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38.リオンヌ家訪問
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「そんなに強いのならぼくも1度手合わせ願いたいですね」
「うふふ、そう言うと思って一応動きやすい服も持って来ているわ。でもあちらが良いと言ってくれた場合だけよ?」
リオンヌ伯爵家を訪問すると言ったら聞くまでも無く、エミールは同行を願い出た。
そんな訳でウィリアムを除く兄弟3人は休日に馬車に乗って移動していた。
移動中にマクシミリアンの弟達の話を聞いて、剣術を習っているエミールはとても興味を持ったようだ。
興味を持っているのはエミールだけではない。
リオンヌ伯爵家の武功は有名なので、護衛のパスカルも今朝からソワソワしていたりする。
騎士団で1番と言われているリオンヌ伯爵に会えるかもしれないと期待しているようだ。
一応リオンヌ家の護衛達と待ち時間に手合わせ出来るようにマクシミリアンに頼んであるので、会えなくても充実した時間を過ごせるだろう。
リオンヌ家に到着すると伯爵は仕事で居なかったが、伯爵以外の家族全員で出迎えてくれた。
アレクシアからすると今世初めて見る美形の揃い踏みに舞い上がってしまいそうだった。
(ふぉぉ~! 眼福や、この家だけ芸能事務所なん?って思うレベルやし! 使用人も美形が多いな~)
アレクシアがそう思うという事は、世間から見れば使用人を含む住人の殆どが残念な見た目という事になる。
アレクシアの美しさに気圧されている夫人と挨拶を交わし、マクシミリアンと弟達と共にサロンへと移動した。
「お前! 何が目的なんだ!?」
手土産のお菓子がケーキと共に出され、美味しい紅茶を楽しんでいたら今まで最低限の挨拶しかしなかった次男のフレデリクが、我慢出来ないと言わんばかりに立ち上がってアレクシアに指を突きつけた。
「フレデリク! 何を言い出すんだ、アレクに謝れ!」
マクシミリアンがいきなり怒り出した弟に驚いて諫めようとするが、フレデリクは興奮していて聞く耳を持たない。
「いやだ! こんな綺麗な人がオレ達みたいな不細工を相手にするなんておかしいだろ!? 絶対何か企んでるに違いない!」
(あぁ~、お兄さんが悪い女に騙されとると思って心配しとるんやな、ええ子やん。この強気な態度は自分を守る為の鎧ってとこか、せやけど剣の天才が普段からこんな攻撃的な性格やと周りが困るよなぁ)
サロンに控えていた使用人達も口出しが出来ずに、ただオロオロしているだけだった。
アレクシアは考えを巡らせてニッコリとマクシミリアンに笑顔を向ける。
不快な表情を浮かべるどころか笑顔を見せたアレクシアに戸惑いをみせた。
「マックス、子供は元気な方が良いとはいえ、コレはちょっとお仕置きが必要だと思うの。教育的指導をしてもいいかしら?」
「え? は? あ、ああ……」
エミール以外の人間は何事かとポカンとしてアレクシアを見ている。
そのアレクシアはエミールにアイコンタクトを送ると、2人で立ち上がった。
「な、なんだよ……。えっ!?」
立ち上がって自分をジッと見てくるアレクシアに、フレデリクは動揺して後ずさろうとしたが、背後からエミールに羽交い締めにされた。
「自分だけ卑屈になるならともかく、お兄様であるマックスまで貶める事は許せません。それに剣の天才なんですってね? そんなあなたがすぐにカッとなるのは良くありませんからお仕置きします。国によっては拷問にも使われる方法ですが……」
アレクシアは細い目を更に細めてニヤリと笑った、そんな姿に目を奪われたようにフレデリクは息を飲む。
そしてアレクシアのふくよかな白い指が優雅に軌道を描き、フレデリクの脇腹に触れ……。
「ヒッ、あ、や、やめ……ッ、あははははは、うひぃっ、あははははは、あ、はは……ッ、ごめ……っ、あはははは、ごめんなさ、ぅはははははは、もう言わな……ッ、………ッ!」
最終的に声が出なくなり、息も絶え絶えになったところでアレクシアとエミールのコンビから解放された。
マクシミリアンと三男で、6歳のエドモンは呆然とその様子を眺めていた。
「いやぁ、懐かしいね。エミールも一昨年くらいまで結構日常的にやられていたよね? この擽りの刑」
オーギュストはフレデリクが擽られ始めた時点で特に気にせずお茶を飲んでいた。
何故なら一時期は自宅で見慣れた光景だったからだ。
「うふふ、もう言わないって言ったものね? 約束よ?」
エミールはサッサと自分の席に戻ったが、アレクシアは床にへたり込んでしまったフレデリクを助け起こした。
笑い過ぎで赤い顔、潤む瞳のフレデリクは助け起こされるなんて思っていなかったので驚いてアレクシアをジッと見た。
(くぅぅッ、私ショタスキーちゃうのにめっちゃ可愛いんですけど!? わぁ、瞳の色がマックスとお揃いやん、美形度はマックス程じゃないけどか~わ~い~い~!)
立ち上がってからもずっとアレクシアを見つめていたので、可愛さについ頭を撫でてしまうアレクシア。
そんな2人をつい嫉妬混じりの目で見てしまうエミールとマクシミリアンだった。
「うふふ、そう言うと思って一応動きやすい服も持って来ているわ。でもあちらが良いと言ってくれた場合だけよ?」
リオンヌ伯爵家を訪問すると言ったら聞くまでも無く、エミールは同行を願い出た。
そんな訳でウィリアムを除く兄弟3人は休日に馬車に乗って移動していた。
移動中にマクシミリアンの弟達の話を聞いて、剣術を習っているエミールはとても興味を持ったようだ。
興味を持っているのはエミールだけではない。
リオンヌ伯爵家の武功は有名なので、護衛のパスカルも今朝からソワソワしていたりする。
騎士団で1番と言われているリオンヌ伯爵に会えるかもしれないと期待しているようだ。
一応リオンヌ家の護衛達と待ち時間に手合わせ出来るようにマクシミリアンに頼んであるので、会えなくても充実した時間を過ごせるだろう。
リオンヌ家に到着すると伯爵は仕事で居なかったが、伯爵以外の家族全員で出迎えてくれた。
アレクシアからすると今世初めて見る美形の揃い踏みに舞い上がってしまいそうだった。
(ふぉぉ~! 眼福や、この家だけ芸能事務所なん?って思うレベルやし! 使用人も美形が多いな~)
アレクシアがそう思うという事は、世間から見れば使用人を含む住人の殆どが残念な見た目という事になる。
アレクシアの美しさに気圧されている夫人と挨拶を交わし、マクシミリアンと弟達と共にサロンへと移動した。
「お前! 何が目的なんだ!?」
手土産のお菓子がケーキと共に出され、美味しい紅茶を楽しんでいたら今まで最低限の挨拶しかしなかった次男のフレデリクが、我慢出来ないと言わんばかりに立ち上がってアレクシアに指を突きつけた。
「フレデリク! 何を言い出すんだ、アレクに謝れ!」
マクシミリアンがいきなり怒り出した弟に驚いて諫めようとするが、フレデリクは興奮していて聞く耳を持たない。
「いやだ! こんな綺麗な人がオレ達みたいな不細工を相手にするなんておかしいだろ!? 絶対何か企んでるに違いない!」
(あぁ~、お兄さんが悪い女に騙されとると思って心配しとるんやな、ええ子やん。この強気な態度は自分を守る為の鎧ってとこか、せやけど剣の天才が普段からこんな攻撃的な性格やと周りが困るよなぁ)
サロンに控えていた使用人達も口出しが出来ずに、ただオロオロしているだけだった。
アレクシアは考えを巡らせてニッコリとマクシミリアンに笑顔を向ける。
不快な表情を浮かべるどころか笑顔を見せたアレクシアに戸惑いをみせた。
「マックス、子供は元気な方が良いとはいえ、コレはちょっとお仕置きが必要だと思うの。教育的指導をしてもいいかしら?」
「え? は? あ、ああ……」
エミール以外の人間は何事かとポカンとしてアレクシアを見ている。
そのアレクシアはエミールにアイコンタクトを送ると、2人で立ち上がった。
「な、なんだよ……。えっ!?」
立ち上がって自分をジッと見てくるアレクシアに、フレデリクは動揺して後ずさろうとしたが、背後からエミールに羽交い締めにされた。
「自分だけ卑屈になるならともかく、お兄様であるマックスまで貶める事は許せません。それに剣の天才なんですってね? そんなあなたがすぐにカッとなるのは良くありませんからお仕置きします。国によっては拷問にも使われる方法ですが……」
アレクシアは細い目を更に細めてニヤリと笑った、そんな姿に目を奪われたようにフレデリクは息を飲む。
そしてアレクシアのふくよかな白い指が優雅に軌道を描き、フレデリクの脇腹に触れ……。
「ヒッ、あ、や、やめ……ッ、あははははは、うひぃっ、あははははは、あ、はは……ッ、ごめ……っ、あはははは、ごめんなさ、ぅはははははは、もう言わな……ッ、………ッ!」
最終的に声が出なくなり、息も絶え絶えになったところでアレクシアとエミールのコンビから解放された。
マクシミリアンと三男で、6歳のエドモンは呆然とその様子を眺めていた。
「いやぁ、懐かしいね。エミールも一昨年くらいまで結構日常的にやられていたよね? この擽りの刑」
オーギュストはフレデリクが擽られ始めた時点で特に気にせずお茶を飲んでいた。
何故なら一時期は自宅で見慣れた光景だったからだ。
「うふふ、もう言わないって言ったものね? 約束よ?」
エミールはサッサと自分の席に戻ったが、アレクシアは床にへたり込んでしまったフレデリクを助け起こした。
笑い過ぎで赤い顔、潤む瞳のフレデリクは助け起こされるなんて思っていなかったので驚いてアレクシアをジッと見た。
(くぅぅッ、私ショタスキーちゃうのにめっちゃ可愛いんですけど!? わぁ、瞳の色がマックスとお揃いやん、美形度はマックス程じゃないけどか~わ~い~い~!)
立ち上がってからもずっとアレクシアを見つめていたので、可愛さについ頭を撫でてしまうアレクシア。
そんな2人をつい嫉妬混じりの目で見てしまうエミールとマクシミリアンだった。
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