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23.恋に落ちたアレクシア
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アレクシアからはオーギュストが壁になって見えないが、どうやら寮の方から人が2人来たようだ。
オーギュストは後ろから見てわかるくらいに身体を強張らせ、ポールも表情に出さないようにしているが明らかに不快さが滲み出ている。
「はあぁ、あと2年お前のその不細工な顔見なきゃならないかと思うとうんざりするぜ」
「1人でも見苦しいってのにマクシミリアンと連むせいで見苦しさ倍増だしな、ははは」
(ほほぅ、私の前でオーギュ兄様をディスるらぁええ度胸やん?)
アレクシアは怒鳴りつけてやりたい気持ちをグッと堪えてにっこりと微笑みをキープしてズイッと前に出た。
「オーギュ兄様、こちらの可哀想な方々は同級生の方でしょうか?」
「え? あ、そうだけど、可哀想って……?」
頷きながらも戸惑うオーギュストだったが、声を掛けて来た2人の方はポカンと口を開けて放心していた。
「だって、容姿以外ではオーギュ兄様に勝てないと思っているから態々声を掛けてまで貶めて自分達の方が上だと思い込もうとしているという事でしょう? きちんとした実力のある方なら無意味に人を貶めたりしませんもの、ウィル兄様がそうでしょう?」
アレクシアの言葉を聞いてオーギュストはパチパチと数回瞬きした後、破顔する。
惚けていた2人のフツメンは我に返ると顔を真っ赤ににして怒鳴った。
「何なんだお前! 誰なんだよ!」
「ちょっと……いくら可愛いからって生意気だぞ!」
「名乗りもしない失礼な方達に名乗るつもりはありません、ですがここにいるオーギュスト・ド・ラビュタンの妹とだけお教え致しますわ」
喧嘩腰モードのアレクシアは嘲りを含んだ視線と前世を思い出す前のような高飛車な態度でキッパリ言うと、オーギュストの腕を取って歩き出す。
そして2人とすれ違いざまに鼻で笑うようにひと言残した。
「ふっ、異論がございましたら勉強でオーギュ兄様に勝ててからならばお伺い致しますわ」
オーギュストの成績は剣術こそ5番目だが、勉強は1位をキープしている事を知っているからこその強気の発言だった。
ドヤ顔でポールとニコルに笑顔を向けると称賛の目を向けられてアレクシアはご満悦だ。
「ありがとう、アレクシア」
自分の腕に絡まるアレクシアの手をポンポンと優しく叩いてお礼を言うオーギュストの目は潤んでいた、今まで容姿のコンプレックスで言い返せなかったせいだ。
「ふふん、オーギュ兄様が不当に悪く言われるのは我慢ならないもの。ウィル兄様もオーギュ兄様も私の自慢の兄様達ですからね!」
「ありがとう、アレクシアは私の自慢の妹だよ。あ、ほら、あの右側が女子寮だよ、左側が私の居る男子寮だ」
敷地の石畳を進んで行くと同じ様な造りの大きな屋敷に見える建物が並んでいた。
5階建てで最上階は平民、4階は子爵以下、3階は伯爵以下、2階は侯爵と公爵の子女と決まっている。
ちなみに1階は食堂やサロン、共同風呂等の設備だが、貴族用の部屋にはお風呂やキッチンがついており、高位の者ほど歩かなくて良い造りだ。
「寮と言うよりお屋敷みたい」
「確かに、使用人部屋も隣接されてるから夜も完全に1人にならないから安心だよ。……あ、マックス?」
「え?」
「ああ、寮の前に居る奴、友人なんだが剣術で1度も勝てない程の腕前でいつも1番なんだ。ちょうどいいから紹介するよ、お~い、マックス!」
男子寮前に居た背の高い銀髪の男性が、オーギュストの声に反応して振り向いた。
少し長めの綺麗な銀髪が風に煽られて髪で隠れていた顔が晒される、3メートルの距離まで近付くとトパーズにエメラルドを散らしたような美しい瞳と目が合った。
「彼はマクシミリアン・ド・リオンヌ、伯爵家の嫡男だよ。マックス、こっちは私の妹でアレクシアと言うんだ」
「「………」」
お互いが無言で見つめ合う。その時アレクシアの頭の中ではリンゴーンと教会の鐘が鳴り響いていた。
均整のとれた筋肉多めの細マッチョ、身長も高く風が止んで髪に隠れてしまったが長い睫毛に縁取られた綺麗な瞳、薄く形の良い唇、日に焼けて健康的な小麦色の肌、芸能人の抱かれたいランキングの上位に入っていてもおかしくない整った顔立ち。
一方マクシミリアンも自分と同じく容姿に難ありの友人の声に振り向いたら見た事も無い美少女がその友人と腕を組んで歩いて来たのだ。
しかもその美少女は友人の妹だと言う、唇の形だけは似ているがそれ以外に共通点が見つけられ無い。
いつもは愛想の良い妹が無言になってしまったのでオーギュストは首を傾げた、いくら友人が学園で1番醜いと言われているとしても、アレクシアが容姿で拒否する筈は無いと確信している。
「アレク? アレクシア?」
オーギュストに声を掛けられて飛ばしていた意識を取り戻すと慌ててカーテシーで挨拶をした。
「は、初めまして、オーギュストの妹アレクシア・ド・ラビュタンでございます。仲良くして頂けると嬉しく思います」
顔を上げ、ジワジワと熱くなる頬を両手で挟んでチラリとマクシミリアンを見ると顔が赤く染まっていた。
前髪の隙間から辛うじて見える目がサッと逸らされ、少し早口に返事が返ってくる。
「マ、マクシミリアン・ド・リオンヌです。その、オーギュとは友人で……、えっと……、よろしく……。じゃ、じゃあ俺は部屋に戻るから……、失礼する」
マクシミリアンはこれでもかという程目を泳がせながらそれだけ言うと寮の中に入って行った。
そんなマクシミリアンを見てオーギュストがやれやれとため息を吐く。
「はは、アレクシアがあまりにも可愛いから驚いたみたいだな。あんなに動揺したマックスは初めて見たよ。……ん? アレクシア?」
熱っぽく潤んだ瞳で寮の中に消えたマクシミリアンを見送りながら惚けていたアレクシアを3人は熱が出たと思い、慌ててニコルが部屋まで連れて行った。
動揺していた3人にはアレクシアが呟いた「素敵……」という言葉は耳に届かなかった。
オーギュストは後ろから見てわかるくらいに身体を強張らせ、ポールも表情に出さないようにしているが明らかに不快さが滲み出ている。
「はあぁ、あと2年お前のその不細工な顔見なきゃならないかと思うとうんざりするぜ」
「1人でも見苦しいってのにマクシミリアンと連むせいで見苦しさ倍増だしな、ははは」
(ほほぅ、私の前でオーギュ兄様をディスるらぁええ度胸やん?)
アレクシアは怒鳴りつけてやりたい気持ちをグッと堪えてにっこりと微笑みをキープしてズイッと前に出た。
「オーギュ兄様、こちらの可哀想な方々は同級生の方でしょうか?」
「え? あ、そうだけど、可哀想って……?」
頷きながらも戸惑うオーギュストだったが、声を掛けて来た2人の方はポカンと口を開けて放心していた。
「だって、容姿以外ではオーギュ兄様に勝てないと思っているから態々声を掛けてまで貶めて自分達の方が上だと思い込もうとしているという事でしょう? きちんとした実力のある方なら無意味に人を貶めたりしませんもの、ウィル兄様がそうでしょう?」
アレクシアの言葉を聞いてオーギュストはパチパチと数回瞬きした後、破顔する。
惚けていた2人のフツメンは我に返ると顔を真っ赤ににして怒鳴った。
「何なんだお前! 誰なんだよ!」
「ちょっと……いくら可愛いからって生意気だぞ!」
「名乗りもしない失礼な方達に名乗るつもりはありません、ですがここにいるオーギュスト・ド・ラビュタンの妹とだけお教え致しますわ」
喧嘩腰モードのアレクシアは嘲りを含んだ視線と前世を思い出す前のような高飛車な態度でキッパリ言うと、オーギュストの腕を取って歩き出す。
そして2人とすれ違いざまに鼻で笑うようにひと言残した。
「ふっ、異論がございましたら勉強でオーギュ兄様に勝ててからならばお伺い致しますわ」
オーギュストの成績は剣術こそ5番目だが、勉強は1位をキープしている事を知っているからこその強気の発言だった。
ドヤ顔でポールとニコルに笑顔を向けると称賛の目を向けられてアレクシアはご満悦だ。
「ありがとう、アレクシア」
自分の腕に絡まるアレクシアの手をポンポンと優しく叩いてお礼を言うオーギュストの目は潤んでいた、今まで容姿のコンプレックスで言い返せなかったせいだ。
「ふふん、オーギュ兄様が不当に悪く言われるのは我慢ならないもの。ウィル兄様もオーギュ兄様も私の自慢の兄様達ですからね!」
「ありがとう、アレクシアは私の自慢の妹だよ。あ、ほら、あの右側が女子寮だよ、左側が私の居る男子寮だ」
敷地の石畳を進んで行くと同じ様な造りの大きな屋敷に見える建物が並んでいた。
5階建てで最上階は平民、4階は子爵以下、3階は伯爵以下、2階は侯爵と公爵の子女と決まっている。
ちなみに1階は食堂やサロン、共同風呂等の設備だが、貴族用の部屋にはお風呂やキッチンがついており、高位の者ほど歩かなくて良い造りだ。
「寮と言うよりお屋敷みたい」
「確かに、使用人部屋も隣接されてるから夜も完全に1人にならないから安心だよ。……あ、マックス?」
「え?」
「ああ、寮の前に居る奴、友人なんだが剣術で1度も勝てない程の腕前でいつも1番なんだ。ちょうどいいから紹介するよ、お~い、マックス!」
男子寮前に居た背の高い銀髪の男性が、オーギュストの声に反応して振り向いた。
少し長めの綺麗な銀髪が風に煽られて髪で隠れていた顔が晒される、3メートルの距離まで近付くとトパーズにエメラルドを散らしたような美しい瞳と目が合った。
「彼はマクシミリアン・ド・リオンヌ、伯爵家の嫡男だよ。マックス、こっちは私の妹でアレクシアと言うんだ」
「「………」」
お互いが無言で見つめ合う。その時アレクシアの頭の中ではリンゴーンと教会の鐘が鳴り響いていた。
均整のとれた筋肉多めの細マッチョ、身長も高く風が止んで髪に隠れてしまったが長い睫毛に縁取られた綺麗な瞳、薄く形の良い唇、日に焼けて健康的な小麦色の肌、芸能人の抱かれたいランキングの上位に入っていてもおかしくない整った顔立ち。
一方マクシミリアンも自分と同じく容姿に難ありの友人の声に振り向いたら見た事も無い美少女がその友人と腕を組んで歩いて来たのだ。
しかもその美少女は友人の妹だと言う、唇の形だけは似ているがそれ以外に共通点が見つけられ無い。
いつもは愛想の良い妹が無言になってしまったのでオーギュストは首を傾げた、いくら友人が学園で1番醜いと言われているとしても、アレクシアが容姿で拒否する筈は無いと確信している。
「アレク? アレクシア?」
オーギュストに声を掛けられて飛ばしていた意識を取り戻すと慌ててカーテシーで挨拶をした。
「は、初めまして、オーギュストの妹アレクシア・ド・ラビュタンでございます。仲良くして頂けると嬉しく思います」
顔を上げ、ジワジワと熱くなる頬を両手で挟んでチラリとマクシミリアンを見ると顔が赤く染まっていた。
前髪の隙間から辛うじて見える目がサッと逸らされ、少し早口に返事が返ってくる。
「マ、マクシミリアン・ド・リオンヌです。その、オーギュとは友人で……、えっと……、よろしく……。じゃ、じゃあ俺は部屋に戻るから……、失礼する」
マクシミリアンはこれでもかという程目を泳がせながらそれだけ言うと寮の中に入って行った。
そんなマクシミリアンを見てオーギュストがやれやれとため息を吐く。
「はは、アレクシアがあまりにも可愛いから驚いたみたいだな。あんなに動揺したマックスは初めて見たよ。……ん? アレクシア?」
熱っぽく潤んだ瞳で寮の中に消えたマクシミリアンを見送りながら惚けていたアレクシアを3人は熱が出たと思い、慌ててニコルが部屋まで連れて行った。
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