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第一章
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色々考えている内に朝になり、寮の入口で待ち合わせていたプリシラ達と合流して外に出ると、マクシミリアン、リオン、ショーン殿下が待ち構えていたわ。
マクシミリアンとは約束をしていたのだけど、後の2人はどうしているのかしら?
「おはよう、アリスティア嬢」
「おはよう、アリス」
「・・・おはよう、みんな」
げっそりとした表情のマクシミリアンが私を軽く睨みながら、アンナの方へと歩いて行く。
心の中でマクシミリアンに謝りながら、私は彼らに挨拶をする。
「ごきげんよう、お二人共どうなされたのですか?」
この後、入学式の行われるホールの前でお花畑とヒロインのイベントがあるから、全員それを見たいから早く行かせて?
「私達も一緒に行こうと思ってね」
「ナタリア姉上からアリスを守れって言われてるんだよ。それがなくても一緒にいたいけどな」
オーマイガッ!ナタリア義姉様、なんて事を言ってくれたの!
「では皆で参りましょうか」
笑顔を崩さずに言って、私達はホールへと向かっているのだけど・・・プリシラ達は私達から距離を置いてニヤニヤしながら見てるのよ。
勘弁して欲しいわ・・・と、両隣の王太子達に気付枯れないように溜息をつく。
そこで、ショーン殿下が何かに気付いた。
「あの子達は何をしているんだろう」
ショーン殿下の視線の先にいたのは、喧嘩をしている様子のヒロインとモブ令嬢。そういえば、あの二人は顔見知りだったわね。
二人の声を拾ってみると・・・。
「タバサ様、何を言ってるの?」
「だから、あんたは邪魔だから早く行けって言ってるのよ!」
「意味が分からないわ。あなたっていつもそうだから嫌われてるのよ?」
「うるさいわね!さっさと行きなさいよ!」
「分かったわよ・・・本当に意味分からないわ」
プリプリ怒りながらニーナがその場を後にすると、タバサはニヤリと笑って、お花畑に突進しようとして盛大にこけたの。三回転して、一昨日降った雨でまだぬかるんでいる場所にダイブ。
ゲームであれば、躓いたヒロインをお花畑が受け止めるのだけど、今のお花畑の顔はドン引きしているのよ。それはそうよね・・・顔から突っ込んだし、制服も何もかもドロドロなのだから。
タバサはヒロインになろうとしたようだけど、ニーナのようには振る舞えないわよ。
私はタバサの所へと行き、手を差し伸べて声をかけた。
「怪我はありませんか?一応、保健室に行った方がいいでしょう。顔と制服を綺麗にしていただかないといけませんわ」
泥で汚れた手で私の手を取るのを躊躇していたタバサも、自分の格好を見て涙ぐみながら私の手を取ったの。
「ありがどうごじゃいまず・・・本当にずびばぜん」
「いいのよ。保健室の場所は分かりますか?私も一緒に行きましょうか?」
「いえ、ひどりでいげまず・・・ズビッ。ありがどうございまぢだ」
彼女は本当に大丈夫なのかしら?
マクシミリアンとは約束をしていたのだけど、後の2人はどうしているのかしら?
「おはよう、アリスティア嬢」
「おはよう、アリス」
「・・・おはよう、みんな」
げっそりとした表情のマクシミリアンが私を軽く睨みながら、アンナの方へと歩いて行く。
心の中でマクシミリアンに謝りながら、私は彼らに挨拶をする。
「ごきげんよう、お二人共どうなされたのですか?」
この後、入学式の行われるホールの前でお花畑とヒロインのイベントがあるから、全員それを見たいから早く行かせて?
「私達も一緒に行こうと思ってね」
「ナタリア姉上からアリスを守れって言われてるんだよ。それがなくても一緒にいたいけどな」
オーマイガッ!ナタリア義姉様、なんて事を言ってくれたの!
「では皆で参りましょうか」
笑顔を崩さずに言って、私達はホールへと向かっているのだけど・・・プリシラ達は私達から距離を置いてニヤニヤしながら見てるのよ。
勘弁して欲しいわ・・・と、両隣の王太子達に気付枯れないように溜息をつく。
そこで、ショーン殿下が何かに気付いた。
「あの子達は何をしているんだろう」
ショーン殿下の視線の先にいたのは、喧嘩をしている様子のヒロインとモブ令嬢。そういえば、あの二人は顔見知りだったわね。
二人の声を拾ってみると・・・。
「タバサ様、何を言ってるの?」
「だから、あんたは邪魔だから早く行けって言ってるのよ!」
「意味が分からないわ。あなたっていつもそうだから嫌われてるのよ?」
「うるさいわね!さっさと行きなさいよ!」
「分かったわよ・・・本当に意味分からないわ」
プリプリ怒りながらニーナがその場を後にすると、タバサはニヤリと笑って、お花畑に突進しようとして盛大にこけたの。三回転して、一昨日降った雨でまだぬかるんでいる場所にダイブ。
ゲームであれば、躓いたヒロインをお花畑が受け止めるのだけど、今のお花畑の顔はドン引きしているのよ。それはそうよね・・・顔から突っ込んだし、制服も何もかもドロドロなのだから。
タバサはヒロインになろうとしたようだけど、ニーナのようには振る舞えないわよ。
私はタバサの所へと行き、手を差し伸べて声をかけた。
「怪我はありませんか?一応、保健室に行った方がいいでしょう。顔と制服を綺麗にしていただかないといけませんわ」
泥で汚れた手で私の手を取るのを躊躇していたタバサも、自分の格好を見て涙ぐみながら私の手を取ったの。
「ありがどうごじゃいまず・・・本当にずびばぜん」
「いいのよ。保健室の場所は分かりますか?私も一緒に行きましょうか?」
「いえ、ひどりでいげまず・・・ズビッ。ありがどうございまぢだ」
彼女は本当に大丈夫なのかしら?
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