35 / 63
序章
34
しおりを挟む
今回は、創造主と桜純の記憶が戻るのを12歳に設定していたのだけど、王太子と第二王子の婚約者を決めるお茶会の席で戻る事はないと思うの。
「大丈夫?」
「はい、申し訳ございません。緊張してしまい・・・」
心配そうに私を見るのは、レオンハルト・ダイアクロス王太子殿下。
なぜか私の所から離れないせいで、他の令嬢達は第二王子にターゲットを変えたわ。
「あの、他のご令嬢とお話されなくてよろしいのですか?」
「うん、私の婚約者は君に決めたから大丈夫だよ」
え、まだ会って30分位なのに?
いえ、全員の挨拶が済んですぐからだから40分?10分位、どうでもいいわね・・・。
「どうして私なのでしょうか?」
「君の噂は聞いているからね」
頭を抱えたくなったのを我慢しながら、私は明後日の方向を眺めながらこの4年間を思い出していたの。
今世は、アリスティア・コーラルバイン公爵令嬢。
両親と12歳上の兄と、10歳上の兄と、8歳上の兄と、6歳上の兄に溺愛されてる末っ子長女。
1歳半でオムツが外れ、2歳で2カ国語を話し、4歳の今はピアノ講師を泣かせる程の腕前になっている。
私は何をしてるの・・・。
「愛の鐘と4人の王子」という乙女ゲームの世界のモブに生まれた筈なのに、こんな目立つ事をしていいのかしら。
チラリと王太子殿下を見ると、爽やかな笑顔を私に向けているけど心の中は面白いわ。
「聡明なら私が真実の愛を見つけるまで役に立つだろう」ですって?私なら婚約破棄しても大丈夫と思っている所が最低よね。
第二王子はこの状況に戸惑うばかりだし、この国の王族は大丈夫なの?
「王太子殿下は、私の父と兄達の話をお聞きになられた事はございますか?」
「もちろんだよ。君の事をとても・・・」
宰相である父は、私が熱を出しただけで仕事を休んで看病すると言って国政をストップさせ、その跡を継ぐ予定の長男のアーネスト兄様、次男のテオ兄様、三男のマリス兄様、四男のニコラス兄様も、全員が全てをほっぽり出すわ。
それぞれが卓越した能力を持つ、コーラルバイン公爵家を敵に回すという事が何を意味するのか、その満開のお花畑の頭でも分かるようね。
真っ青になったレオンハルト王太子殿下は、そっと席を立って「では、ほかの令嬢とも話さないといけないから」と言って去っていったわ。
大体、自由恋愛を推奨するこの国では、早期に婚約者を決める必要はないのよ。
15歳からは、4つの国の貴族達が集まるルチル学園に通うのだし、そこで見つけたい令嬢・令息が殆どなの。
どうせ、あの2人を産んだ見た目も中身もお花畑の王妃が「恋には障害が必要よ」とか言って開催したのでしょうけど、ね。
「大丈夫?」
「はい、申し訳ございません。緊張してしまい・・・」
心配そうに私を見るのは、レオンハルト・ダイアクロス王太子殿下。
なぜか私の所から離れないせいで、他の令嬢達は第二王子にターゲットを変えたわ。
「あの、他のご令嬢とお話されなくてよろしいのですか?」
「うん、私の婚約者は君に決めたから大丈夫だよ」
え、まだ会って30分位なのに?
いえ、全員の挨拶が済んですぐからだから40分?10分位、どうでもいいわね・・・。
「どうして私なのでしょうか?」
「君の噂は聞いているからね」
頭を抱えたくなったのを我慢しながら、私は明後日の方向を眺めながらこの4年間を思い出していたの。
今世は、アリスティア・コーラルバイン公爵令嬢。
両親と12歳上の兄と、10歳上の兄と、8歳上の兄と、6歳上の兄に溺愛されてる末っ子長女。
1歳半でオムツが外れ、2歳で2カ国語を話し、4歳の今はピアノ講師を泣かせる程の腕前になっている。
私は何をしてるの・・・。
「愛の鐘と4人の王子」という乙女ゲームの世界のモブに生まれた筈なのに、こんな目立つ事をしていいのかしら。
チラリと王太子殿下を見ると、爽やかな笑顔を私に向けているけど心の中は面白いわ。
「聡明なら私が真実の愛を見つけるまで役に立つだろう」ですって?私なら婚約破棄しても大丈夫と思っている所が最低よね。
第二王子はこの状況に戸惑うばかりだし、この国の王族は大丈夫なの?
「王太子殿下は、私の父と兄達の話をお聞きになられた事はございますか?」
「もちろんだよ。君の事をとても・・・」
宰相である父は、私が熱を出しただけで仕事を休んで看病すると言って国政をストップさせ、その跡を継ぐ予定の長男のアーネスト兄様、次男のテオ兄様、三男のマリス兄様、四男のニコラス兄様も、全員が全てをほっぽり出すわ。
それぞれが卓越した能力を持つ、コーラルバイン公爵家を敵に回すという事が何を意味するのか、その満開のお花畑の頭でも分かるようね。
真っ青になったレオンハルト王太子殿下は、そっと席を立って「では、ほかの令嬢とも話さないといけないから」と言って去っていったわ。
大体、自由恋愛を推奨するこの国では、早期に婚約者を決める必要はないのよ。
15歳からは、4つの国の貴族達が集まるルチル学園に通うのだし、そこで見つけたい令嬢・令息が殆どなの。
どうせ、あの2人を産んだ見た目も中身もお花畑の王妃が「恋には障害が必要よ」とか言って開催したのでしょうけど、ね。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。

邪魔しないので、ほっておいてください。
りまり
恋愛
お父さまが再婚しました。
お母さまが亡くなり早5年です。そろそろかと思っておりましたがとうとう良い人をゲットしてきました。
義母となられる方はそれはそれは美しい人で、その方にもお子様がいるのですがとても愛らしい方で、お父様がメロメロなんです。
実の娘よりもかわいがっているぐらいです。
幾分寂しさを感じましたが、お父様の幸せをと思いがまんしていました。
でも私は義妹に階段から落とされてしまったのです。
階段から落ちたことで私は前世の記憶を取り戻し、この世界がゲームの世界で私が悪役令嬢として義妹をいじめる役なのだと知りました。
悪役令嬢なんて勘弁です。そんなにやりたいなら勝手にやってください。
それなのに私を巻き込まないで~~!!!!!!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

深窓の悪役令嬢~死にたくないので仮病を使って逃げ切ります~
白金ひよこ
恋愛
熱で魘された私が夢で見たのは前世の記憶。そこで思い出した。私がトワール侯爵家の令嬢として生まれる前は平凡なOLだったことを。そして気づいた。この世界が乙女ゲームの世界で、私がそのゲームの悪役令嬢であることを!
しかもシンディ・トワールはどのルートであっても死ぬ運命! そんなのあんまりだ! もうこうなったらこのまま病弱になって学校も行けないような深窓の令嬢になるしかない!
物語の全てを放棄し逃げ切ることだけに全力を注いだ、悪役令嬢の全力逃走ストーリー! え? シナリオ? そんなの知ったこっちゃありませんけど?
逃げて、追われて、捕まって
あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。
この世界で王妃として生きてきた記憶。
過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。
人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。
だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。
2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ
2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。
**********お知らせ***********
2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。
それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。
ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。
皇帝の番~2度目の人生謳歌します!~
saku
恋愛
竜人族が治める国で、生まれたルミエールは前世の記憶を持っていた。
前世では、一国の姫として生まれた。両親に愛されずに育った。
国が戦で負けた後、敵だった竜人に自分の番だと言われ。遠く離れたこの国へと連れてこられ、婚約したのだ……。
自分に優しく接してくれる婚約者を、直ぐに大好きになった。その婚約者は、竜人族が治めている帝国の皇帝だった。
幸せな日々が続くと思っていたある日、婚約者である皇帝と一人の令嬢との密会を噂で知ってしまい、裏切られた悲しさでどんどんと痩せ細り死んでしまった……。
自分が死んでしまった後、婚約者である皇帝は何十年もの間深い眠りについていると知った。
前世の記憶を持っているルミエールが、皇帝が眠っている王都に足を踏み入れた時、止まっていた歯車が動き出す……。
※小説家になろう様でも公開しています
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる