、余分な魔力が出て行くからな』
「じゃあ、とりあえずこの子を家に連れて帰って、マティスにモヨリ―の人達に連れがいないか聞いてもらおう。君、私の背中に乗れる?」
藪の中から少年を引っ張り出して声をかける。
しかし荒い呼吸をするだけで、返事はなかった。
仕方がないので、なんとか背負い、できるだけ揺らさないように小走りに家に戻った。
「ユーゴ、ただいま! 森で魔力酔いの子供が倒れてたの! アーサーが魔力循環すれば大丈夫だって言うから、今から私の部屋でやってみるね!」
「怪しい……」
『だがサキはあの者を見捨てたりはできんだろうな』
「うん」
そんな会話をされているとは知らずに、私は洗浄魔法をかけて少年とベッドにもぐり込んだ。
『主よ、蘇生魔法でも発動させる気か。もそっと使う魔力を少なくせねば受ける側に負荷がかかるぞ』
モヨリ―へ行った翌日、私はアーサーから治癒魔法を習っていた。
低級とはいえ、あの大男にポーションを使った事がもったいないと思ったからだ。
ちなみに治癒魔法の練習台は若木の折れた枝である。
アーサーの話によると、この世のすべての物は分子や原子の更に元となるのが魔素らしい。
なので魔素からできている魔力の操作次第で治癒魔法も攻撃魔法も可能との事。
この約三か月で私の細胞が生まれ変わった事もあり、アーサーの契約者として恩恵をばっちり享受しているようだ。
「魔力がいっぱいあるのはいいけど、その分繊細な魔力操作が難しいよ~」
『慣れだ、慣れ。我の魔力量は主の比ではないぞ? だが小さな火種から天災級の攻撃魔法まで自由自在だ』
ドヤァァと胸を張るアーサー。
偉そうにしても可愛いだけなんだからねっ!
それから何度か練習を重ね、合格点をもらえたので冒険者ギルドの常注依頼の薬草を採りに行く事にした。
先に採取しておけば、明日冒険者ギルドに行った時にすぐ依頼達成できるし。
家にいるユーゴに声をかけてから、アーサーと一緒に森に向かった。
集落周辺であればほとんど魔物も出ないし、出たとしても今の私とアーサーなら脅威でもなんでもない。
「この辺の薬草はもう少なくなってきたね、もうちょっと奥へ行こうか。ん? なにこの……草?」
藪から飛び出ていた金色の薄の穂より綺麗な草を掴んで引っこ抜こうと力を入れた。
『サキ! それは薬草ではないぞ! 子供だ!』
「へ!?」
引っ張った草(?)は確かに普段の採取と感触が違った。
そ~っと手を離して藪を掻き分けると、金髪の子供が倒れていた。
「あわわわわ! 本当に子供だ! ……あれ? もしかしてこの子、昨日モヨリ―で見た子かもしれない。なんでこんなところに寝てるの!?」
小学校低学年くらいの美少年は、よく見るとハァハァと荒い息をしていた。
『どうやら魔力酔いの症状のようだな。子供にしては魔力量が多すぎるのだろう。本来であれば一晩親に抱き締めてもらって魔力循環してもらえば一時的に楽になる程度だが』
「それって親じゃないとできないの? 身なりはいいけど、どう見ても近くに保護者がいないと思うんだけど」
『別に親でなくともよい、それこそサキが抱き締めて以前教えた魔力循環をすれば、余分な魔力が出て行くからな』
「じゃあ、とりあえずこの子を家に連れて帰って、マティスにモヨリ―の人達に連れがいないか聞いてもらおう。君、私の背中に乗れる?」
藪の中から少年を引っ張り出して声をかける。
しかし荒い呼吸をするだけで、返事はなかった。
仕方がないので、なんとか背負い、できるだけ揺らさないように小走りに家に戻った。
「ユーゴ、ただいま! 森で魔力酔いの子供が倒れてたの! アーサーが魔力循環すれば大丈夫だって言うから、今から私の部屋でやってみるね!」
「怪しい……」
『だがサキはあの者を見捨てたりはできんだろうな』
「うん」
そんな会話をされているとは知らずに、私は洗浄魔法をかけて少年とベッドにもぐり込んだ。
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