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第一章
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しおりを挟む「くっそ!やっぱりローレンス兄には勝てないか」
「ずるーい!」
私とローレンス兄様の抱擁を邪魔するように入って来たのは、三男のアルフレッド兄様と四男のルイス兄様。アルフレッド兄様は現在助教授(こちらも異例よ)として大学で働き、ルイス兄様は大学院にいらっしゃるの。
「まぁ、お二人共ここに来て大丈夫ですの?」
「そうだよ、お前らには課題を出してある筈だぞ。アル、片付けもしておけと言ったよな?」
「アリスの入学式だぞ!初めての制服姿をこの目に焼き付けなくてどうするんだ!」
「僕は映像記録できる魔道具持ってきたからいつでも見れるもーん」
アル兄妹・・・ルイス兄様・・・何を言っているのですか・・・。
「その映像を後でコピーしてくれるから許す」
「おっけー!あれ、ヨランダちゃんもいたんだぁ。アリスの事、よろしくねぇ」
ルイス兄様がヨランダ王女に微笑むと、真っ赤にして石像になってしまったの。
これはまさか・・・。
「あれぇ?ヨランダちゃん大丈夫ぅ?熱があるのかなぁ?」
額に手を置くルイス兄様と赤い顔がどす黒くなってきたヨランダ王女に、ここにいる全員がこう思ったでしょうね。
───ヨランダ王女はルイス兄様の事が好き。
分かりやすいにも程があるわ。
だから、私にショーン殿下をオススメするのかしら?
そんな回りくどい事をせずに、ご自分が頑張ればいいのに。
そんな事を考えていると、ヨランダ王女の椅子が後ろに倒れそうになり、ルイス兄様が抱き抱えるようにしてヨランダ王女を助けたの。
それが限界だったのか、ヨランダ王女は気絶してしまったわ。
ショーン殿下がルイス兄様からヨランダ王女を受け取り、男性だけでは女子寮には入れないから私も一緒に行く事になってこの場は解散。
お兄様達もついてきそうになったけれど、そこは末っ子長女パワーでお断りしたわ。
見目麗しい男性達と、ヨランダ王女、マリー様、私という最上階組が歩いていたらたたでさえ目立つのに、お兄様達までいたら嫉妬の嵐なのよ。
「では、お兄様方。またお会いできる日を楽しみにしていますわ」
「本当に僕達はいない方がいいのかい?」
「そうだよ。アリスを守れる奴は必要だろ」
「だよねぇ。僕らこう見えて強いよぉ」
「あら、誰が一番強いのでしたっけ?」
「「「・・・アリスです」」」
「よろしい、では私達はこれで失礼致しますわね」
「あ、アリス!ローブの色、楽しみにしてるからね!」
全員が帰省すると、必ず私との魔法合戦になるのだけど、今のところは無敗なの。お兄様達が悔しがるのを見るのは中々楽しいのよね。ところで、ローブの色って何かしら?
「ヨランダ王女殿下がアリスの兄さんを好きだなんてなあ」
「ふふ、そうなのよ。本人は隠しているつもりでも、全員が知っているわ。ルイス様がこちらにいらっしゃると、必ずヨランダ様が駆けつけるのよ」
どれだけ好きなのですか・・・うん、キューピッドになるのもいいかもしれないわね。
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