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13.ゆるさない
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「よぅ、最近羽振りが良さそうじゃねぇか。さっきも黒猪の報酬貰ってたしなぁ? ちょ~っとばかし俺にも分けてくれよ」
この声! こいつマティス達が新人潰しって言ってたBランク冒険者だ!
大男なせいで片手で私の両腕ごと身体を拘束されてしまっている。
「むぐぐぐ! むぐぅ!!」
「おっと、ヘタに大きな声出すと、驚いて腕に力が入っちまうぜ? わかったな?」
「ぐぅ……っ!」
男は腕に力を入れて、私の身体を締め上げたせいで息が詰まる。
ただでさえ口を押えられているから苦しいのに!
口を押える手が少し緩んだ隙に、思い切り手に噛みついてやった。
「ぐわっ! 痛ってぇな! クソッ!」
身体が解放されたと思った次の瞬間、頬が熱くなって私は地面に叩きつけられた。
「あう……っ! ……ぅ、く……っ」
地面に叩きつけられた衝撃で肩からかけていた鞄の中身が散らばった、もちろんギルドで受け取った報酬も。
数秒間、何が起こったのかわからなかったけど、ジンジンと痛む頬と地面に叩きつけられて身体があちこち痛いという事はわかった。
「最初から素直に渡せば痛い目にあわずに済んだのによ」
男はニヤニヤとイヤらしく笑いながら、地面に転がる報酬の袋を拾い上げた。
痛みと悔しさで涙が滲む、ここが広い場所なら攻撃魔法でやっつけてやるのに!
私の拙い魔力操作だと、周りに被害が出るだろう。
「か、え……して……っ」
「へっ、悔しかったら取り返し」「「サキっ!!」」
男が立ち去ろうとした瞬間、私が引き込まれた路地の入口から双子が姿を見せた。
二人は頬が腫れ上がった状態で地面に倒れている私を見ると、ヒュッと息を飲んだ。
「…………ゆるさない」
そう言ったのはリアムかと思えば、ユーゴの方だった。
次の瞬間、ふわりと風が頬を撫でた。
ドカッ! ……ゴガァァァァン!!
「え?」
音に振り返ると私のすぐ横にユーゴが、そして少し離れた場所には壊れたごみ箱に埋もれている男。
ユーゴの動きが全く見えなかった、リアムは顔を引き攣らせている。
「あーあー、オイラ知らないぞ~。サキ、頬以外に痛いとこはない? ちょっと向こうに避難してからポーション飲もうか。こんなに腫れちゃって、そりゃユーゴもキレるよな~」
「避難……?」
立ち上がろうとしてフラついた私を、リアムはヒョイとお姫様抱っこして細い路地を出る。
ちなみに私達が話している間、ずっと殴るような音がしていた。
「普段は無口で家の事とかやってるから大人しいと思ってただろうけど、オイラ達兄弟の中で一番攻撃的な性格してるのはユーゴだからね? ユーゴが『ゆるさない』って言ったら容赦しない時だから、ヘタに近くにいたら巻き込まれるから危ないんだよ。はい、ポーション」
「ありがと……」
差し出されたポーションを飲むと、頬だけじゃなく全身の痛みが消えた。
それにしても、意外過ぎる……!
普段大人しい人を怒らせたら怖いっていうけど、レベルが違い過ぎだよ。
ふと、ポーションを持つ私の手元が陰ったので見上げると、そこには血塗れのユーゴが昏い瞳をして立っていた。
「ぅぎゃあぁぁぁぁ!! ポーション! リアム、ポーションもう一本んんん!!」
この声! こいつマティス達が新人潰しって言ってたBランク冒険者だ!
大男なせいで片手で私の両腕ごと身体を拘束されてしまっている。
「むぐぐぐ! むぐぅ!!」
「おっと、ヘタに大きな声出すと、驚いて腕に力が入っちまうぜ? わかったな?」
「ぐぅ……っ!」
男は腕に力を入れて、私の身体を締め上げたせいで息が詰まる。
ただでさえ口を押えられているから苦しいのに!
口を押える手が少し緩んだ隙に、思い切り手に噛みついてやった。
「ぐわっ! 痛ってぇな! クソッ!」
身体が解放されたと思った次の瞬間、頬が熱くなって私は地面に叩きつけられた。
「あう……っ! ……ぅ、く……っ」
地面に叩きつけられた衝撃で肩からかけていた鞄の中身が散らばった、もちろんギルドで受け取った報酬も。
数秒間、何が起こったのかわからなかったけど、ジンジンと痛む頬と地面に叩きつけられて身体があちこち痛いという事はわかった。
「最初から素直に渡せば痛い目にあわずに済んだのによ」
男はニヤニヤとイヤらしく笑いながら、地面に転がる報酬の袋を拾い上げた。
痛みと悔しさで涙が滲む、ここが広い場所なら攻撃魔法でやっつけてやるのに!
私の拙い魔力操作だと、周りに被害が出るだろう。
「か、え……して……っ」
「へっ、悔しかったら取り返し」「「サキっ!!」」
男が立ち去ろうとした瞬間、私が引き込まれた路地の入口から双子が姿を見せた。
二人は頬が腫れ上がった状態で地面に倒れている私を見ると、ヒュッと息を飲んだ。
「…………ゆるさない」
そう言ったのはリアムかと思えば、ユーゴの方だった。
次の瞬間、ふわりと風が頬を撫でた。
ドカッ! ……ゴガァァァァン!!
「え?」
音に振り返ると私のすぐ横にユーゴが、そして少し離れた場所には壊れたごみ箱に埋もれている男。
ユーゴの動きが全く見えなかった、リアムは顔を引き攣らせている。
「あーあー、オイラ知らないぞ~。サキ、頬以外に痛いとこはない? ちょっと向こうに避難してからポーション飲もうか。こんなに腫れちゃって、そりゃユーゴもキレるよな~」
「避難……?」
立ち上がろうとしてフラついた私を、リアムはヒョイとお姫様抱っこして細い路地を出る。
ちなみに私達が話している間、ずっと殴るような音がしていた。
「普段は無口で家の事とかやってるから大人しいと思ってただろうけど、オイラ達兄弟の中で一番攻撃的な性格してるのはユーゴだからね? ユーゴが『ゆるさない』って言ったら容赦しない時だから、ヘタに近くにいたら巻き込まれるから危ないんだよ。はい、ポーション」
「ありがと……」
差し出されたポーションを飲むと、頬だけじゃなく全身の痛みが消えた。
それにしても、意外過ぎる……!
普段大人しい人を怒らせたら怖いっていうけど、レベルが違い過ぎだよ。
ふと、ポーションを持つ私の手元が陰ったので見上げると、そこには血塗れのユーゴが昏い瞳をして立っていた。
「ぅぎゃあぁぁぁぁ!! ポーション! リアム、ポーションもう一本んんん!!」
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