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断罪イベント
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「シャルロット、お前はソフィーをこれまで虐め抜いて来ただろう、私はその様な品性の無い女とは結婚する気はない! 婚約破棄する!」
貴族の子女、優秀な平民のみが通える由緒ある学院の卒業パーティーで薄らぼんやりと見覚えのある男爵令嬢の肩を抱いてわたくしに指を突きつけているのは、この国の第二王子であり公爵令嬢である私の婚約者で2歳年上のガブリエル王子。
そしてその周りを囲むのは王子と同い年の側近である騎士団長の息子、宰相の息子、魔導師長の息子と将来を約束されているエリート達。
あら、側近の1人であるお兄様はどうしてあんなに離れたところにいるのかしら?
まぁそんな事よりこの場の収拾をつけねばなりませんね、婚約破棄はともかく虐め抜いただなんて身に覚えの無い事で責められるのは腹立たしいですからね。
「あの、わたくし身に覚えが全く無いのですけれど?」
頬に手を当てコテリと首を傾げてみせた、だって本当に虐めてなんていないのですもの。
ああ、でも側近達の婚約者から泣き付かれて忠告した事はあった様な気がするわ。
「嘘をつくな! ソフィーから全て聞いたぞ、事ある毎に嫌味を言ったりドレスを汚したり取り巻きをけしかけたりしただろう!」
「嫌味…ですか…? 例えばどんな?」
「ぐ…っ、ソフィー、怖がらなくていい、私が守ってやるから言ってやれ」
きっと詳しく聞いていないか聞いたけど覚えていないのね。
いきなり話を振られてソフィー嬢が動揺してるじゃない、どうせ全て私に任せろとか私の側に居るだけでいいとか調子のいい事言ったんだわ。
王子に肩を抱かれたまま震えながらもキッとわたくしを睨み付けてソフィー嬢が口を開いた。
「わっ、わたしが1人で居る時を狙って婚約者に近づくなと脅されました!」
「正確には婚約者の居る殿方と無闇にお近付きになるのははしたないですよと注意しただけですわ。人前でその様なふしだらな女性と思われる様な事を言われるのは可哀想だと思ってお1人の時にしたのですけれど?」
あまりにもバカバカし過ぎて思わずため息が漏れてしまいました。
「そっ、それに以前夜会で飲み物を掛けられました!」
「ああ、あれは貴女だったのね。いきなりぶつかって来られて持っていた飲み物を零してしまったのよ。ぶつかった事を謝罪もせず酷いと叫んで走り去ってしまった方はおりましたわ」
段々と周りのソフィー嬢を見る目が残念なモノを見る目に変わってきましたね、きっとソフィー嬢が言った事を鵜呑みにして王子達が周りにも吹聴していたのでしょう。
「じゃあ貴女の取り巻きに囲まれたのは!? 婚約者が居る方に近づくなと言われてとても怖かったのです…!」
ソフィー嬢はそう言って王子に抱きつきました、婚約者でも無いのにこんな公衆の面前で…。
王子はデレデレとした笑顔をソフィー嬢に向けてから憤怒の顔をわたくしに向けました。
「やはりお前が手を回していたのではないか! 身分を笠に着て取り巻きに指示したのだろう!」
この愚かな王子は先程までのやり取りを全て忘れたのでしょうか、それとも自分に都合の悪い事は忘れる特技でもお持ちなのかしら。
段々王子に敬意を払うのも馬鹿らしくなってきましたわ。
「わたくしに取り巻きなどと言うものはおりません、友人ならおりますが。わたくしの友人達を貶める物言いはおやめ下さい。それにその方達がおっしゃった事は正論では?」
「うるさい、黙れ! 王子である私に反論するのか!?」
ああ、言ってしまいましたね、己が愚かであると認めるその言葉を。
わたくしは公爵令嬢たるもの感情を隠し冷静で控えめ、公正な目を常に持たねばならぬと教えられて来ました。
仮にも王族である王子がここまで愚かであればそれを正すのも臣下の役目というものですよね?
貴族の子女、優秀な平民のみが通える由緒ある学院の卒業パーティーで薄らぼんやりと見覚えのある男爵令嬢の肩を抱いてわたくしに指を突きつけているのは、この国の第二王子であり公爵令嬢である私の婚約者で2歳年上のガブリエル王子。
そしてその周りを囲むのは王子と同い年の側近である騎士団長の息子、宰相の息子、魔導師長の息子と将来を約束されているエリート達。
あら、側近の1人であるお兄様はどうしてあんなに離れたところにいるのかしら?
まぁそんな事よりこの場の収拾をつけねばなりませんね、婚約破棄はともかく虐め抜いただなんて身に覚えの無い事で責められるのは腹立たしいですからね。
「あの、わたくし身に覚えが全く無いのですけれど?」
頬に手を当てコテリと首を傾げてみせた、だって本当に虐めてなんていないのですもの。
ああ、でも側近達の婚約者から泣き付かれて忠告した事はあった様な気がするわ。
「嘘をつくな! ソフィーから全て聞いたぞ、事ある毎に嫌味を言ったりドレスを汚したり取り巻きをけしかけたりしただろう!」
「嫌味…ですか…? 例えばどんな?」
「ぐ…っ、ソフィー、怖がらなくていい、私が守ってやるから言ってやれ」
きっと詳しく聞いていないか聞いたけど覚えていないのね。
いきなり話を振られてソフィー嬢が動揺してるじゃない、どうせ全て私に任せろとか私の側に居るだけでいいとか調子のいい事言ったんだわ。
王子に肩を抱かれたまま震えながらもキッとわたくしを睨み付けてソフィー嬢が口を開いた。
「わっ、わたしが1人で居る時を狙って婚約者に近づくなと脅されました!」
「正確には婚約者の居る殿方と無闇にお近付きになるのははしたないですよと注意しただけですわ。人前でその様なふしだらな女性と思われる様な事を言われるのは可哀想だと思ってお1人の時にしたのですけれど?」
あまりにもバカバカし過ぎて思わずため息が漏れてしまいました。
「そっ、それに以前夜会で飲み物を掛けられました!」
「ああ、あれは貴女だったのね。いきなりぶつかって来られて持っていた飲み物を零してしまったのよ。ぶつかった事を謝罪もせず酷いと叫んで走り去ってしまった方はおりましたわ」
段々と周りのソフィー嬢を見る目が残念なモノを見る目に変わってきましたね、きっとソフィー嬢が言った事を鵜呑みにして王子達が周りにも吹聴していたのでしょう。
「じゃあ貴女の取り巻きに囲まれたのは!? 婚約者が居る方に近づくなと言われてとても怖かったのです…!」
ソフィー嬢はそう言って王子に抱きつきました、婚約者でも無いのにこんな公衆の面前で…。
王子はデレデレとした笑顔をソフィー嬢に向けてから憤怒の顔をわたくしに向けました。
「やはりお前が手を回していたのではないか! 身分を笠に着て取り巻きに指示したのだろう!」
この愚かな王子は先程までのやり取りを全て忘れたのでしょうか、それとも自分に都合の悪い事は忘れる特技でもお持ちなのかしら。
段々王子に敬意を払うのも馬鹿らしくなってきましたわ。
「わたくしに取り巻きなどと言うものはおりません、友人ならおりますが。わたくしの友人達を貶める物言いはおやめ下さい。それにその方達がおっしゃった事は正論では?」
「うるさい、黙れ! 王子である私に反論するのか!?」
ああ、言ってしまいましたね、己が愚かであると認めるその言葉を。
わたくしは公爵令嬢たるもの感情を隠し冷静で控えめ、公正な目を常に持たねばならぬと教えられて来ました。
仮にも王族である王子がここまで愚かであればそれを正すのも臣下の役目というものですよね?
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