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8.冒険者証入手
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ギルド職員の驚きの声は結構大きく、ギルド内がざわついた。
それにしても、魔力値が一以下って、生きてるのがおかしいみたいな言い方されたけど、私ってば大丈夫なんだろうか。
『我と同時にこの世界に来たのなら当然だろうな』
「あー……、もしかしたら……」
アーサーとアルフォンスが同時に心当たりがあるような事を言った。
「とりあえず登録が終わったのなら冒険者証を受け取りたいんだが」
「え? あっ、はいっ」
マティスに促されて、ギルド職員は魔導具から出て来た金属の札のような物を私に差し出した。
これって門のところで門番のおじさんに見せていたのと同じ物かも。
「ありがとうございます」
もらった札を見ると、一瞬知らない文字に見えたのに、今は普通に日本語と同じように読める。
不思議な現象に首を傾げながらも読んで見ると、【サキ Gランク 従魔一体】とだけ表示されていた。
名前とか従魔とかはマティスがギルド職員に口頭で説明してくれたらしい。
「冒険者証の表示は少ないが、専用の魔導具を使えば魔力値や身体能力値もわかるんだ。スキルまでわかるのは王都のギルド本部まで行かないとないらしいが。冒険者の規則は私が後で説明しよう、今日はまだ予定があるしな」
「わかった、よろしくね」
「じゃあ先に服を一式買いに行くか。女性物なら……うん、あの店がいいな。場所は知ってるから俺が案内しよう」
こちらの話が一段落したところで、アルフォンスにはおすすめの店があるらしく颯爽と歩き出した。
ギルドを出て路地を抜け、大通りに出ると一軒の店に入って行く。
大きなショーウィンドウなんてないから、木の看板を見ないとすぐに何屋さんかわからない。
「「「キャァァァァ!!」」」
アルフォンスに続いて店に入ろうとしたら、閉まり切る前のドアから数人の悲鳴が聞こえ、アルフォンスが飛んできた。
そう、飛んできたのである。
ズシャァァァ!
地面に落ちたアルフォンスは慣性の法則そのままに、舗装された石畳の上を滑っていった。
「お前に必要な物はここには売ってない! 客が怯えるから二度と来るなと言われていただろう!」
店の客とおぼしき冒険者風の女性が仁王立ちでアルフォンスを怒鳴りつけた。
「アルフォンス! 大丈夫!? ケガはない!?」
慌てて駆け寄ると、アルフォンスはちょっとプルプルしながら身体を起こし、長い前髪をファサッと掻き上げた。
「そんなに心配しなくても大丈夫さ、俺達獣人は丈夫だからな。女性用の店だから男の俺が入ったせいで、照れ屋なお嬢さん達を驚かせてしまったようだ」
「アルフォンス……」
いくらなんでも店に入っただけでこんな暴力的な扱いするなんてひど過ぎる!
私は仁王立ちしている女性をキッと睨んだ。
「アルフォンスは私が買い物するために案内してくれただけなのに、暴力をふるうなんて!」
私の登場に女性は目を見開いて驚いている。
「お嬢さん……、そいつは日頃から何も買わないのに何度も女性用の店に出入りしては、アドバイスと称して話しかけて客を怖がらせ……気味悪がらせているんだよ!」
ビシィッ! と指を差されるアルフォンス。
確かにそんな事をする人がウロついていたら、営業妨害の何ものでもない。
むしろ変質者として通報されてもおかしくない案件だ。
「…………それは彼氏や家族以外やっちゃダメなやつだよ」
さすがに擁護しきれず忠告したが、アルフォンスは肩をすくめただけだった。
いや、薄々気付いてはいたけど、ナルシストなところがあるから何を言われても無駄にポジティブに受け取ってるやつだ!
「はぁ……。リアム、ユーゴ、お前達なら店に入っても問題ないだろう。私はアルフォンスを見張っておくからサキの事を頼む」
「「わかった」」
ため息を吐いたマティスは、お財布とおぼしき巾着のような物をユーゴに渡す。
「そいつ以外なら歓迎するさ。お嬢さん、この店は安くていい物が揃ってるから色々見ていくといい」
女性はさっきとは別人のように優しく微笑み、私達を歓迎してくれた。
私は再び双子と手をつないで店内へと足を踏み入れ、初めての異世界での買い物に胸を高鳴らせた。
それにしても、魔力値が一以下って、生きてるのがおかしいみたいな言い方されたけど、私ってば大丈夫なんだろうか。
『我と同時にこの世界に来たのなら当然だろうな』
「あー……、もしかしたら……」
アーサーとアルフォンスが同時に心当たりがあるような事を言った。
「とりあえず登録が終わったのなら冒険者証を受け取りたいんだが」
「え? あっ、はいっ」
マティスに促されて、ギルド職員は魔導具から出て来た金属の札のような物を私に差し出した。
これって門のところで門番のおじさんに見せていたのと同じ物かも。
「ありがとうございます」
もらった札を見ると、一瞬知らない文字に見えたのに、今は普通に日本語と同じように読める。
不思議な現象に首を傾げながらも読んで見ると、【サキ Gランク 従魔一体】とだけ表示されていた。
名前とか従魔とかはマティスがギルド職員に口頭で説明してくれたらしい。
「冒険者証の表示は少ないが、専用の魔導具を使えば魔力値や身体能力値もわかるんだ。スキルまでわかるのは王都のギルド本部まで行かないとないらしいが。冒険者の規則は私が後で説明しよう、今日はまだ予定があるしな」
「わかった、よろしくね」
「じゃあ先に服を一式買いに行くか。女性物なら……うん、あの店がいいな。場所は知ってるから俺が案内しよう」
こちらの話が一段落したところで、アルフォンスにはおすすめの店があるらしく颯爽と歩き出した。
ギルドを出て路地を抜け、大通りに出ると一軒の店に入って行く。
大きなショーウィンドウなんてないから、木の看板を見ないとすぐに何屋さんかわからない。
「「「キャァァァァ!!」」」
アルフォンスに続いて店に入ろうとしたら、閉まり切る前のドアから数人の悲鳴が聞こえ、アルフォンスが飛んできた。
そう、飛んできたのである。
ズシャァァァ!
地面に落ちたアルフォンスは慣性の法則そのままに、舗装された石畳の上を滑っていった。
「お前に必要な物はここには売ってない! 客が怯えるから二度と来るなと言われていただろう!」
店の客とおぼしき冒険者風の女性が仁王立ちでアルフォンスを怒鳴りつけた。
「アルフォンス! 大丈夫!? ケガはない!?」
慌てて駆け寄ると、アルフォンスはちょっとプルプルしながら身体を起こし、長い前髪をファサッと掻き上げた。
「そんなに心配しなくても大丈夫さ、俺達獣人は丈夫だからな。女性用の店だから男の俺が入ったせいで、照れ屋なお嬢さん達を驚かせてしまったようだ」
「アルフォンス……」
いくらなんでも店に入っただけでこんな暴力的な扱いするなんてひど過ぎる!
私は仁王立ちしている女性をキッと睨んだ。
「アルフォンスは私が買い物するために案内してくれただけなのに、暴力をふるうなんて!」
私の登場に女性は目を見開いて驚いている。
「お嬢さん……、そいつは日頃から何も買わないのに何度も女性用の店に出入りしては、アドバイスと称して話しかけて客を怖がらせ……気味悪がらせているんだよ!」
ビシィッ! と指を差されるアルフォンス。
確かにそんな事をする人がウロついていたら、営業妨害の何ものでもない。
むしろ変質者として通報されてもおかしくない案件だ。
「…………それは彼氏や家族以外やっちゃダメなやつだよ」
さすがに擁護しきれず忠告したが、アルフォンスは肩をすくめただけだった。
いや、薄々気付いてはいたけど、ナルシストなところがあるから何を言われても無駄にポジティブに受け取ってるやつだ!
「はぁ……。リアム、ユーゴ、お前達なら店に入っても問題ないだろう。私はアルフォンスを見張っておくからサキの事を頼む」
「「わかった」」
ため息を吐いたマティスは、お財布とおぼしき巾着のような物をユーゴに渡す。
「そいつ以外なら歓迎するさ。お嬢さん、この店は安くていい物が揃ってるから色々見ていくといい」
女性はさっきとは別人のように優しく微笑み、私達を歓迎してくれた。
私は再び双子と手をつないで店内へと足を踏み入れ、初めての異世界での買い物に胸を高鳴らせた。
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