見てるだけはもう終わり!~創造主は地上に降りる~

樹林

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序章

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「あれ、アリスティアじゃないか。こんな所で何をしているの?」

「ごきげんよう、マクシミリアン。見て分からないかしら?令息達に囲まれるのが嫌な令嬢達で集まって隠れてるのよ」

「あたしも変な女達がうるさくて逃げて来たのよ。仲間に入れてもらえるかしら?」

顔ぶれを見て安心したマクシミリアンの口調が変わる。5歳でマクシミリアンと出会い、半年後にボロが出て2人だけの秘密で来たけれど、10歳の時にローナとノーマに出会ってネイトも合わせたこのグループができたのよね。

「あーあ、あたしも令嬢が良かったわ。何でまた男なのよねぇ」

「私と変わってほしいよ」

「あら、それいいわね。アンナと交代したら、騎士団長に泣いて喜ばれそうだしそうしましょ?」

「できるものならとっくにしてるだろう」

「もう!夢見るのはタダでしょ!」

プクッと頬を膨らませるマクシミリアンと、呆れた目で見るアンナを見ていると、確かに交換した方がいいとは思うけど、アンナが頬を膨らませるところは見たくないかも・・・ぶりっ子タイプに見えるのに男口調ってギャップが凄すぎるわ。

「ちょっと!遠巻きに見られているから気をつけてよ。マクシミリアンのオネエもアリスが策略家もバレたら終わりなんだしね」

「ローナの中身が55歳+12歳のおばあちゃんなのもバレたら最悪よ?あたしやアリスの話なんか吹き飛ぶわよ」

ケラケラと笑うマクシミリアンにグリグリ攻撃をするローナは、これぞ悪役令嬢というキツい顔立ちだけど皆のお母ちゃんで私も頼りにしてる。
ノーマは前世でローナの娘で、話すのは苦手だけどおっとりしていて癒し系。アンナと並ぶとリスとウサギがいるみたいになるのが面白い。

さて、そろそろこの会話はやめないとね。

「周囲に人が集まって来ているからやめましょうか。マクシミリアン目当てのご令嬢達もいるわ」

「そうなんだ。アリスティア、ありがとう。君の博識さにはいつも驚かされるよ」

「そうですわね。わたくしも勉強になりますわ。ホホホホホ」

オネエとお母ちゃんの変わり身の早さに、他の全員が引き攣った笑いを浮かべながら解散したわ。
私はもちろん、プリシラとアンナと一緒にいるの。

「アンナ、アリス。こんな所にいたのか」

「ネイト、どうかしたのか?」

「ごきげんよう、急ぎのご用でも?」

うっすらと汗をかいているから、かなり私達を探していたみたいで申し訳ないわね。

「王太子にこの茶会がバレて乗り込んできたんだ。ここだとバレるから裏から逃げろだと。俺もここにいるのがバレたらヤバいから一緒に行く」

嘘でしょ?誰がバラしたの・・・めんどくさい。
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