見てるだけはもう終わり!~創造主は地上に降りる~

樹林

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序章

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今回は、創造主と桜純の記憶が戻るのを12歳に設定していたのだけど、王太子と第二王子の婚約者を決めるお茶会の席で戻る事はないと思うの。

「大丈夫?」

「はい、申し訳ございません。緊張してしまい・・・」

心配そうに私を見るのは、レオンハルト・ダイアクロス王太子殿下。

なぜか私の所から離れないせいで、他の令嬢達は第二王子にターゲットを変えたわ。

「あの、他のご令嬢とお話されなくてよろしいのですか?」

「うん、私の婚約者は君に決めたから大丈夫だよ」

え、まだ会って30分位なのに?
いえ、全員の挨拶が済んですぐからだから40分?10分位、どうでもいいわね・・・。

「どうして私なのでしょうか?」

「君の噂は聞いているからね」

頭を抱えたくなったのを我慢しながら、私は明後日の方向を眺めながらこの4年間を思い出していたの。

今世は、アリスティア・コーラルバイン公爵令嬢。
両親と12歳上の兄と、10歳上の兄と、8歳上の兄と、6歳上の兄に溺愛されてる末っ子長女。
1歳半でオムツが外れ、2歳で2カ国語を話し、4歳の今はピアノ講師を泣かせる程の腕前になっている。

私は何をしてるの・・・。

「愛の鐘と4人の王子」という乙女ゲームの世界のに生まれた筈なのに、こんな目立つ事をしていいのかしら。

チラリと王太子殿下を見ると、爽やかな笑顔を私に向けているけど心の中は面白いわ。
「聡明なら私が真実の愛を見つけるまで役に立つだろう」ですって?私なら婚約破棄しても大丈夫と思っている所が最低よね。
第二王子はこの状況に戸惑うばかりだし、この国の王族は大丈夫なの?

「王太子殿下は、私の父と兄達の話をお聞きになられた事はございますか?」

「もちろんだよ。君の事をとても・・・」

宰相である父は、私が熱を出しただけで仕事を休んで看病すると言って国政をストップさせ、その跡を継ぐ予定の長男のアーネスト兄様、次男のテオ兄様、三男のマリス兄様、四男のニコラス兄様も、全員が全てをほっぽり出すわ。
それぞれが卓越した能力を持つ、コーラルバイン公爵家を敵に回すという事が何を意味するのか、その満開のお花畑の頭でも分かるようね。

真っ青になったレオンハルト王太子殿下は、そっと席を立って「では、ほかの令嬢とも話さないといけないから」と言って去っていったわ。

大体、自由恋愛を推奨するこの国では、早期に婚約者を決める必要はないのよ。
15歳からは、4つの国の貴族達が集まるルチル学園に通うのだし、そこで見つけたい令嬢・令息が殆どなの。
どうせ、あの2人を産んだ見た目も中身もお花畑の王妃が「恋には障害が必要よ」とか言って開催したのでしょうけど、ね。
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