2 / 6
言ってしまいましたね
しおりを挟む
「ガブリエル様、そのお言葉が出る意味を分かってらっしゃいますか?」
「は? 何を言っている、お前が生意気だからだろう!」
「理由も正当性も無く黙れという事は『反論できないから地位や権力を笠に着て黙らせるしか出来ない』と公言しているという事ですよ?」
「な…っ」
お顔を真っ赤に染めて口をパクパクさせてますが、反論する言葉が見つからないというところでしょうか。
正直ソフィー嬢はどうでも良いですが貴族の義務とはいえここまで残念な方に嫁ぐのはご勘弁願いたいですわ。
「第一にガブリエル様も後ろめたいからコソコソと行動していらしたでしょう? 間違った事をしている自覚はおありだからでは?」
「何もコソコソなんてしていない!」
「ならば…、何故わたくしの予定を事細かに聞き出したのですか?」
わたくしの言葉にピクリと反応したのは宰相の息子、どうやらこの方が指示した事のようですね。
「これまではわたくしの行動など気にもしていらっしゃらなかったのに…、そちらのご令嬢と一緒に居る時に鉢合わせしない様に居場所の確認をしたかったのでしょう?」
わたくしの言葉で傍観者だったご令嬢の数人がキッとエスコートしている男性を睨んだ様です、きっと同じ様に予定を根掘り葉掘り聞かれたのでしょう。
「それにこちらがご予定をお聞きした時に『予定がある』としかおっしゃらなくなりましたわ、今までは『会議がある』や『誰と会う』と理由をおっしゃっていましたのに」
また数人の息を呑む音が聞こえました、殿方の行動パターンはよく似ているのでしょうか。
これで多少王子も自分がやましい行動をしていたと自覚していただけた事でしょう。
ですが最初につけられた言いがかりの件を放置する理由にはなりませんね、全く反省していない様ですし。
「ところで…、先程おっしゃった婚約者のいる殿方に近付く事を注意した件ですが…。わたくしはガブリエル様に近付くなとは一言も申し上げておりませんよ?」
「「は?」」
王子とソフィー嬢が揃って間抜け…いえ、驚いた顔をして声を揃えられました。
この国の王族は一夫多妻なのです、故に愛だの恋だのより婚姻は貴族としての義務という思いが強いのですし。
むしろ何故わたくしが邪魔をすると思われたのでしょう。
「ガブリエル様がそちらのご令嬢を娶りたいのならば正妃となるわたくしが王子を産んだ後に娶ればよろしいかと。共にガブリエル様を支える者を虐げる必要はございません」
「ならんっ、ソフィーを正妃とするのだ!」
「まぁ、それはあまりにもそちらのご令嬢が可哀想ですわ」
王子達が揃って怪訝なお顔をしていますが本当にわからないのでしょうか、少し考えればわかる事ですのに。
「まずそちらのご令嬢のお名前を順位発表で見た事がありません、その様な成績の方が今から王族となる為の知識、しかも正妃に求められる知識と教養を覚えて頂くのにどれ程の時間がかかるか…。常に5番位内を保っていたわたくしですら婚約してから7年掛かって何とか覚えたのですよ?」
あらあら、ソフィー嬢のお顔が引きつっておりましてよ、王子。
学院の順位の貼り出しは120人中30位以内、大抵同じ方の名前ですので在学中の3年間で1度もお名前を見た事は無かったはずですわ。
王子は幼い頃から一流の家庭教師がついていて15歳になった今年まで掛かって少しずつ覚えている最中ですのに。
「何を言う! ソフィーは私の為に頑張ってくれると約束したのだ!」
あ、側近の皆様が床に視線を落としましたわ、きっとソフィー嬢の成績をご存知なのね。
そろそろよろしいでしょうか、今後この様な愚かな事をしでかさない為にも女性不信になるくらいに絶望して頂こうかしら。
いけません、思わず笑みが溢れてしまいました、普段は淑女の微笑みをお顔の筋肉を使ってキープしてますのに。
さぁ、この先の言葉を聞いてもソフィー嬢と結婚するとおっしゃるでしょうか、それならむしろ見上げた根性だと褒めて差し上げますわ。
「は? 何を言っている、お前が生意気だからだろう!」
「理由も正当性も無く黙れという事は『反論できないから地位や権力を笠に着て黙らせるしか出来ない』と公言しているという事ですよ?」
「な…っ」
お顔を真っ赤に染めて口をパクパクさせてますが、反論する言葉が見つからないというところでしょうか。
正直ソフィー嬢はどうでも良いですが貴族の義務とはいえここまで残念な方に嫁ぐのはご勘弁願いたいですわ。
「第一にガブリエル様も後ろめたいからコソコソと行動していらしたでしょう? 間違った事をしている自覚はおありだからでは?」
「何もコソコソなんてしていない!」
「ならば…、何故わたくしの予定を事細かに聞き出したのですか?」
わたくしの言葉にピクリと反応したのは宰相の息子、どうやらこの方が指示した事のようですね。
「これまではわたくしの行動など気にもしていらっしゃらなかったのに…、そちらのご令嬢と一緒に居る時に鉢合わせしない様に居場所の確認をしたかったのでしょう?」
わたくしの言葉で傍観者だったご令嬢の数人がキッとエスコートしている男性を睨んだ様です、きっと同じ様に予定を根掘り葉掘り聞かれたのでしょう。
「それにこちらがご予定をお聞きした時に『予定がある』としかおっしゃらなくなりましたわ、今までは『会議がある』や『誰と会う』と理由をおっしゃっていましたのに」
また数人の息を呑む音が聞こえました、殿方の行動パターンはよく似ているのでしょうか。
これで多少王子も自分がやましい行動をしていたと自覚していただけた事でしょう。
ですが最初につけられた言いがかりの件を放置する理由にはなりませんね、全く反省していない様ですし。
「ところで…、先程おっしゃった婚約者のいる殿方に近付く事を注意した件ですが…。わたくしはガブリエル様に近付くなとは一言も申し上げておりませんよ?」
「「は?」」
王子とソフィー嬢が揃って間抜け…いえ、驚いた顔をして声を揃えられました。
この国の王族は一夫多妻なのです、故に愛だの恋だのより婚姻は貴族としての義務という思いが強いのですし。
むしろ何故わたくしが邪魔をすると思われたのでしょう。
「ガブリエル様がそちらのご令嬢を娶りたいのならば正妃となるわたくしが王子を産んだ後に娶ればよろしいかと。共にガブリエル様を支える者を虐げる必要はございません」
「ならんっ、ソフィーを正妃とするのだ!」
「まぁ、それはあまりにもそちらのご令嬢が可哀想ですわ」
王子達が揃って怪訝なお顔をしていますが本当にわからないのでしょうか、少し考えればわかる事ですのに。
「まずそちらのご令嬢のお名前を順位発表で見た事がありません、その様な成績の方が今から王族となる為の知識、しかも正妃に求められる知識と教養を覚えて頂くのにどれ程の時間がかかるか…。常に5番位内を保っていたわたくしですら婚約してから7年掛かって何とか覚えたのですよ?」
あらあら、ソフィー嬢のお顔が引きつっておりましてよ、王子。
学院の順位の貼り出しは120人中30位以内、大抵同じ方の名前ですので在学中の3年間で1度もお名前を見た事は無かったはずですわ。
王子は幼い頃から一流の家庭教師がついていて15歳になった今年まで掛かって少しずつ覚えている最中ですのに。
「何を言う! ソフィーは私の為に頑張ってくれると約束したのだ!」
あ、側近の皆様が床に視線を落としましたわ、きっとソフィー嬢の成績をご存知なのね。
そろそろよろしいでしょうか、今後この様な愚かな事をしでかさない為にも女性不信になるくらいに絶望して頂こうかしら。
いけません、思わず笑みが溢れてしまいました、普段は淑女の微笑みをお顔の筋肉を使ってキープしてますのに。
さぁ、この先の言葉を聞いてもソフィー嬢と結婚するとおっしゃるでしょうか、それならむしろ見上げた根性だと褒めて差し上げますわ。
187
お気に入りに追加
877
あなたにおすすめの小説

婚約破棄は先手を取ってあげますわ
浜柔
恋愛
パーティ会場に愛人を連れて来るなんて、婚約者のわたくしは婚約破棄するしかありませんわ。
※6話で完結として、その後はエクストラストーリーとなります。
更新は飛び飛びになります。

「君を愛するつもりはない」と言ったら、泣いて喜ばれた
菱田もな
恋愛
完璧令嬢と名高い公爵家の一人娘シャーロットとの婚約が決まった第二皇子オズワルド。しかし、これは政略結婚で、婚約にもシャーロット自身にも全く興味がない。初めての顔合わせの場で「悪いが、君を愛するつもりはない」とはっきり告げたオズワルドに、シャーロットはなぜか歓喜の涙を浮かべて…?
※他サイトでも掲載中しております。
婚約破棄? 私、この国の守護神ですが。
国樹田 樹
恋愛
王宮の舞踏会場にて婚約破棄を宣言された公爵令嬢・メリザンド=デラクロワ。
声高に断罪を叫ぶ王太子を前に、彼女は余裕の笑みを湛えていた。
愚かな男―――否、愚かな人間に、女神は鉄槌を下す。
古の盟約に縛られた一人の『女性』を巡る、悲恋と未来のお話。
よくある感じのざまぁ物語です。
ふんわり設定。ゆるーくお読みください。

思い出してしまったのです
月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。
妹のルルだけが特別なのはどうして?
婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの?
でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。
愛されないのは当然です。
だって私は…。
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

【完結】婚約破棄される未来見えてるので最初から婚約しないルートを選びます
21時完結
恋愛
レイリーナ・フォン・アーデルバルトは、美しく品格高い公爵令嬢。しかし、彼女はこの世界が乙女ゲームの世界であり、自分がその悪役令嬢であることを知っている。ある日、夢で見た記憶が現実となり、レイリーナとしての人生が始まる。彼女の使命は、悲惨な結末を避けて幸せを掴むこと。
エドウィン王子との婚約を避けるため、レイリーナは彼との接触を避けようとするが、彼の深い愛情に次第に心を開いていく。エドウィン王子から婚約を申し込まれるも、レイリーナは即答を避け、未来を築くために時間を求める。
悪役令嬢としての運命を変えるため、レイリーナはエドウィンとの関係を慎重に築きながら、新しい道を模索する。運命を超えて真実の愛を掴むため、彼女は一人の女性として成長し、幸せな未来を目指して歩み続ける。

婚約したら幼馴染から絶縁状が届きました。
黒蜜きな粉
恋愛
婚約が決まった翌日、登校してくると机の上に一通の手紙が置いてあった。
差出人は幼馴染。
手紙には絶縁状と書かれている。
手紙の内容は、婚約することを発表するまで自分に黙っていたから傷ついたというもの。
いや、幼馴染だからって何でもかんでも報告しませんよ。
そもそも幼馴染は親友って、そんなことはないと思うのだけど……?
そのうち機嫌を直すだろうと思っていたら、嫌がらせがはじまってしまった。
しかも、婚約者や周囲の友人たちまで巻き込むから大変。
どうやら私の評判を落として婚約を破談にさせたいらしい。

私は王子の婚約者にはなりたくありません。
黒蜜きな粉
恋愛
公爵令嬢との婚約を破棄し、異世界からやってきた聖女と結ばれた王子。
愛を誓い合い仲睦まじく過ごす二人。しかし、そのままハッピーエンドとはならなかった。
いつからか二人はすれ違い、愛はすっかり冷めてしまった。
そんな中、主人公のメリッサは留学先の学校の長期休暇で帰国。
父と共に招かれた夜会に顔を出すと、そこでなぜか王子に見染められてしまった。
しかも、公衆の面前で王子にキスをされ逃げられない状況になってしまう。
なんとしてもメリッサを新たな婚約者にしたい王子。
さっさと留学先に戻りたいメリッサ。
そこへ聖女があらわれて――
婚約破棄のその後に起きる物語
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる